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経営のイロハ、起業ビフォーアフター[17]

連載記事【17/18】


起業したい人は、ぜひ見てみてほしい、「生々しい起業家の半生」にみる経営のティップス。そこには、時代を超越した起業と、その後に関するティップスが存在します。30年眠ってきた日本、そろそろ目覚めてみませんか?

尾崎氏のお話し、連載17回目は人間関係、これまでのキャリアについてです。

 今回は、これまでのノウハウや心得的なものというよりは、これまでのキャリアを振り返ってみるパートです。多くの経営者の方々や新規事業創出をリードされている人は、比較的若い方が多いでしょう、この先どういう事が起きるのか見えないのはいつの時代も変わりません、なんななかでキャリアのよりどころになるものは、やはり人であり、都度変わりながらも持ち続ける想いだったりするのかもしれませんね。

INDEX
1. “儲かる”ことをやるのではなく、やりたいこと・得意なことを軸にする
2. 事業計画・フィジビリティスタディ(=FS)の重要性
3. 起業の手続や作業は、全部自分で出来る
4. 資本金・運転資金の集め方極意
5. 政府金融機関・銀行との付き合い方
6. ベンチャーキャピタルは期待するほど機能しない
7. クラウドファンディングは資金集めになるか ?
8. 最初は恰好を付けない、実質勝負できる武装が必要
9. 情報収集は、ありとあらゆる手を使う
10. 意味のある人材ネットワークを構築する
11. 企画立案の極意・方法
12. 製品アイデア発案の極意・方法
13. 文書作成と文書管理の極意・方法
14. 営業の極意・方法
15. キーパーソンを見つける
16.“それいいね”と言われる「刺さる話」を展開する
17. 中小企業との付き合い方・大企業との付き合い方
18. いわゆるサラリーマンが言うことは、契約して金が入るまで信じるな
  (企業勤務者でもビジネスマンなら良い、この違いを見抜くのが重要)19. プロジェクトチームの創り方極意
20. 製作監理ではなく“一緒に編み出す”
21. 営業や技術の苦労は少し、大半は資金繰りの苦労
22. 出港した以上「空荷」では戻れない
23.“幸せ家族”の生活は少ないが、それでもかなりのことは出来る
24. 経営者は個人に全責任が掛かる、覚悟はあるか
25. 第三者の保証人にはなるな
26. 間違いがあれば全部負わなければならない
27. インチキ・不正は絶対しない
28. 節税しても脱税はしない
29. 競合との対応
30. 知的財産権(特許)
31. 世の中の要素を組み合わせ展開すれば、かなりのことが出来る
32. 所有する必要は無い、使用すればよい
33. 時間が経っても、本当の人間関係やネットワークは、いつまでも活きる
34. 必要充分で展開し、余剰は社会や次世代の若者に還元する

35. 事実と実質3

ではでは、本文にいってみましょう!

33. 時間が経っても、本当の人間関係やネットワークは、いつまでも活きる

 学生時代のアルバイトを含めると、もう55年以上も何らかの仕事をやってることになるが、運にも恵まれて神のご加護があったけど、やはり宝物は人と人間関係だ。

 良い人と巡り合い、良い人間関係を築くのは、一流の人とお付き合いし、考えや感性がピタッと合う人を尊重し、何でも本気で一生懸命やるに尽きる。処世術や、その場限りの損得勘定や、想像だけの思惑や、意味のない縁(同郷とか同窓とか)の連がりを持つのは場違いで、真剣勝負しないと駄目だ。

 その理念(りねん:物事における根本的な考え)を外さなければ、“時間が経っても、本当の人間関係やネットワークは、いつまでも活きる”。相応しい相手も同じ考えだし、自分もそういう人たちから評価されるよう努力する。

 自動車レースの世界を出てから工業製品開発業を始めて、当時は知っていたが交流が無い人や企業もあった。ところが40年経過して、あるきっかけで開発会社と仕事で組むことになったら、そこの社長や要職にある旧知の人たちが“や~久しぶり”とばかり、今まで付き合っていた友達みたいに待遇してくれたことは、大変嬉しく幸せなことで、本当の人間関係が活きているありがたい出来事だった。

 自動車レースの仕事で初めてスポンサーになってくれた企業の方もそうだ。当時は宣伝部員で、自動車レースのスポンサーにOKを出して頂いた方だ。後に社長に就任され、退社後は政府事業を民営化した企業の初代社長になられた。業界の重鎮(じゅうちん:ある社会・分野で重きをなす人)で大変な人物なのに、気さくな方で50年以上もお付き合い頂いているばかりか、今でもご支援者であり日々新たに勉強させて頂いている。

 かつて一緒の世界に居た、レーシングドライバー・ラリードライバー・エンジニア・デザイナーの方たちも、facebookで所在を発見したりされたりすれば、直ちに facebook友達になり、日常交流が始まったばかりか、“週末に会おうよ”と50年ぶりにお茶する人も多い。みんな世界的な重鎮だよ。
だから、人間は常に向上して自分を磨かなければならないし、決してワルやインチキをしてはならない。でないと、このような宝と接することは不可能になる。

