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2022芸術の秋①「第17回矢上祭」

3年ぶりの「芸術の秋」

 今年は、久しぶりに「芸術の秋」を実感できる慌ただしく充実した秋を過ごしました。少しずつですが、印象的だった出来事を記しておきます。

第17回矢上祭

 2022年10月8日(土)、鹿児島市立坂元中学校の「矢上祭」にお伺いして、合唱コンクールの審査員を務めました。1年生3クラス、2年生4クラス、3年4クラスがそれぞれ自由曲を披露してくれました。
 ちなみに演奏された曲目はこちら。名曲、そして熱演揃いでした。あなたの思い出の曲はありますか?
 「その先へ」「Forever」「絆」
 「Let's search for Tomorrow」「僕らの奇跡」「輝くために」「時を越えて」
 「手紙〜拝啓十五の君へ」「心の瞳」「COSMOS」「旅立ちの時〜Asian Dream Song〜」

コロナ禍での工夫、そしてトラブル

 コロナ禍において多くの学校が取り組んでいるのが、リモート中継。この日も、学年ごとに体育館で演奏・鑑賞し、他学年はリモート中継される演奏を教室で視聴するという形で、全員がこのコンクールを楽しめるように工夫されていました。
 2年生の熱演が続く最中だったでしょうか。何やら先生方が慌てているご様子。よくよく聞いてみると、リモート中継のトラブルで教室での視聴ができなくなってしまったとのこと。このままではみんなで演奏を聴くことが叶わない。慌てる先生方の輪の中から聴こえてきたのは「なんとか3年生の演奏だけでも全員に聴かせたい」という声。

先生方の決断、そして

 私もご説明いただきました。「3年生の演奏を全員が聴けるようにしたい。3年生の時間だけ、全学年が体育館に集まるように変更することにご理解ください。」とのこと。もちろん快諾。消毒にマスクに換気に、この場の対策が万全であることは明らかでした。
 こうして、3年生だけが体育館に集うはずの時間に1・2年生もやってきた。この出来事によって、会場の空気が一変。先輩の演奏がリアルで聴けることになった後輩たちは、明らかにちょっと高揚して目を輝かせている様子。そして聴衆がぐんと増えたこと、それも後輩たちに聴いてもらえることになった3年生は、明らかに気合いが入った様子。会場の真ん中に座っていた私は、体育館の熱気がグンと高まるのを肌で感じました。熱気が高まったことに鳥肌が立つような、ちょっと不思議な体験。

音楽の喜びがここに


 ここで繰り広げられる演奏が熱演でないわけがなく。
 3年生は、小学校卒業の頃からマスクで口を覆うことを求められ、満足に合唱できなかった世代。そんな彼らの精一杯の歌を、後輩たちが、先生方がしかと受け止め、万雷の拍手で祝福していました。演奏者と観客が高め合い音楽の喜びを共有する、素晴らしい空気がここにありました。
 歌う人も、聴く人も、本当はこうしたかったんだよね。ずっとこうありたかったんだよね。思わぬトラブルから生まれた出来事でしたが、あの場にいた全員がとても大切なものを得ることができたように思います。

御礼


 そんなわけで、3年生の審査はそれはそれは難航。もちろんきちんと務めを果たしましたが、何よりもこの場に居合わせることができたことを嬉しく思いました。人の織りなす音楽の喜びを得た、幸せな出来事でした。
 準備から当日まで数々のご苦労と向き合いながら子どもたちのことを考え奔走し続けた先生方、そして高らかな歌声で応えた生徒の皆さんに、心から感謝申し上げます。今思い出してもちょっと涙が滲む、忘れられない出来事でした。


 

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