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#16 私の仕事は「ゆるす」ことです

私は接骨院の仕事をもう10年近く続けています。

この仕事は一般的なようでなかなかよく理解できている方も少ないですし、
古くからある仕事ですがそのカタチや状況はもう全く違うものになっていると言ってもいいと思います。

医療従事者として括られていますが、我々の業務は医療ではありません。
よって保険に関する解釈や制約も明確なようで現状は複雑かつ曖昧。
「治療」という文言も使うべきではない、などと厳しく言われています(“医療”とは医師だけのものであり、その業務と明確に区別するための解釈)。

そんな状況ですので真面目な柔道整復師、真面目な接骨院の先生ほど頭を抱えています。

私自身も資格を取り、修行先で勤めてから今に至るまでそれらのジレンマに苦しんできました。

「自分の仕事はひとに何ができるのだろう」
「自分がこの仕事を通してすべきことは何だろう」
「この仕事と自分の存在意義は何だろう」
そう毎日考えていた中で自分の中で出た答えのひとつが、

「自分の仕事は“ゆるすこと”だ」というものでした。

一見なんだか逆のようにも思えます。
痛いところを包帯で固定したり、安静を指示する訳ですからむしろ「許可しない」仕事では?と。

私が常に意識していることがあって、
それは「患者さんが生き生きとした人生を送ることを尊重する」ということです。

スポーツはからだに良いことでしょうか。

痛みがあるにも関わらず、熱心にスポーツや運動に励む方がいらっしゃいます。
走る・投げる・蹴る・打つ…などの運動は本来であれば、からだに負担のかかる行動です。
そんなことをしない方がからだは平穏でいられます。

ですが、大半の方はそれらを楽しんでいます。
または自分の中の目標達成のために努力をしています。

「からだに負担がかかるからそんなことは辞めなさい」と言ってしまうことは簡単です。
ですが、それらがない人生は果たして「楽しい」でしょうか。

もしケガをしてしまえば、決してスポーツを楽しむことは出来ません。
それを放置すれば、機能的な異常が残り、ゆくゆくは変形や慢性的な痛み、さらにはそれをきっかけに全身の症状にまで発展する可能性もあります。

そういう知識を持っている以上、今一時の期間を安静にして頂き、中長期的な視野で生涯を痛みなく楽しむための「制限」をしなくてはならない場合もありますが、
それも実は包帯などの固定やテープなどのアプローチも、損傷組織以外の他の部位がうまく使われて、日常生活をより苦痛なくスムーズに送ることを「ゆるす」為の施術です。

からだを施術することはからだのさまざまな部位に、機能を最大限に活かす事を「許可する」行為であり、強制的に緊張させられていた筋肉や軟部組織を緩んでもいいと「許可する」行為でもあります。

つまり「制限」とは逆なのです。

ママさん世代の方などは特になのですが、
「自分は痛いところを治療している場合ではない」と症状をガマンする方が多くいらっしゃいます。
「子供や身内など周りに迷惑をかけてしまう」と、自分の心身の状態を正常状態に戻すことに対して、罪悪感すら抱いてしまっているような方を本当に多くお見かけします。

ですが、そんな訳がありません。
そういった方こそ施術を受けるべきであり、もっと色々なことをゆるされるべきだと思います。

不寛容な今の社会ですが、その中でも私は皆様に「いきいきと踊るように人生を生きて頂きたい」ということを何より強く願っています。

私の仕事は「ゆるす」ことです。

あなたがあなたらしく、本気で笑い、泣き、愉しみ、頑張り、休むことを私は肯定したい。
そしてそれができるように、からだをより苦痛や不備から解放された状態に戻したい。

それこそが私の人生の責務だと、最近強く感じます。

さて!私も皆さんに負けないように生き生きと生きるぞーっ!!!

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