<ゲームの売れ行きアップ方法>第8回:効果音は売れ行きを大きく左右する

 インディーゲーム開発者やパブリッシャー向けに「ゲームのクオリティアップや売れ行きを増やす方法」を解説していくシリーズ。

 第8回は「効果音は売れ行きを大きく左右する」です。

 

<ゲームの売れ行きアップ方法>第8回:効果音は売れ行きを大きく左右する


 ゲームの効果音は、それで脳が気持ち良くなるのを大きく左右します。
 効果音がしっかり気持ち良い作品とそうでない作品は、プレイ中の楽しさが大きく異なり、ストアのユーザーレビューの評価の良し悪しにもずいぶん違いが出てきます。
 しかし、効果音を軽視しているインディーゲームはかなり多いです。
 グラフィックはかなり良いのに効果音が残念な感じでプレイ時の気持ち良さが大きく減っているインディーゲームも珍しくありません。

 たとえば昔ながらのサイドビュー型スクロールアクションや3Dアクションでコインやフルーツなどの得点アイテムを取った時の効果音。
 この効果音がきちんと気持ち良いかそうでないかでもゲーム中の楽しさがずいぶんと違ってきます。

 剣などで斬るゲームなどでも、斬撃音がいまいちな作品はそれだけでゲームの良さが大きく損なわれ、動画でプレイを見てもつまらなく映り、購入意欲を落としてゲームの売れ行きにかなりマイナスとなります。
 逆に気持ち良い斬撃音のゲームはずいぶんと爽快感があって、プレイ動画を観ている人達に「自分もこのゲームを買ってプレイしたい」と思わせてくれます。
 
 ダークソウルやエルデンリングはかなり人気ですが、「敵を斬った時の音がかなり気持ち良い」というのも人気の一要因だと思います。フロムソフトの作ったのはいずれも敵を攻撃した時の音がかなり気持ち良いですよね。
 しかしダクソ風のインディーゲームの中には敵を攻撃した時の音がいまいちで爽快感がかなり薄い残念な作品もわりと多いです。
  
 最近は大手や中堅メーカーのゲームであっても3D系アクションなどで斬撃音がいまいちな音で敵を斬った時の気持ち良さが薄い効果音のゲームもだいぶあります。
 「シャキン」「シャキン」みたいな気持ち良さが薄い効果音を使ったりも。
 「ザシュ」とか「ズブシュ」とかの爽快感のある斬撃音の方がプレイ中はかなり気持ち良くなり、また動画でも「このゲームは気持ち良さそう。自分でもプレイしたい」と視聴者に思わせて売れ行きを増やしてくれます。

 斬撃音もメリハリが大事で、威力の弱い攻撃は爽快感がある音でもやや控えめにし、威力の大きい攻撃はより強い爽快感のある音にするなどした方が良いでしょう。
(弱:ザシュ  強:ズブシュッ!みたいに。)
 爽快感があってもくどい音は連続して聴き続けると疲れる感じになるので、それには注意してください。
 弱攻撃などのよく連発する効果音についてはくどい音は使わない方が良いです。 逆にたまにヒットする強烈な攻撃はくどい音でも問題ありません。

 2Dグラフィックのメトロイドヴァニア系ゲームでも、攻撃ヒット時の音や敵を倒した時の音があまり気持ち良くないと購入前にプレイ動画を見る人達にとってはゲームがかなりつまらなく感じられて、売り上げも厳しくなります。
 グラフィックがかなり良いのに効果音がいまいちなメトロイドヴァニアもわりとあります。
 頑張って何年もかけて作ったであろうに、効果音の設定で失敗してそのゲームの売れ行きを殺してしまっています。

 自分で気持ち良い斬撃音を用意できない場合は商用利用可能な無料効果音を集めたり、auidostockなどで気持ちの良い斬撃の効果音を選んで買うというのも一つの手です。
 斬撃音以外にも殴った時のヒット音が気持ち良い物も集めてみましょう。
 
 アーケードゲーム黄金期の格闘ゲームは敵にダメージを与えた時の音がしっかり気持ち良い音になっているのが多いので、一度youtubeで1990年代あたりのゲームの動画をよく観たり、アーケードアーカイブスやその他でレトロゲームを色々買ってプレイしてみると良いでしょう。
 今シリーズが続いている格闘ゲームのストリートファイターや鉄拳、ギルティギアなどもきちんと気持ち良い効果音になっていて参考になるでしょう。
 自分で効果音を作る場合はこれらのように爽快感がしっかりある音にしてください。

 FPSやTPSなどでの敵を撃つタイプのゲームでも、銃の発射音、敵に弾が当たった時のヒット音、爆発した時の音(小爆発の音や大爆発の音)などをそれぞれきちんと気持ち良い音に設定する事でゲームの気持ち良さが大幅に向上します。
 大爆発は「ボーン」というリアル系より「チュドーン」の方がより気持ち良くなります。
 効果音が良いとプレイ動画でも気持ち良さそうに感じられて、購入意欲を高めてソフトの売れ行きをかなり増やしてくれます。
 
 FPSで敵を倒した時に効果音が出るゲームもありますが、あれも気持ち良さを増やす事に貢献しています。
 ヘッドショットを決めた時も無音より、ヘッドショットが決まった事がわかりやすくなるよう気持ち良い効果音を入れた方が良いでしょう。
 実際に自分でFPSを作った場合も、ヘッドショットが決まった時に無音の場合と気持ち良い効果音が出る場合では、後者の方がゲームプレイの体感がずいぶん良くなるのを確認できるでしょう。

