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【2月の本よみ】 東京 2020

「東京の本よみ」という名前でこの活動をはじめて、1年ちょっと。

これまでで最も「都会的」という言葉が似合う一枚ではないかと思う。

シャッターを切った瞬間に「アーバン!」とこころの中で叫んだほどだった。


前面ガラス張り。

そこに反射する室内の小さなライト。

見下ろすと途切れることのない人の往来。

入り口がややアーチ状になっているトンネルのような道には、左右の両側にデジタルサイネージが等間隔でずっと奥まで続いていて、近未来的な雰囲気を助長している。


そんな光景を前に、カウンター席で本を読んでいたのは、Bluetoothタイプのヘッドホンをつけた青年だった。


平日の夜の時間帯だったせいもあり、下を歩く行き交う人々はみな忙しなく足早に見え、それとは対照的に、青年は静かに腰を据えて読書に集中していた。


周囲でどんな時間が流れていても、その場所がどこだとしても、本はいつでも読む人にそのペースをゆだね、急かさず、本がもたらす特別な時間をくれる。写真を見返しながらそんなことを思った。


本をよむ人が醸し出す "静的な空気" と、東京ならではの忙しなさも含めた "動的な空気" が入り混じった、東京の本よみらしい一枚になった。


text:Tamura Mayo


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