見出し画像

設備投資について

設備投資は、生産設備の新陳代謝です。
継続的に走り続けるために、定期的に設備投資を行っています。

設備投資には大きく
・新規分野の開拓のための設備投資
・既存の生産設備の更新
があります。
今回は既存の生産設備の更新に的を絞って話を進めます。

トクニ工業が行っている精密板金加工は、切る・曲げるなどの用途に特化した加工機を用いて行われます。切断・折り曲げ・ロボット溶接機はCADで展開図形を作成し、機械ごとにプログラムを作成し、加工します。
切断に用いられるレーザー加工機は、発振器と呼ばれる装置でレーザービームを作り出し、一筆書きの要領で板を切断し、展開形状に加工します。レーザービームを生成する発振器は1年ごとに車の車検のように定期的にメンテナンスされます。それも結構高額な費用をかけて。
生産設備は様々な駆動部品を使って複雑に制御され稼働しています。そのため、同じ動きを数十万回、数百万回と行っていくと経年劣化が生じ、消耗品の部品交換が必要になります。
またOSにウインドウズを使っているNC装置の場合、10年15年と使ってくるとOSが古くなり他の機械との連動が困難になります。また、基盤上のトラブルが発生した場合など修理不能に陥りかねません。と同時に10年以上前のOSと現在主流のOSでは処理速度に大きな差があります。

10年から20年のスパンで既存設備の更新を行っています。
設備の更新で感じるのは、
・早い
・簡単
・高精度
です。
働き方改革で、労働時間が制限されるようになった製造現場で、効率化は主要な命題です。また求人難で、労働力不足も製造業全体に覆っています。「早い」というのは生産能力を上げるだけではなく、短縮されていく労働時間の中で生産力を維持する為にも成果を出しています。
機械のオペレーションが「簡単」になっています。特にセッティング・段取りが簡素化されることで、操作が容易・不良発生の軽減につながっています。職人技で紙を挟んで微調整、というのも良いのでしょうが、80点の出来で10分の1の時間で調整が出来るのであれば、御の字ではないでしょうか。
生産設備も毎年改善・改良されているので、「高精度化」も図られています。微妙に、それでも作業者が判るくらいに改善されています。
それらのメリットに対し、設備投資にかかる費用を妥当とみるかどうかは、経営者それぞれの判断にかかってくると思いますが。

ものづくり補助金などに代表されるように、行政の政策で様々な補助金が設定されています。自力で申請される企業もあると思いますが、コンサルタントに依頼するという選択肢もあります。様々なコンサルタント業者が乱立し、費用もピンキリのようですが、機械メーカーの営業担当、金融機関の法人多淫当者などに相談すると適切な業者をあっせんしてくれるかもしれません。
補助金の申請にはやはりノウハウがあり、申請書類に不備があるとはねられてしまうため、社内スタッフで対応するには相応のコストが発生します。対応可能な人材が揃っているなら良いのでしょうが、本来ものづくりに取り組むべき人材を割いて申請書づくりにあたらせるのは、酷だと思います。
私も数年前にものづくり補助金の申請書を数十時間かけて作成しましたが、あえなく不採択となりました。その時は、不採択の理由を確認する術もなく(現在は問い合わせ可能です)、徒労感だけが残りました。

以前は金融機関から長期借入を組んで設備投資を行っていました。およそ5年くらいで借り入れを起こし、60回払いで返済していました。
ローンですね。
返済し終わるとまた次の設備投資のために長期借入を起こすという具合でした。
そのような資金繰りサイクルでも年々少しずつ改善され、5年返済が3年返済になり、借入額も全額から一部自己資金で賄えるようになり、現在では、補助金の活用もあり自己資金で賄えるようになってきました。
また借り入れを起こす場合でも、県のゼロ金利融資(一定の条件を満たすと県が金利分を負担してくれる時限制度)などを活用し、金利負担を軽減することが出来ました。低金利で複利2%で5年借りた場合、およそ10%の利子を負担することになります。1000万円借りると利子の負担額は約100万円。

無理な設備投資で運転資金に影響が出るようでは元も子もありません。
設備投資は、町工場を経営していく上での新陳代謝です。
継続的に走り続けるために、定期的に・計画的に・無理のない範囲内で、設備投資を行っていきましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?