 ダンジョンRPGや昔ながらの2DRPGも、敵を攻撃した時の音や倒した時の敵消滅の効果音がきちんと気持ち良いかどうかを意識する必要があります。
 これがダメなRPG作品はわりと多い。
 
 RPG作品で敵を攻撃した時や倒した時の音がいまいちなのは、それだけでプレイ動画を見ている人達にとっては「なんだかつまらなさそう」と思われて購買意欲を大きく落とす事になります。
 たとえグラフィックがファミコン風であってもファミコン音源なりの気持ち良い攻撃音や倒した時の音にしましょう。
 
 昨今は映像が3Dでしかもかなりリアルになったせいで、「効果音もリアル寄りにした方が良い」という勘違いをしている人はわりと多いです。
 「ゲームではなく映像分野から来た効果音スタッフ」も今ではいて、そういう人は「音としてリアル」というのを目指してしまい、「リアルではなくゲームとして気持ち良い効果音にするとプレイ時の楽しさも、売れ行きもかなり違ってくる」というのをきちんと理解できていない人もいます。
 「効果音はリアルさより気持ち良い音の方が大事」というのはゲームクリエイターの桜井政博さんもyoutube動画で解説されていたと思います。
 
 繰り返しますが、効果音の良し悪しは、プレイしている人はもちろん「ソフト購入を検討している人達」にとってもかなり重要です。
 効果音がきちんと気持ち良いゲームはプレイ動画を見ると「このゲームはずいぶんと気持ち良さそう。自分も買ってプレイしてみたい」と思わせてくれます。
 逆に効果音がいまいちなゲームは「このゲームいまいちそうだから買うのはやめておこう」と思われてしまいます。
 
 インディーゲームの中にはせっかく何年もかけて頑張って作ったであろうに効果音がいまいちで売り上げを大きく落としているのも多く、あなたの作品でもその大失敗をやらないように注意しましょう。
 「効果音の設定を失敗するとゲームの売れ行きがずいぶんと落ちてしまう」というのはよく覚えておいてください。

 開発中のゲームでは「効果音がきちんと気持ちいいか?」をしっかり意識すべきです。
 また、すでにリリースした作品でもアップデートで効果音を気持ち良いものに変更する事でその後の売れ行きを多少増やす効果があります。
 もしアップデートで効果音を気持ちの良いものに変更した場合は、それをきちんと告知するようにしましょう。
 

 効果音と同時にグラフィックで「気持ちいいエフェクト」をつけて爽快感をアップするのももちろん忘れないように。
 
 単純にヒットエフェクトをつけるだけでもヒットエフェクト無しに比べて気持ち良さはずいぶんと増しますし、ダメージの大きい攻撃が当たった時はより派手めのヒットエフェクトにすると爽快感がさらに増します。
 そういう「気持ち良さ」というのはプレイ動画でもしっかり伝わり、「気持ち良さそうなので自分もこのゲームを買って遊んでみたい」という気にさせて売れ行きアップにつながります。
 ただし、エフェクトの表示がうるさすぎて何がなんだからわからない絵面にはならないようにも注意を。

 ソウル系の死にゲーも3Dのや2Dので色々出ていますが、「敵を切った時の効果音やエフェクトがしっかりと気持ち良い」という物はやはり魅力的で購買意欲も高めて、逆にそれらが駄目なゲームは魅力が大きく落ちてしまいます。


<無音ではなく効果音を足した方が気持ちよくなる事も>

 このように「効果音をより気持ち良いものにする」のも大事ですが、それ以外にも「無音ではなく効果音を足した方がより気持ち良くなる」というのにも注意しましょう。
 
 例えば2Dや3Dのアクション系ゲームでキャラのジャンプ時に音が鳴らないゲームもわりとあります。
 しかしジャンプの時にそれなりの効果音を入れた方がジャンプ時の気持ち良さがずいぶんとアップするのです。
 これは実際に自分でゲームを作って試してみるとその差がよくわかるでしょう。

 「無音より効果音を入れた方がユーザーはより気持ち良くなる」というのは色々なジャンルでも共通していて、うるさくなりすぎないように効果音を入れていってください。
 RPG系のゲームでもショップで物を売却する時に無音より「チャリン」とか「ガシャン」みたいなレジの音を入れるとアイテム売却がずいぶんと気持ち良くなります。

 カードゲーム系もそのカードを引く時の音や、場に出す時の音などで気持ちが良い音を鳴らすようにすると、ゲームプレイ時の気持ち良さが多少増してプレイヤーに良い印象を与えます。

 
 効果音については専門のスタッフに作ってもらう場合はともかく、スタッフ数を抑えるために自分で作る場合は必ずモニタリングヘッドフォンで音をしっかり確認するようにしてください。
 スピーカーで鳴らした時と違ってヘッドフォンで鳴らした時に耳障りな音になってしまっている効果音もわりとあるからです。
 そのような音はヘッドフォンをしてプレイするユーザー達に不快感を与えて楽しい気持ちを萎えさせたり、ストアに書かれるゲームの評価を下げられてしまいます。

 

このシリーズは私のnoteの「ゲームの売れ行きアップ方法」のマガジンで連載しています。
第1回から順番にお読みください。


次回は第9回「リリース時の価格も考える」です。
価格設定によってはリリースしたソフトがびっくりするくらい売れない事態にもなってしまいます。
消費者はインディーゲームの価格についてはかなり敏感なのです。