34. 必要充分で展開し、余剰は社会や次世代の若者に還元する

 きっと笑うと思うけど、私は皆の年齢の頃から大きな夢を抱いていた。京都から東京へ出て来て、3浪期間中と学生時代は、いずれニューヨークに出ようと本気で思っていた。だが、これは結果的にプロローグ(序幕)だった。

 ニューヨークへ行って何をするってのは漠然としていたが、世界企業に入って思う存分仕事するのが夢だった。実際、「世界のコングロマリット(多業種間に跨る事業を行っている大企業)の研究」で卒論を出し、花マルを貰っている。
 3浪で不利なことは判っていたので、一般的な就職活動をする気が無く、何か糸口を見つけようと渋谷から六本木に向かって歩いていた。その途中で、スピードショップに出会い、そこでフォミュラレーシングカーを手造りしていた。
 見ていると声を掛けられ話しているうち、“ウチへ来ないか”ということになり、二つ返事で意思決定した。私の生涯を決めた最初の出会いだ。

 これをきっかけとしてニューヨーク行は方針転換し、職業としてモータースポーツの世界にドップリ浸かることになる。ライフワークの出発点だ。

 レース業務をやって暫く経ち、ESSO RACING TEAMを創立してから“いずれF1に出よう”という気持ちが高まった。これが第1の夢だったが、FL500~FJ1300へステップアップし、来期はF2(F1のすぐ下)をやろうということになり、大型予算も提示されていた時に、忌ま忌ましいオイルショックが発生し、ここで仕事としてのモータースポーツは終わった。

 何社かで連ぎの勤務をした後、自社を創業しレース界のインフラを活用して「工業製品開発会社」をスタートし、40年経過した。
 友人・知人や業界関係者と飲む機会も多かったが、その場で、“パラメディックヘリコプターのネットワークを創りたい”と言って皆に笑われた。
 好きな自動車で人が死ぬことを防ぎたく、全国展開が進んでいた高速道路で事故現場にヘリコプターを着陸させ、迅速な救助を行う。同時に、ヘリコプターにはドクターが乗っており、搬送と同時に治療を行う構想だ。
 今は全国に高速道路網が広がっているが、当時の高速道路の計画から推定し、全国どこであれ事故現場に15分でヘリコプターが到着できるネットワークを創るには、初期投資で2000億円あればできると試算した。

 それから20年余り、ドクターヘリという名称でこのシステムが導入されたが、高速道路の事故現場に降ろすのではなく、近辺の小学校校庭に着陸し、救急車でリレーするというトロいことをやっている。これが第2の夢だった。
 工業製品開発会社として成長するにつけ、目標であり第3の夢だったのは「第2のHONDA」を造ることだった。笑ってるだろ、でも本気だった。ところが優良企業になるにつけ、大企業が乗っ取りを図って来たり、取引先に不祥事が発生したり、様々なバトルが発生して、この夢も99.99%実現不可能なのが現状だ。

 じゃ~、“必要充分で展開し、余剰は社会や次世代の若者に還元する”てのは何だ ? 私はもともと贅沢はしなかったし、仕事の必要性と趣味によって様々なクルマに乗って金は使ったけど、それは事業企画・製品企画でペイした。

 今まで結構稼いだが、開発屋の悲しい性(さが)で、手元にまとまった資金が出来れば、新しい事業や開発に注ぎ込んだり、維持費に使って、回収が終わってないまま手元資金は無い。
 こんなこっちゃ1割位は置いとけば良かったと思うけど、私の信条で、反省はしょっちゅうするけど、後悔はしない。それでイイのだ。したがい、“必要充分で展開し、余剰は社会や次世代の若者に還元する”ってのは、看板だけで終わりそうだ、まるで政治家みたいだね。

まとめ

 いかがだったでしょう、仕事ではよい人と出会うのは大事ですよね。不思議なのは、会ったその時は薄口挨拶だったりするのに、数年後大化けしてめちゃくちゃ面白い仕事を一緒にしている、なんてこともあったりしますよね。いつも思うのは、タイミングなのだなということだったりします。
 そして、キャリアもなにがきっかけになるかわからないし、なにが要因で仕事の内容が変わっていくのかも読めないですね…尾崎さんの一つの契機は、街中で見ていたモータースポーツの手造りの現場であり、オイルショックでした、イベントだったり、外部要因だったり…人生における逆境や、お休みの日のちょっとした出来事があなたの人生を変える事もあるかもしれませんね。最近であれば、あの伝染病が様々な変化を加速させたのが記憶に新しいですし、まさに現在進行形だったりするわけですが、今はチャンスの時なのかもしれませんね。あなたはこの時代の変化をどんな契機にすることが出来るでしょうか。

次回は最終回です。
35. 事実と実質3
このシリーズの総まとめとなります。ぜひ、読んでいただけると幸いです。
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