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#18 「反り腰」のあなたに伝えたいこと

よく相談を受けたり、患者さまの中でもとても多く出会う姿勢のひとつが「反り腰」です。

男性の方でももちろんいらっしゃいますが、女性に多い姿勢のように感じます。

身体の曲線もお尻にかけて出る姿勢ですし、モデルさんも意図的にポーズとしてとる姿勢でもあるので、なんとなく悪くないのかな、とも思えます。

今回は私がこの「反り腰」という姿勢をどのように捉えていて、どのように皆さんに知って頂きたいか、という事を書いていきたいと思います。

「反り腰」はダメなの…?

「反り腰はダメですか?」と訊かれると、返答に少し悩むのですが、私は「それも個性なのでダメという訳ではありません」と最近ではお答えしています。

ただし、反り腰という姿勢が持つリスクやマイナス要素を知っておく必要はあると思います。

「反り腰」の方が持っているかもしれないリスク・マイナス要素は、

・腹筋が弱い
・腰の筋肉に常に力が入っている。
・骨盤が前のめりのまま起こせないため、頭の重さを正常のカーブで支えられない。

の大きく3つのものだと思っています。

まず1つ目の「腹筋が弱い」ですが、
反り腰の方はだいたいの方が、立ちっぱなしなどで疲れると、お腹を前に出してそれを台やテーブル等で支えたくなります。

つまり身体を支える腹筋の力が弱い為に長時間の姿勢維持に耐えられないのです。
そうなれば自然と背骨の関節や、股関節・膝関節など、骨や関節が負担する割合が増えてしまう為に、変形や神経の圧迫を起こすような「良くない反り腰」になってしまいます。

2つ目の要素の「腰の筋肉に常に力が入っている」は、ある意味1つ目の「腹筋が弱い」と対になります。

腰の力が抜けない、つまり腰の筋肉だけで身体を支えている状態は、神経の反射で反対側の腹筋は力が入りにくくなります。
そうなると背中を丸めるような動作もしにくくなり、姿勢が固定されます。
筋肉が過緊張することで、筋肉性の腰痛にもつながります。

そして3つ目の「骨盤が前のめりのまま起こせないため、頭の重さを正常のカーブで支えられない」というのは一番イメージが難しいかもしれませんが、

本来ならば骨盤はある程度立っている状態が好ましいです。
骨盤の位置が正常とされる位置であれば、頭部という重たい部分を支え、その重さをうまく分散させるための自然な背骨のカーブがしっかりと形成され、関節や筋肉の負担を最小限にすることができます。

ですが骨盤が前屈した格好で固定されていると、カーブが大きく変形し、様々な関節にもしわ寄せとして負担がかかり全体の姿勢が強制されることになります。

ここまで書くと反り腰なんて絶対悪では…と感じる方もいるかもしれませんが、
私はあえて「そうではありませんよ」と言いたいです。

姿勢にも個性がある

至極当然ですが、姿勢にだって「個性」があります。

一般的な「いい姿勢」というのは基準としては存在しますが、
体つきはみんな違いますし、背骨も同様に人によってそれぞれ形や大きさが違うのです。

つまり「あなたのもともと持つ本来の姿勢が反り腰」ということは大いにあり得ます。
もし反り腰を全否定してしまえば、あなたは生涯、身体に不調や痛みなどの悩みを抱えて過ごすことになってしまいます。

先程1つ目のリスクの説明の際にあえて「よくない反り腰」という書き方をしました。

つまり「悪くない反り腰」もあるということです。

反り腰問わずあらゆる姿勢で何が問題かというと、

「本来できるべきことができない」ということです。

つまり、「反り腰」という自分に姿勢の個性があったとしても、
・腹筋はしっかり使える
・腰の筋肉は常に無理をしていない
・骨盤が前傾の状態から必要な時にはまっすぐ立てることができる
のであれば問題ないということです。

そもそも姿勢に関して忘れてはいけないことがあります。

「背骨は自由に動かせるもの」

ということです。
ですから反り腰というカタチがダメなわけではないのです。
「反り腰以外のカタチにするのが困難になってしまっている」ことが問題なのです。

良くない反り腰は実際に様々な症状の原因になります。
腰痛だけでなく、首・膝・股関節などには実際に大きな影響を及ぼしますので、反り腰を改善するためのリハビリを必ず加えなくてはならないような症状はいくつもあります。

ですが、自分の中にあるリスクやマイナス要素をよく理解した上で向き合うことができれば、その個性を受け入れたまま健康に過ごすことは可能であると私は信じています。

もしかしたらあなたの本来持つ正しい姿勢は反り腰ではない場合だって当然あり得ます。選択の余地なく無理やりその状態にさせられてしまっている可能性も大いにあるのです。

そうであれば尚の事自分のからだと向き合うことで、無理のない本当のあなたの「個性」が引き出された姿勢になることができます。

知識は人生において減点法ではなく、加点法であるべきだと考えています。
今回得た知識で「あ~じゃあ私はダメだ」と落ち込まず、これからの有意義な人生のためのヒントとしてどうか活かしてみてください。

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