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Facebookページ2,000万いいねのTokyo Otaku Modeが実践するSNSでの宣伝投稿の考え方

こんにちは。
Tokyo Otaku Mode(TOM)でマーケティングやメディアの運営を担当している清水です。

TOMではFacebookなどSNSを通じた海外への情報発信と、海外に向けてアニメグッズを販売する越境EC事業などを行っています。このブログを通して、海外・越境でぶつかるハードル(言語、通貨、配送、関税、法律などの違い)をどう乗り越えてきたかをを余すことなく伝えていきます。

今回は、Facebookページの海外ファンが2,000万人超えで、TOMを代表する海外メディアにおける、宣伝投稿の考え方について記します。

ユーザーがSNSに求めるもの

企業がSNSを行う目的は、自社のブランディングやサービスの宣伝というのが一般的でしょう。

TOMでは、その効果を最大化するために、海外にいるアニメ・漫画・ゲームファンのなるべく広い層にリーチできるように、通常の投稿では、宣伝要素を一切のぞいた、純粋にSNSにいるファンが楽しめるコンテンツを投稿し続けています。

そうした投稿の流れで、いよいよ宣伝を行う時、どのような考え方で投稿するべきでしょうか。宣伝投稿はどのような内容が適切かを考えるために、まずは、フォロワーやファンがどのような気持ちでSNSを利用しているかを整理してみます。

みなさんもそうだとは思うのですが、SNSを眺めるときは、ちょっとした時間やヒマなときなど、リラックスしている状態であることがほとんどだと思います。心が落ち着いたときにあからさまな広告で、かつ自分に興味のないコンテンツが見えてきてしまうと、どうしてもネガティブな反応をしてしまうのではないでしょうか。

ファンが求めているコンテンツは、単純に面白い内容だったり、自分が好きなことだったり、家族や友人の近況などの投稿でしょう。企業アカウントの場合、ふだんの投稿がSNSの文脈に沿った「おもしろい投稿」になっていても、いざ宣伝をするときになると、とたんに「CMっぽい宣伝投稿」をおこなって、エンゲージが下がり、その結果リーチが伸びなかったりすることが多々あります。

宣伝投稿をする場合も、ふだんの投稿フォーマットに即して、「面白い」「親和性のある」「興味のある」内容に寄せていくことが重要です。
フォロワーやファンがどのような内容を求めているかは、過去にエンゲージの高かった投稿を分析し、共通する内容や要素を導き出すのが良いでしょう。

誘導先のプロモーションをしたい気持ちはわかりますが、ストレートに宣伝をしてしまうと、フォロワーやファンは企業がFacebookのタイムラインから別のページへ誘導しようとしていることに敏感に気づきます。ファンが求める内容に寄り添った形の宣伝投稿をすることで、エンゲージメントを維持することができます。

TOMでも、宣伝投稿の内容を考えるときに、例えば100万リーチ以上取れた投稿を分析、それらの内容を踏まえて自然な形でファンへ共感を呼ぶようなコミュニケーションを目指しています。
参考事例はこちらです。

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(訳「100万ドルもらえるけど、二度とアニメ見られないボタンを押しますか?はい、いいえ」)
シンプルな質問ですが、コメント欄で議論を呼び起こすような、アニメファンにとっては究極の選択を突きつけ、ファン同士がどんな考えを持っているかを見ることで、「コメントもコンテンツ」として楽しめる投稿になっています。

TOM Facebookで人気のあるmeme的な投稿を踏まえてオリジナルな画像を作成、またアクションを促すような内容にすることで、エンゲージメント率も高く、誘導も一定獲得することができました。宣伝投稿で100万リーチを超え、成功例のひとつといえます。
※meme(ミーム)とはインターネット上で流行っているネタみたいなものです。主に画像や動画と文字で構成されていることが多いです。FacebookやTwitterの投稿画面でGifをクリックすると表示されるものもmemeの一種だと思っていただいてよいと思います。

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段階を踏んだアプローチ

宣伝投稿をフォロワーやファンが求めている内容に寄せるのに加えて、段階を踏んでアプローチをしていくことも重要です。例えば、会員登録をして欲しいからといって、いきなりそれを促すような投稿をしても効果が出ることは多くはありません。

こちらに関しても直近でのTOMの参考事例をご紹介します。
TOMではTokyo Honyaku Quest(THQ)というブロックチェーンを活用した翻訳プラットフォームをbitFlyer Blockchain社、イード社と共同運営を行っています。

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https://honyakuquest.com

そこでアニメファンの翻訳者を集める目的で、TOM Facebook上で投稿を行うことになりました。翻訳者の力量を測るためにテストを受けてほしかったのですが、投稿からのリンク先でいきなり本格的なテストが始まってしまうと、ファンも一歩引いてしまうかと考えました。THQの世界観に合わせたRPG的な文言を採用し、さらにかんたんに答えられるアンケート形式の一次試験と、本格的なテストである二次試験に分けました。

