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【ビジネス書を読む時間がない若手金融会社員・就活生向け!】財務分析(1/6)(資産の部)

前回まで、決算書の読み方について記載してきました
今回からは、決算の分析(財務分析)について記載したいと思います

財務分析とは

  • 財務分析とは、企業の決算書を元に、健全性、安全性、債務返済能力、リスク等を検証するために行います

  • 分析結果について、主に「業界平均比較」「過去との比較」を行います

  • 業界平均と比較することにより、お客様の秀でいている部分、課題となっている部分が明確になります。長所については会社の安全性、成長性の担保につながります。また、課題についても、先ずは明確化することに意義があります。感覚的に経営している会社、財務のプロ(CFO)が不在の会社にとっては、特に銀行員として気付きを提供し、改善策を共に考えるところに価値があると考えていました

  • 過去との比較をすることにより、時系列でお客様の変化を捉えることができます。各指標が改善していれば、茲許の経営が順調であることを示しますし、悪化していれば、どこかに原因があると分かります。上記と同じように、原因について対応策と対応状況を考えることが重要です

  • このように、財務分析とは、分析して終わりではなく、分析した結果どのような示唆が得られ、課題となる部分に対する対応策は何か、その後の対応状況はどうか、というアクションに繋げていくことに意味があります


  • 先ずは、資産の部における分析方法について、整理したいと思います

  1. 短期支払能力(流動比率、現預金比率)

  2. 長期安定性(固定比率、固定長期適合率)

1. 短期支払能力

  • 流動比率

  • 流動比率は、「流動資産/流動負債×100(%)」で表されます

  • 流動負債(1年以内に返済が必要な負債)に充当できる流動資産(1年以内に現金化できる資産)がどのくらいあるかを計る指標です

  • 100%を超えている状態が望ましいと言えます

  • 100%未満である場合、流動負債で固定資産(1年以内に現金化されない資産)をカバーしていることとなるため、数字上は短期支払能力に懸念ありと捉えることができます

  • 業界の特性やビジネス習慣上已む無しという可能性もあるため、不明点はお客様へのヒアリングのなかで解消していきましょう。財務分析は、あくまで数字上の分析結果です(他指標も同様です)

  • 現預金比率

  • 現預金比率は、「現預金/流動負債×100(%)」で表されます

  • 流動負債に即時充当可能な現預金はどの程度あるかを示す指標であり、資金繰り分析と合わせて検証する必要があります

  • なお、現預金の水準については、「現預金/平均月商(カ月)」で業界比較することが多いです

2. 長期安定性

  • 固定比率

  • 固定比率は、「(固定資産+繰延資産)/純資産×100(%)」で表されます

  • 固定資産(1年以内に現金化されない資産)が純資産(返済不要の資産)でカバーできているかを確認する指標です

  • 100%以下であることが望ましく、100%以上である場合は、負債に頼った(活用した)財務状態或いは過大投資の懸念があると捉えられます
    (固定長期適合率も合わせて確認します)

  • 固定長期適合率

  • 固定長期適合率は、「(固定資産+繰延資産)/(純資産+固定負債)×100(%)」で表されます

  • 固定資産が長期の安定した資金(純資産+固定負債)でカバーできているかを確認します

  • 固定資産を純資産で賄えていない場合でも、純資産+固定資産で賄えていれば、安定した資金で固定資産を取得・創出できていると捉えられます

  • 100%以上が望ましく、100%未満である場合は、資金繰りに奔走している可能性があり、確認が必要です

いかがでしたでしょうか
本日は、財務分析(資産)について記載しました
次回は、負債に関する財務分析について、記載したいと思います


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