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♯033 精神科医療・精神保健福祉分野の現状(ver.2020/02)

精神保健福祉分野においては、地域移行・地域共生のスローガンのもと、この数年の間に大きく状況が変化しました。繰り返しお伝えしているように、本人に病識があり、治療を受ける意思がある(つまり、初期の段階の症状の軽い)患者さんにとっては、すばらしい環境が整いつつあります。医療機関は早期退院を推進するため、患者さんが福祉制度を受けられるよう助力してくれますし、自前の(あるいは連携している)グループホームや作業所をもつ病院も増えています。ただしこれらのサポートを受けるためには、「本人が望んでいる」ことが必須となります。

一方で、本人に病識がない、精神科の治療を受ける意思がない、という患者さんに関しては、ますます医療につながることが難しくなっています。治療に時間を要する、いわゆる対応困難な患者さんも同様です。このノートでは、そういった対応困難な患者さんや、その家族にとっての、精神保健福祉分野の厳しい現状について述べたいと思います。

対応困難な患者さんは「誰もやりたがらない」のが現実

弊社では仕事柄、精神科医療の専門職の方々にお目にかかる機会も多いですが、最近はとくに「対応困難な患者さんは受け入れません」「もう、どこの病院もそうですよ」などとはっきり言われることが増えています。

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