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突然ショートショート「春の工場で、一発ギャグを」

 新年度だ。俺達が働く工場にも、新入社員が配属されることが決まっている。
 今年は女子が来るかな、なんて期待しながら出勤すると、道路脇の掲示板に建てられた大きなポスターが目に入った。

 「『一日一回 一発ギャグで いい日だな』……?なんだこれ」
 「ああ、何考えてんだろうなうちの会社は……おっと、おはよう」
 「おはよう。一発ギャグってどうすんのかなあ、一体」
 二人でポスターの前に立ちすくんでいても仕方ない。ひとまず着替えて作業場に向かうと、始業放送で工場長からの挨拶があった。

 「えー、皆さんおはようございます。早速ですが今年度の職場環境向上標語『一日一回 一発ギャグで いい日だな』に因みまして、私から渾身の一発ギャグを」
 全員静かに聞いていたが、内心で「何が職場環境向上だ」と冷笑していたことは明白だった。

 「今日も一日頑張ろうそく!フーッ!」
 「……」

 沈黙が流れた。そして工場のみんなに灯っていた「やる気」という火が消えた。

(了)(400文字)


あとがき

 毎日楽しくいこうよ、って。そういうマインドを大切にしていきたいッス。
 ギャグに少し触れるだけでもいいっていうか、そんな感じがします。
 工場長の一発ギャグは例外かもしれませんが(笑)


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