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結果、1回の投稿だけで一次試験の受験者が約4,900人、二次試験の受験者も約130人集めることができました。翻訳者のリクルーティングという観点では、1回の投稿でそれなりに応募者が集まったといえるでしょう。Facebook投稿自体もとても伸びて、リーチは350万を超えています。

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(訳「日本人が食事をする前に言うことはなに?」「A. さよなら」「B. こんにちは」「C.いただきます」「D. おまえはもう死んでいる」)
翻訳者の募集という目的で、かんたんな日本語のクイズを用意しました。選択肢のひとつに「ボケ」を入れることで、コメント欄で思わず突っ込みたくなる楽しい感情を呼び起こします。

Facebookで1問のクイズ、次にアンケートフォームで2問の日本語アンケート、最後に、30分を超える本格的な日本語試験といった順番で、エンゲージの高まりにあわせて、高いハードルを徐々に乗り越えてもらうような仕掛けになっています。

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段々と「大変になる」テストを、熱量が下がらないうちに、次のステップへの案内を続けて案内することが肝です。

THQでの翻訳者募集はこの形式を参考の施策として、似たような形式での投稿を複数回行っていますが、どれも一定以上の応募数を獲得することができています。

リアルに考えてみれば、デートの1回目で結婚のプロポーズをしても成功率が高くなく、だんだんとデートを重ねて温度感を高めていって、お付き合いしながら、機が熟したときにプロポーズ、というステップを踏むのは、とても自然なことです。

参考とするSNSアカウントの分析

ふつうに宣伝投稿をしてしまうと、「面白み」がないため、フォロワーやファンからのエンゲージメントはどうしても減ってしまうものです。それを避けるために、フォロワーやファンがSNS投稿に求める要素を分析するべきなのですが、過去実績が溜まっていないこともあるかと思います。

そんなときは自分たちが目標とするSNSアカウントを見つけ出して分析するのも、賢いアプローチになります。例えば、インターネット上のインフルエンサーさんの企業案件に関する投稿を分析してみるのもよいでしょう。

彼/彼女らは宣伝的な投稿においても、エンゲージメントを下げないように意識していると考えてよいはずです。

企業案件の場合、クライアントさんはその企業案件の投稿への反応だけでインフルエンサーさんを評価します。その投稿があまり伸びていないと、クライアントからは次回以降の発注がなくなるかもしれませんし、その他のクライアントからも敬遠されてしまうかもしません。また、宣伝的な投稿によって一般ユーザーのエンゲージメントが下がってしまうと、そのアカウントそのものの価値も下がってしまいます。YouTubeであればプラットフォームからの広告による収益も減ってしまいますし、チャンネル登録者数も減ってしまうかもしれません。

そのような状況を避けるためにも、インフルエンサーは企業案件こそ気を払って投稿内容を検討していると思います。そんな彼/彼女らの投稿を分析してみるのは有用だと考えてよいでしょう。

例えば、アニメ系海外のYouTuber全般を眺めると、企業案件の動画では
・ほかYouTuberとのコラボを積極的にしている
・字幕を丁寧につけている
・編集に凝っている
・動画タイトルだけでは企業案件だとわからないケースが多い
・動画タイトルにツッコミの余地がある
・動画内容にツッコミの余地がある
などの要素が入っており、インフルエンサーによっては宣伝投稿であっても、かなり再生されるような動画を作ることができています。

上はひとつの例ですが、自分の会社とマッチするようなインフルエンサーを見つけ出して企業案件(やその他の投稿)を分析し、自分たちのSNSにも応用できるようなところがあったら積極的に取り入れていくことが重要だと思います。

まとめ

・SNSに滞在している人の気持や視点で、宣伝としてストレートな表現は避ける
・過去の投稿の分析を行いチューニングしていく
・いきなり最終的なゴールをフォロワーやファンに要求せず、段階を踏んでアプローチする
・参考となるSNSアカウントを見つけ出し、フォロワーやファンが求める要素を分析する
・インフルエンサーの企業案件に関する投稿の分析もおすすめ

Tokyo Otaku Mode

日本の誇るOtakuカルチャーを世界に向けて発信するTokyo Otaku Modeは、「オタク文化で世界をハッピーに!」というビジョンのもと、日本と世界をポップカルチャーでつなぐ架け橋となるべく、越境EC事業やメディア事業などを行っています。

2019年には、WEBを中心に展開して来たTOM初となる実店舗「Tokyo Otaku Mode TOKYO」を渋谷パルコ6Fにオープン。それに伴い国内向けECサイトもスタート。TOMオリジナルアイテム群を中心に、人気キャラクターアイテムを独自の目線で集めたセレクトショップを展開しています。

また、世界130ヵ国以上への配送実績があるTokyo Otaku Modeの物流ノウハウを活かした全世界対応型の物流委託サービス「セカイロジ」では、国内外でEコマースに進出する事業者様を物流面から強力にサポートしています。

Tokyo Otaku Mode SHOP(グローバルEC)
https://otakumode.com/
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https://shibuya.parco.jp/shop/detail/?cd=025796
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https://sekailogi.com/

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