「ちえ」⑤「告白の場所」

想定外の場所で告白してしまったので、その夜に告白する予定だった場所に「ちえ」を連れて行きました。

そこでもう一度「俺と付き合ってください」と言うと。

「うん。良いよ」

「ちえ」の顔をのぞくと目と目が合いました。すると「ちえ」が目をつぶりました。

「これってキスして良いってことか?」(心の声)

「良いの?」

「T君、私のこと好きなんだよね?」

「うん」

「じゃあ良いよ」ということで想定外に初キスも済ませてしまいました。

「俺、Kさんのこと大切にするから」

「うん···」

少し、小腹が空いたので、その後で、二人で喫茶店に行きました。

「T君ってオシャレなお店知ってるね。さては、元カノと来てたなあ?」

「そういう話しはやめようよ。俺もKさんの元彼のこととか気になるけど聞かないから」

「聞くと、ヤキモチやきそうだから」

「うん、分かった」

二人ともアイスコーヒーとサンドイッチを注文して待っている間に「ちえ」が恥ずかしそうにモジモジしながら

「ねえ、私達って、もう付き合ってるで良いんだよね?」

「うん。Kさんが良ければね」

「T君、さっき、私のこと大切にするって言ってくれて、ありがとう。私、あんなこと言われたことないから、凄く嬉しかった」

「それでね、お互いに呼び方変えない?」

「呼び方?」

「だって、付き合ってるのに、いつまでもT君とKさんじゃ変でしょ?」

「そっかあ···」

「ちえ」がモジモジしながら「ねえ、T君のこと、トクちゃんって呼んでも良いかな?」

「ああ、高校の時は、トクちゃんって呼ばれてたからね」

「女の子でT君のこと、トクちゃんって呼ぶ子いる?」

「女の子では、いないな」

「じゃあ、女の子で、トクちゃんって呼ぶのは私だけだよね?」

「うん、そうだね」

「良かった」

「じゃあ、俺は、Kさんのことなんて呼ぼうか?」

「う~ん、私は、名前で呼んで欲しいかな···」

「名前って「ちえちゃん」ってこと?」

「じゃなくて「ちえ」って呼んで欲しいんだけどな···」

「えっ、いきなり呼び捨てで良いの?」

「だってT君は、私の彼氏でしょ?」

「う、うん。そうだよね」

「だったら呼び捨てで呼んで欲しいな」

「分かった「ちえ」って呼ぶよ」

「ねえ、明日も会えるかな?」

「うん、大丈夫だよ。これから、土日は空けとくから」

「明日、行きたいとことかある?」

「う~ん、特にないかな···。トクちゃんは、どっか行きたいとこあるの?」

「う~ん。あ、一つだけある」

「それってどこ?」

「ラブホ」

「···」

「ウソだよ。冗談だよ。さすがに告白した翌日に行くのは早いよね」

「それに、そういうことするなら、ラブホじゃなくてアパートでしたいから」

「ちえ」が下を見ながら「トクちゃんが、行きたいなら良いよ···」

「いや、そういうことするならアパートでしたいんだって」

「なんなら今日、泊まってく(笑)」

また、俯きながら「トクちゃんは泊まってって欲しいの?」

「うん、そりゃあね。でも、まだ早いよ」

「私は、良いよ···」

「いや、だから冗談だって」

「トクちゃんが、ホントに泊まって欲しいなら泊まるよ」

「本気で言ってんの?」

「うん」

「でも、軽い女の子って思わないでね。トクちゃんだから、良いかなって思ったんだから」

「本気にしても良いの?」

「うん」

                                                                       つづく


うつ病で苦しんでいる方達に希望を与える活動をしていきたいと考えています。よろしければサポートをお願いいたします。