#11 人は川に似ています①~カタチが動きを作る~
川を流れる水は、その川の「カタチ」に合わせて流れ、運ばれて行きます。
曲がりくねっているところ、滝のように落差のあるところなどで水の勢いや方向は変化しますが、
決して水自身が「ちょっと速くしてみよう」などと動きを変化させている訳ではありません。
川の「カタチ」がその水の流れ方を左右させています。
私達のからだに働く「動き」という「流れ」もまた同様です。
口の形で声が変わるように、姿勢や関節のカタチで動きの流れはほぼ決まってきます。
ここでいう「カタチ」というのは各骨や関節などの形のこと、
そして、姿勢などの全体のカタチの両方のことを言えます。
身体のそれぞれの部位は、各々の役割の為にそれに特化した形状になっています。
肩の関節のように小さいお皿に大きなボールがはまっているようなものもあれば、
膝関節のように上下で全然カタチが違う骨にも関わらず、間にある軟骨がそこにフィットすることで、うまく理想の動きとクッションを作っているようなものもあります。
それぞれの部位がそこにかかる負荷や必要な機能を考慮した適切な「カタチ」をしているおかげで、私たちは重力のかかる地上を二足歩行で別段頑張らずとも生活できる訳です。
しかし、たとえそれぞれのパーツが正常の形状をしていも、全体の位置関係が整っていなければ、理想の動きの流れを作ることはできません。
それが「姿勢」です。
何故「いい姿勢であるべきか」と言えば、「機能的に効率がいいから」です。
今簡単に試して頂きたいのですが、
座って背筋を伸ばした状態で手をバンザイするのと、わざと猫背になった状態で手を挙げるのとで、同じ位置に手はあるでしょうか。
猫背ではどんなに健康な肩でも、ピンとした姿勢の時と同じように挙げることはできません。
わかりやすい姿勢でわかりやすい動きでも顕著に出るということは、
自分の無意識な姿勢や無意識な動きの中ではもっと、無数の意図せぬ「流れ」が生まれているということになります。
「姿勢」は大きく分けて二種類あります。
自分が「意識してコントロールできるもの」と「意識してコントロールできないもの」です。
先程のように座って「ピンとした姿勢」をしたつもりでも、実は無意識的に本来自分がしたかった姿勢とは違う姿勢をからだが選択していて、思うように腕が上がらないという場合もあります。
そういう時というのは「からだに異常がある」時です。
そうなるとからだは「出来ないことはしない」ようになっているので、動きを制限します。
その状態で出来上がった姿勢という「カタチ」で生活をすれば、自分の本来理想とするものとは違う「動きの流れ」が自然と生まれ、知らず知らずの内に効率の悪い生活を余儀なくされます。
「動きの流れ」とはつまり「エネルギーの方向」。
川から流れた水を、田んぼや街の潤いの為に運ぶためには道が必要です。
土砂が崩れ、流れが邪魔されればそこには澱みができます。
ストレスもなく、淀みなく流れ続ける水は清らかで美しい。
人の動きも然りです。
いい動きができていないと思ったら、まずはカタチから。
流れは自然に生まれてきます。
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