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#12 人は川に似ています②〜動きがカタチを作る〜

川のカタチは長い時間をかけ変化します。

水の流れが川底や川辺を削り(侵食)、土砂が運ばれ(運搬)、それが溜まり(堆積)、長い時間をかけて、緩やかですが確実にカタチを変えていきます。

いわゆる「河川の三作用」と言われるものですが、これと似たような事が実はからだにも起こります。

前回の#11では「カタチが動きを作る」という内容でした。

カタチによって決定された動きは、さらにその動きによってまたカタチに影響を与えます。

「姿勢が悪いと何がよくないの?」
であったり
「痛くないのになんでリハビリを最後までしなくてはならないの?」
の答えと言えるものがこれになります。

「放っておけばいつか変形して戻らなくなるから」です。

身体を動かせば、必ずどこかの組織に刺激が加わります。
その刺激によって起きた変化は、一度や二度であれば元の状態に戻ろうとしますが、同じような刺激が加わり続けると、やがて組織自体のカタチを変えます。

たとえばストレートネックなどがわかりやすい例です。

遺伝などでもともと頸椎のカーブが少ない方もいらっしゃいますが、
スマホや本を下を向きながら見続けることなどが要因とされています。

ただストレートネックの怖いところは首や肩の症状で終わらない点です。

ストレートネックの方は大抵重たい頭が「身体より前方」にあります。

我々は直立二足歩行で生活をしますが、重たい頭部が前方にあるということは、これが人形やオブジェであれば、当然前方に倒れます。

でも我々人間はストレートネックだからと言って倒れたりはしません。
他の場所の位置を変えることでバランスを保ちます。

身体には「重力」という地面へ向かうエネルギーがかかっています。
本来ならばそれを背骨がスプリングのように吸収したり、肋骨や骨盤、その他沢山の関節がその力を緩衝してくれるため、最小限の負荷でからだは維持されます。

ですが、やや前方の位置から頭部を落とされた場合、そのエネルギーは本来よりもグネグネと流れ、それをあちらこちらの部位にぶつけながら地面に向かわせます。

それでなんとか直立二足歩行は保つことができますが、前述したようにそれが習慣となり続いていくと、負担が「堆積」し、ついには変形を起こし固まってしまいます。

「こんなちょっとしたことでそんな大きな問題になるの?」
と思うかもしれませんが、川を流れる水も触れたところで痛くもかゆくもありません。

ですがそんな水が、いずれ固い大地のカタチすら変えてしまうのです。

小さな異常、ささいな動きの流れの変化が、将来のあなたのカタチを作っていきます。

数十年後のあなたが、綺麗な形で穏やかに水の流れる川のようでありますように。

その為には早めの対処、施術、習慣を。





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