教育改革を改革する④

(前回の続きです。今回も寺田拓真さんの著書『教育改革を改革する』から引用を中心に。)

学校文化を変えられるのは、トップダウンの「教育改革」ではなく、ボトムアップの「実践改善」なのです。

しかし、現状、学校が実践改善を行うのは、困難な状況にあります。なぜなら、取組を進めるために不可な「四つのリソース」が、学校にはいずれも欠けているのです。

①「カネ」
②「ヒト」
③「盾」外部からの批判や介入から自らを守るための手段
子どもたちの多様な状況に応じて、学校が特色化を進めること自体については、誰も異議を唱えはしないでしょう。しかしそれはあくまで、他の学校よりもテストの点数が劣らず、他校における取組がなされていることを条件に、です。
この部分に対する批判、意見が学校の実践改善へのブレーキになっていると思います。

④「自律性」
自律性は、教師が変化するためのモチベーションになります。また、自律性の前提である信頼は、チャレンジするための心理的安全性を教師にもたらします。自律性は、新たなアイデアを生み出す創造力の源泉となるものです。自律性を奪われた教師たちは、「前例踏襲」と「横並び」の学校文化から脱却する力も意欲も失ってしまいます。

教師が「真の専門職化」されれば、教師と教育行政、政治家、保護者、さらには広く国民との関係を見たとき、根底には深い信頼関係ができます。しかし、教師たちがただ自分たちのやりたいようにやるのではなく、他方で教育行政や保護者たちも教師を放任するのではなく、そこには常にエビデンスに基づく、嘘りや遠慮のない対話があるべきです。教師たちには、こうした関係を構築し、リードできる存在になってほしい、そして、なってもらう必要があると思うのです。

この四つの要素は互いに作用し、絡み合っています。この四つのリソースが欠如しているということは、互いをつなぐものとして「成長の機会」が欠如します。
これまで教育行政や政治は、様々な法令や通達やプランを策定したり、(競争と管理による)プロジェクト型の予算を立案したりして、現場の改革を促してきました。
しかし、この状況を真に改善するために必要なもの、それは、「教師の人材育成」だと寺田さんは言います。教育の危機を救うのは、やはり教育の力。つまり、鍵を握るのは、「教育行政として、教師に対して、どれだけ成長の機会を届けられるか」だと考えます。

(多分続きます)

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