見出し画像

♯024 重大な問題を抱える家族ほど、頼れる先は「行政」しかない

精神疾患に起因する家族の問題を放置した結果、年を追うごとに問題が肥大化し、「どこに相談しても解決しない」「どこから手をつければよいかも分からない」と相談に来られる方が増えています。

そう嘆く家族ほど、「民間企業に丸投げして何とかしてもらいたい」と考えるものですが、経済的余裕がないことも多く、現状では「行政機関を頼るしかない」という場合がほとんどです。

そのようにアドバイスをすると、必ず「行政は動いてくれない」「○○してくれなかった」「あてにならない」などと不満が出てきます。しかし、そういう家族でも、弊社が同行して対応すると、話しが通ることがあります。家族は「自分の時と職員の対応が全く違う」と驚きますが、これは「相談の仕方を修正することで、対応してもらえることがある」ということです。

行政機関の利用の仕方について、認識を改める

行政機関を味方につけられることができれば、心強いことこの上ありません。行政職員(公務員)には服務上の義務規定があり、違反すれば懲戒処分の対象になるため、守秘義務が守られます。安心して相談できる上に、なんといっても基本無料で相談に乗ってもらえます

行政機関を利用するポイントとして、まずは認識を改めましょう。

これはメンタルヘルスに限ったことではありませんが、今、社会においては「本人の自由意思の尊重」「自己責任」が当たり前となっています。一方で病識のない精神疾患患者は、説得を尽くしても(病気が理由で)認知機能が低下し、健全な判断ができていないために医療的利益を逸しています。

加えて家族の問題は原則「民事不介入」ですから、「第三者の介入が必要なほどの家庭内のトラブルである」ということを証明する必要があります。そして、それらの証明責任は家族にあります。

つまり、行政機関は「相談にいきさえすれば、何とかしてくれる」場所ではありません。精神疾患患者数は増える一方であるのに加え、ひきこもりの長期高齢化など切羽詰まった相談も増えています。自分の家族が危機的状況にあり、緊急の対応を要するのであれば、まずはその旨を理解してもらわないといけません

そのため、

・「何が問題で」「何をしてほしいか」を具体的に伝える
・本人に関するエビデンス(これまでの経緯をまとめた資料、現在の写真や映像、音声など)を持参する

といった行動が必要になります。これについてはトキワノート♯001♯002でも詳細に説明しています。

同居する親も高齢化しており、エビデンスの作成が難しいのであれば、本人が問題行動を起こすたびに110番通報するなど、公的機関に「自傷他害の恐れがある」現場を見てもらうしかありません。精神疾患が理由での問題行動であればなおのこと、第三者に証人になってもらう必要があります。

110番通報をするとだいたい本人が大人しくなり、その場はそれで終わってしまうことが多いです。その後、本人から「もう警察を呼ぶな」と脅されることもあり、家族は「通報などしなければ良かった」と言いますが、そこで諦めてはいけません。本人が家族を脅しているならなおのこと、110番通報を重ねる覚悟が必要です。また、その事実を持って、再び行政機関や医療機関に相談にいき、現状を伝えることです。

普通に相談や協力を求めただけでは、事態はなかなか進みません。「体裁を捨てる」「包み隠さず現状を伝え、情報を小出しにしない」「恥ずかしくて言いづらいことこそ、きちんと伝え、『医療につなげたい、入院させたい』と家族の意思を明確に伝えることが大切です。

続いて、弊社がアドバイスや同行をしただけで、医療につなげることができた事例を幾つか紹介します。

続きをみるには

残り 1,475字

¥ 220

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?