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駐車場の端っこで抱き合う恋人たち_往復書簡vol.5


これへのお返事


井上拓己くんへ

ずいぶんとご無沙汰してしまいました。とは言っても間に会ったり電話したりはしているんだけど。私が吐いたちょっとした弱音と他者への恐怖に対するカウンセリングみたいな返答にあえてカウンターくらわそうと思っていたのだけど当てはまる事象が多すぎて普通に何も言い返せませんでした。

さて、時は流れて年末です。私がクリスマスソングのプレイリストを延々と聞き続け、やたらめったらクリスマスらしいことをしたがり、やたらめったら好んでいる季節です。たくみん相手に顔真っ赤にして「私は神経症傾向なんて高くないもん!」などと科学的根拠に裏付けの取れない反論を書くには適さない季節です。実際高いし、たぶん。

まずは私のクリスマスの思い出を語っていこう。あ、ちなみにここから先はクリスマスのネタバレがあるのでたくみんがサンタクロースの存在を信じて疑わないほうの人間だったら読まないでね。

まず小学校高学年のときの思い出。私は物心ついた時からサンタ=親という認識があったので、サンタさんからのプレゼントを見ても「あ、親が買ってくれたんだな〜」と思っていた。が、その年はちょっとしたいたずら心でサンタさんから届いたはずのプレゼントの包装紙がミドリ電化(現エディオン)のミドリちゃんが一面にプリントされたデザインであることを指摘し、「サンタさん、ミドリ電化でプレゼント買うたんかな(笑)」などとしつこく言っていたら親にちょっとキレられた。ちょっとキレるぐらいの親でよかった。私だったらそんなこと言う子供いたらプレゼント没収してるもん。あと「物心ついた時からサンタ=親という認識があった」ってなんかちょっと賢そうだと思われる可能性もある書き方なんだけど、これはただ単に物心つくのが遅すぎただけで、小学校3年生くらいからしか完全に記憶がない。

中学、高校時代はアンチクリスマスだった。アンチというのは言い過ぎなのだけど、「は?クリスマスとかただの平日(年によっては休日)でしょ笑」みたいな感じだったと思う。中高時代の記憶がだいぶ欠如していて、まともに覚えていることといえば化学が好きだったことと、高2の時の担任の先生にうっすら嫌われていた(神経症傾向の高い私調べ)ことぐらいなので確かなことは何もいえない。ただ、通っていたのが国際系の学校で、英語をはじめ中国語、韓国語、ロシア語、タガログ語などのバイリンガルやトリリンガルだらけの学校だった。やっぱり英語を話せる子はイケてたしカーストも高かったので(私調べ)思いっきり欧米コンプレックスを抱くようになり、周りが聞いている洋楽とか(ブルーノマーズとかマイリーサイラスとか)を頑なに聞かなかったし、欧米圏の文化であるクリスマスも割とスルーしていた。と思う。なんか特別なことをした記憶は特にない。ちなみに今は欧米コンプレックスなどまるでなくなって「私国際系の学校出身者ですぅ、高校の時から第二外国語ありましたぁ」みたいな顔して生きているので、高校にはほんとうに感謝している。あと普通にああいった類の学校行ってなかったらエグい感じのいじめ受けてた可能性も低くないので、ほんとよかったと思う。

そして大学生になって上京してから急にクリスマス狂となった。原因は不明だが高校時代に抱いていた欧米コンプレックスから解放され針が変な方向に側に振り切った可能性が高いと踏んでいる。あと、なんだかんだで私の親はクリスマスには何かしらご馳走を作ってくれたりしていたので、そういうものへのノスタルジーみたいなものもあるんだと思う。しかし、問題なのはそのクリスマスへの熱が年々高まっていることだ。今年なんてネイルパーツを持ち込んでまでクリスマス仕様のネイルを施し(わざわざ120分コースで予約した)、サンタクロースがプリントされた真っ赤なスウェットをわざわざ購入し、それを着て街を闊歩し、クリスマスには美味いものを食べるか作るかしようと画策している。正直金がかかる。困るほどではないが帰省したりなんやかんやで何かと物入りな時期にこの熱の入りよう。まともな社会人として許容できる範囲を超えつつある。


