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下水道の魅力を伝えるZINE完成!東京地下ラボフィナーレ 〜作品紹介編〜


2019年2月13日、東京地下ラボの集大成である「成果報告会」が東京都庁で開催された。東京都下水道局は今年度、都民に下水道への関心を高めてもらうため、「見せる化アクションプラン」を策定した。そして、若い世代をターゲットとした取組の核となるのが、東京地下ラボの取組である。

専攻・学年が異なる大学生が集い、若い世代の代表として新たな視点から下水道の魅力を探り、その魅力をZINE(小冊子)のカタチで同世代に広めることが、今回のプロジェクトの目的だ。

前回の記事に引き続き、惜しくも受賞を逃したZINEも漏れなくご紹介。どのチームも下水道の魅力を様々な切り口で伝えようとしており、非常にユニークで面白いものとなっている。


A班【お金×下水道】

【お金×下水道】ZINEをダウンロード

コンセプト:お金×下水道
下水道の魅力を伝えるにあたって、「下水道は私たちの生活に身近なように見えて、実は身近ではないのかもしれない」ということに着目した。というのも、私たちは日常的に水を使っているが、それが下水処理によって成り立っているとまでは考えが及ばない。そのため、下水道の役割や魅力が、人々の日常に溶け込んでしまい、認識し辛いものとなっているのだ。この問題を解決するために、今回は、下水道に密接に関係する、私たちの生活に”身近”な行動に焦点を当て、さらにそれらを「下水道料金」と結びつけた。
デザインは、普段の消費行動と関連づけるという意味で、スーパーの折込チラシをイメージした。下水道の利用を「お買い物」のようなものと捉えて、使うたびに思い出してもらい、下水道をより身近に感じてもらおうという狙いである。

E班【流SAY】

【流SAY】ZINEをダウンロード


コンセプト:水に流そう!
今回制作したZINEでは「水に流す」という言葉の意味の二面性に着目した。一方の意味は、人間関係などで発生するモヤモヤを「水に流す」こと。もう一方の意味は、下水道があってこそ成立する、汚れなどを物理的に「水で流す」こと。
この二面性を掛け合わせて、人間関係などのモヤモヤを、精神的にも物理的にも「水に流せる」ZINEである、「流SAY」を制作した。流SAYは、「流せ」+「say(言え!)」という二つの意味を掛け合わせたもの。そして、このZINEにはトイレに流せる紙を付属しており、実際に心のモヤモヤを書いて、トイレに流してもらい、下水道を通して清々しくなってもらおうという狙いがある。また、ZINEは袋とじになっていて、下水道や心のモヤモヤが「目に見えづらい」ことを表現している。

F班【下水族館】

【下水族館】ZINEをダウンロード

コンセプト:微生物の水族館
今回制作したZINEでは、下水道の魅力を伝えるために、微生物に焦点を当てた。フィールドワークで実際に水再生センターを見学した際に、微生物が下水の汚れを食べてきれいにしていることや、微生物の働きを活発にする仕組み、そしてその種類の多様さに純粋に驚いた。その驚き、つまりは微生物を通して他の若者にも下水道に興味を持ってもらいたいという思いから制作した。
デザインは、
A3サイズの用紙を手のひらサイズの正方形まで小さく折り畳むことで、顕微鏡の中を覗き込みたくなるように、「覗いてみたくなる作品」を目指した。小さな微生物の世界をポップに描き、ZINEを開くとまるで水族館の中にいるような感覚を味わえるよう制作した。


G班【RAIN】

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コンセプト:雨
昨今、東京ではゲリラ豪雨が多く見受けられる。にも関わらず、下水道が浸水防除の役割を担っているということを、過半数の若者が知らないという事実を目の当たりにした。そこで、下水道の数ある役割の中でも、浸水対策事業を発信することで、若者の下水道に対する関心を高められるのではないかと考えた。そして、「浸水の防除」に関する知識を通し、下水道事業を学べるZINEを制作した。デザインとしては、下水道という言葉ではなく、「RAIN(雨)」という言葉を用いることで馴染みやすい印象を与え、インフォグラフィックを多用し、視覚的に理解できるものを目指した。オモテ面には下水道に関する問題があり、ウラ面にはその答えを連動する形で記載することで、他の人と問題を出し合えるという楽しみ方を込めたZINEになっている。

H班【Underground】

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コンセプト:若者が若者に対して制作するZINEということで、まずは若者のインサイトについて探ってみた。昨今の若者の関心事は大きく分けて、「日常を切り取り発信する」「写真で情報を伝達」「背伸びしない、等身大なロールモデル」の3つがあると考えた。instagramの人気も、この3点が関係している。これらの若者の関心事を反映すべく、今回のZINEでは、同年代のモデルに同行してもらい、実際に水再生センターへ訪問取材するとともに、下水道に関するさまざまなカルチャー情報を多くの写真とともにまとめた。
誌面は、若者が1日かけて東京中を巡る「冒険」という形で構成している。デザインとしては、誌面細部に掲載された情報を発見することに楽しさを感じてもらったり、手書き文字や切り抜き写真でアナログさを生み出したりして、ワクワク感を表現。「冒険」と「発見」の二軸で、楽しさが溢れるZINEにした。

以上が、前回紹介したものを含め、全8チームが制作したZINEである。
どのチームもレイアウトや伝え方の細部にまでこだわっているので、是非読んでいただきたい。
きっと、東京下水道へのイメージが変わることだろう。

次回以降は、イベントに対する事後インタビューなどを掲載予定。
参加学生や、下水道局の方々の生の声をお届けしたい。


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