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【徳島に乾杯 クラフトビール➀】常に新しい味わいをつくり続ける「2nd Story Ale Works」(徳島市)

 小規模醸造所で素材や製法にこだわって作られる「クラフトビール」。徳島県内でもブリュワリーが相次いで誕生しており、スダチやウメなど地元の素材を使ったものも多く、個性的で多種多様な味わいは初心者にもオススメ。人気を集めている県内のブリュワリーを巡ってみた。

 徳島市郊外、山あいに広がるのどかな田園の中に小さな醸造所がある。八多川のほとりに建つ「2nd Story Ale Works(セカンドストーリーエールワークス)」は、パトリック・ブラウンさん(54)=米国モンタナ州出身=と妻の友貴さん(51)=徳島市出身=が2018年に始めたブリュワリーだ。これまでに製造してきたビールは120種類ほど。「常に新しいものをつくり続けたい」と2人で試行錯誤を重ねている。

パトリックさん(左)と友貴さん

 醸造所は、米国の大学で醸造を学んだパトリックさんが、友貴さんの実家の車庫をDIYで改修した。中には大小合わせて6つのタンクが並ぶ。取材に訪れた時は、苦みが少なくジューシーな「IPA(インディアン・ペール・エール)」、カルダモンとレモンピールを用いたさわやかな「セゾン」、コクがありクリーミーな「ミルクスタウト」など、定番と称される種類をはじめ、「オレンジジェラート」というデザートビールがつくられていた。暑くなる時季に向け、さわやかな酸味の「サワーエールIPA」を開発中だという。

トロピカル&ジューシーでホップの魅力満載な「New England IPA」

 副原料に使用するのは地元産の食材。自分たちで育てたスダチやユズ、イチジクや、友貴さんの親戚が営む柑橘(かんきつ)農園から仕入れた「はるひ」「麗紅(れいこう)」などさまざまだ。梅酒づくりに使われた吉野川市美郷の梅をもらい受け、香り付けとして再活用したこともある。「どんな材料を使うのか、どんなスタイルでつくるのかを考えるのは楽しい」とやりがいを語る2人。県内外の同業者や海外からの情報も取り入れ、自分たちのビールづくりを追求している。

生産・販売中のクラフトビール(4月時点)。ラベルのデザインはパトリックさんが考案した

 現在はECサイトでの卸売りをメインに営業し、全国各地の酒販店や飲食店と取引をしており、徳島県内では徳島市の6店と、小松島市立江町の産直市・みはらしの丘あいさい広場で取り扱う。醸造所でもメールで予約すれば瓶ビール(330ml入り、650円)を購入でき、施設の見学も可能。24年度をめどに販売店を建設する計画があるそうだ。

 パトリックさんは「冬は黒ビール、夏はサワーエールのように季節に合わせてたしなむこともできる。日本人の主流であるラガーだけでなく、他にもいろんな種類のビールがあることを知ってほしい」と話した。(2023年4月取材、商品や価格などは取材時点のものです)

友貴さんの実家の車庫を改修して作られた醸造所。ロゴが目印

〔2nd Story Ale Works〕
オープン:2018年
住所:徳島市八多町友広148
駐車場:あり(1台程度)
連絡先:beer@2ndstoryale.jp
HP:https://2ndstoryale.jp/