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自己資本比率を高めよう

自己資本比率とは、自分たちのお金が全体の借金や純資産の何パーセントを占めるかを示す数です。自己資本比率が低いと、他人のお金に頼りすぎて不安定な会社運営をしていることになります。それでは、会社の独立性に不安を感じることになりかねません。一方、自己資本比率が高いと、経営が安定していて倒産しにくい会社になります。自己資本比率は、会社の安定性を表す数で、高いほどいいです。

会社の経営を安定化させていくために、事業承継の魅力を高めるために自己資本比率を高めましょう。

貸借対照表で見ると主に右側になります。
「負債の部」「純資産の部」で表されているところです。
「負債の部」には買掛金、未払金、未払いの税金、銀行からの借入金などがあります。
「純資産の部」には資本金、資本剰余金、利益剰余金などがあります。
「負債の部」「純資産の部」の合計を「純資産の部」で割った数値が自己資本比率になります。

取り組むべき項目
①買掛金、未払金を減らす
②銀行からの借り入れを減らす
③利益剰余金を増やす
④資本金を増やす

①買掛金、未払金を減らす
企業間取引の場合、月ごとに締め日・支払日を設けて会計業務を行っています。多くの企業が月末締め翌月末払い、20日締翌20日払いの30日サイクルです。
支払い期間が30日を超える場合は、何か理由があるのでしょうか?
主要取引顧客の支払いが遅いのでしょうか。売上入金を確認してからその資金を流用するのでしょうか。
今までの慣例で支払期間が長い場合は再検討したほうが良いです。

約束手形での支払い
政府と産業界、金融界は、 2026年の約束手形の利用廃止に向けた取組を行っています。約束手形による支払いは、現金が手元に入るまでの期間が長く、支払期間前に現金化する際の割引手数料が高いことから、取引上の立場の弱い受注側企業に対する資金繰りのしわ寄せになっています。(中小企業庁から)
未だに、10万円台の金額で4か月先の約束手形を発行している会社もあります。約束手形を発行する必要があるのでしょうか?慣例に従って発行し、無駄にお金の流れを複雑化しているとしか思えません。
約束手形には決済日があります。
指定された日には、当座預金に決済金額を準備しておく必要があります。処理を誤れば、不渡り手形になりかねません。もっとも、そんなリスクのある会社に約束手形を発行する権限を銀行は与えないとは思いますが。

②銀行からの借り入れを減らす
銀行からの借り入れには「短期借入金」と「長期借入金」があります。
短期借り入れとは、1年以内に返す必要のあるお金のこと、つまり運転資金として使われます。金利は長期借り入れよりも低いです。売掛金が全て回収できれば返済することができるように計画されていますので、売掛金の範囲内であれば、赤字でも借り入れることができる場合もあります。
長期借入金とは、1年以上の期間で返済する借金のことです。長期借入金は、設備投資のための資金を提供することが一般的で、利益や減価償却費を元にして返済されます。数年間にわたり毎月一定額を返済していきます。住宅ローンのような形です。
審査においては、事業計画の提出や設備投資計画の提出を求められる場合もあります。
契約においては、担保を提供求められる場合もあります。
新型コロナウイルスの景気対策として、無利子(県などが利子分を補助)する制度もありました。
「短期借入金」「長期借入金」ともに本来の目的に沿った形で使われているでしょうか?借り換えを繰り返しているようであれば、銀行の餌食になっているだけなので、早急に見直しが必要です。
金利は適切でしょうか?定期的に他の銀行と比較検討していますか?
余分な現預金を持ちながら「借入金」を計上し続けてはいないでしょうか?
事業承継を考えるなら「借入金」はマイナスです。
トクニ工業は2018年3月決算で37期にして、おそらく初めて長期借入をゼロにしました。その後、2020年にはコロナ融資を受けたのですが。

③利益剰余金を増やす
決算書の損益計算書の最終行、当期純利益が、貸借対照表の繰越利益剰余金に加算されます。つまり、利益を出して、税金を払い、その残りが当期純利益となり、純資産に組み込まれます。
但し、現金が増えるとは限りません。
機械などの設備となっている場合もありますし、売掛金となっている(まだ現金化されていない)場合もあります。
それでも利益剰余金を増やしていかないと自己資本比率は上がっていきません。
税金の支払いを避けるため赤字と黒字を繰り返している会社は、いつまでたっても自己資本比率は上がっていきません。帝国データバンクなどの信用調査においても高評価を得ることはないでしょう。新規取引先を探す過程の中で、信用調査の結果は、依頼するに値する会社かどうかの判断に影響を与えます。経営上の理由で仕事の依頼をしたのに、製品が完成しなかったら困ったものです。ましてや前金で支払っていたら。

④資本金を増やす
会社が新たに株式を発行し、その株式と引き換えに株主から出資を受けるというものです。
私も20年ほど前、増資を行うために株式を発行し、買い手となりました。有限会社から株式会社に移行したときの1000万円から、2倍の2000万円にしました。その際、税理士に1株当たりの株価を算定してもらいました。その結果、創業当時50円の額面は、10倍の500円になっていました。
資本金は2倍になりましたが、増資の結果、手に入れた株は、全体の9パーセントだけでした。
事業承継をする場合には、ただ株式を譲渡されるだけではなく、実際に会社に出資するわけですから、より深い意味を持つことになるでしょう。

あくまでも、町工場の二代目社長の私の視点です。

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