そして今日、どうしたらこのクリスマス熱を解消できるのだろうかと考えながら家までの帰路を歩いていた。クリスマスソングを聴きながら。すると、家の近くの駐車場の端っこで、恋人たちが抱き合っていた。端っこというのは、奥まった人目につかないところというわけではなく、なんともいえない場所だった。言葉で説明しづらいので件のiPadで無駄に情報量のおおい図を書いてみたのでご参照ください。


拡大してちゃんと読んでね


私は彼らを見た。それはもうガン見した。縁石ギリギリに立ちすぎててちょっと心配だったし。

さて、その恋人たちを見た私が何を思ったか、長年私の大親友の座を独占しているたくみんにはわかるだろうか?
せっかくなのでクイズ形式でお送りしたいと思う。

①「うわ、こんなところで……見てるこっちが恥ずかしいわ」
②「おっイチャついとんな、小さめの石投げたろ。えいっ」
③「これが金かけずにクリスマス楽しめる方法論……」



↓ 答えが決まったらスクロールしてね ↓














正解は③です!私の思考をある程度読めるメンタリストたくみんならきっと正解できたことでしょう。
そう、私は咄嗟にクリスマスの出費を抑えるにはあの恋人たちのように人目も憚らずいちゃついてしまうほど大好きな恋人をつくってクリスマスなんて眼中になくなるぐらい恋人に熱中すればいいのでは?と思ったのだ。

しかしながら現実は厳しい。このアイデアをたくみんに共有しようと帰宅して早々PCを開き、どうでもいいクリスマスの思い出などを長々と書いているうちに一昨年くらいに友人が「かのぴっぴへのクリスマスプレゼントとして10万の財布を要求されていて辛い、吐きそう、てか吐く」みたいなことを言っていたことを思い出して、ぜってぇ恋人いるほうがクリスマスの経費上がるじゃねえかと気付いた。プレゼント代、食事代、デートに着ていく服や穴の空いていない下着、靴下類の調達など、まあ金かかる。

もしかすると私に衝撃的かつ馬鹿馬鹿しいアイデアをインスパイアしてくれたあの駐車場の端っこで抱き合っていた恋人たちも実はお互いへのクリスマスプレゼントに10万ぐらい使っているのかもしれない。
クリスマススピリットのかけらもない言い方だし、本当はこんなことインターネットで発信したくないけど、他人のために10万持っていかれるぐらいなら自分に10万かけたくないですか? だって10万あればネイルを120分コースで予約して、口コミで多くの人が「異臭がする」と書き込んでいるが圧倒的に安くて腕がいいので通い続けているマッサージ屋に行き、クリスマスの変なスウェットを10枚買っても余裕でお釣りが来るぞ。余ったお金で高い肉とかをふるさと納税で買って、オオゼキでボトル2~3000円のワインとかを一人で飲んだら相当いいクリスマスになるぞ。多少ワインこぼしてもスウェットいっぱいあるからすぐ着替えれるし。

いや、わかっている。価値観は様々だし、クリスマスの変なスウェットは10枚もいらないし、こんなぬかみそくさいクリスマスなんて死んでもお断りよ!と思う人がいることはわかっている。そういう人のことを否定しているわけではないし、むしろぬかみそくさくないクリスマスを過ごすことによって経済をどかんと回すことは社会貢献であり、時と場合によっちゃ少子化対策にもつながるわけで、めっちゃいいと思う。ていうか全員が全員恋人に10万の財布あげてるわけではないし、あの抱き合っていた人間たちのことを恋人たちと勝手に描写したが、実際のところ一言では言い表せない複雑な関係なのかもしれないし、もしかすると12年ぶりに再開した生き別れの兄妹だったのかもしれない。物事は多面的に見ようと思えばいくらでも見れてしまう。でも、多面的に見すぎると話が散漫になってしまうのであえて割愛します。許して。ただ一つ言いたいのはリア充爆発しろ!みたいなことではないからね。そういうターンはもう高校生の時点で終わったから。

何が言いたいかっていうと、あの恋人たちは幸せそうだったし、私も私でめっちゃ幸せだよ!お父さん、お母さん産んでくれてありがとう!たくみんも生まれてきてくれて、私のメンタリストになってくれてありがとう!メリークリスマス!要はこれクリスマスカードみたいなもんです!そして今回の分析もよろしくね!

あと、今気づいたんだけどクリスマス当日は普通に仕事だったわ。肉焼いてる場合じゃねえ。働くわ。


高橋名月より






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