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さらに詳しく強迫性障害(OCD)について学ぶ

強迫性障害(OCD)は、侵入的な思考(強迫観念)と反復行動(強迫行為)によって定義されるメンタルヘルスの状態です。

OCDを持つ人は、強迫観念について激しい不安を持ち、その苦痛を軽減するために強迫行為をおこないます。

OCDは治療可能な症状であり、症状の頻度と重症度を低下させることができる可能性があります。

OCDに関連する障害

OCDに関連する一般的な障害は次の通りです。

排泄障害
この障害は、人為的に傷を作成するか、既存の傷を悪化させる皮膚ピッキングによって起こるという特徴があります。

トリコティロマニア
強迫的に髪を引っ張ることを特徴とし、ストレスや不安に反応して症状が発生し、それを楽しいと感じる場合もあります。

身体異形障害
自分の体や外見について歪んだ見解を持ち、それに固執している状態です。この先入観により、強迫的なチェック、グルーミング、運動、比較、美容整形手術などにもつながります。

トゥレット症候群
この障害は、不本意なスピーチや動きを特徴としています。トゥレット症候群はチック(症状としては、不本意なけいれんや動き)の一種ですが、OCDやその他の不安障害を持つ人にもよく見られます。

買いだめ障害
自分の持ち物に強い愛着を持ち、時には家に住めなくなるところまで持ち物を集めます。

摂食障害
食べる物に固執し、コントロールするのに多くの時間を費やします。OCDとは併存疾患であり、何を、どのくらい、いつ食べるかという強迫観念があります。

強迫性障害(OCD)と強迫性人格障害(OCPD)

名前は似ていますが、強迫性障害(OCD)と強迫性人格障害(OCPD)はまったく違うものです。

強迫性障害(OCD)は強迫観念と衝動強迫という特徴がありますが、強迫性人格障害(OCPD)は完璧主義や秩序、人間関係のコントロールに焦点を当てていることを特徴としています。

強迫性人格障害(OCPD)のもう1つの特徴は、"目標達成のために他者を利用する"という点です。

強迫性障害(OCD)は予防できるか?

予防についての研究もありますが、100%効果のある方法は今のところ見当たりません。

OCDの重篤な症状を軽減できる可能性を考慮すると、全般的に"早目の治療を意識する"ことがポイントでしょう。

強迫性障害(OCD)の治療

OCDの治療では、症状の軽減や管理の方法を学ぶことがよくあります。

OCDの一般的な治療法は次の通りです。

Exposure and Response Prevention Therapy(ERP療法:曝露と反応防止療法)

主に曝露(不安に慣れる行為など)を使用して、不安の引き金に慣れることで治療を進めていきます。治療の経過につれて、暴露は不安の長期的な減少につながります。

2番目の要素は反応の防止です。クライアントが強迫的な行動に抵抗をしたり、管理することをサポートをします。

ERP療法はOCDにとって、最も効果的な治療方法と考えられており、一般的に60〜90分、8〜12回のセッションで完了することが基本となります。

Cognitive Behavioral Therapy (CBT:認知行動療法)

CBTは、クライアントに不都合な思考パターンを調整し、行動を変化させ、機能改善のサポートをおこなう治療法です。

CBTは、OCDなどの様々なメンタルヘルスの問題に有効であることが証明されており、エビデンスに基づく実績が多数存在しています。

CBTによるOCDの治療についての詳細は、次回以降に執筆予定なので割愛しますが、一般的に治療は"解決策"に焦点を当てており、12〜20回のセッション以内に結果をみることができます。

Acceptance and Commitment Therapy (ACT:アクセプタンス&コミットメント療法)

ACTは、現在の瞬間をリアルに認識したり、感情や思考に折り合いをつける時間や空間を使用するなど、少し変わった感じがする療法かもしれませんが、内容は非常に科学的です。

ACTの目標は"症状の軽減"ではなく、"困難な状況や状態の時に、その人にとって意味のある方法で行動することを奨励します。

つまり現状(症状)から変化(治癒)するために、"まずは自分自身を情報として認識する"ということです。

薬物治療
薬物治療に関しては割愛します。

その他の治療

・Eye Movement Desensitization and Reprocessing(EMDR:眼球運動の脱感作と再処理)
・Transcranial Magnetic Stimulation(TMS:経頭蓋磁気刺激)
・ガンマナイフ腹膜切除術
・Deep Brain Stimulation(DBS:脳深部刺激)

サポートを受けるタイミング

まず自分自身で「私はOCDではないか?」と思われる場合は、専門知識のある人に相談してみましょう。

どのような症状に対しても言うことができるかもしれませんが、特にOCDは早めの治療の意識がポイントとなります。

ここまでご覧になった方なら、自分だけでネットで調べて、適当な薬を買って飲むような治療(危険行為)はしないとは思います。

しかし、メンタルヘルスの問題は人に相談しずらい風潮がありますので(全然そんなことありません)念を押しておきます。

強迫性障害(OCD)の対処法

OCDは人生に大きな影響を与える可能性がありますので、適切な方法で治療をおこなうべきです。

それに加えて、症状の管理や対処をするための方法がいくつかありますのでご紹介します。

ストレスレベルの管理
ストレスは、OCDの症状を悪化させるトリガーとなりますので、自分自身のストレスレベルを管理することが重要です。

心理的柔軟性を養う
心理的柔軟性とは、状況に苦痛または動揺を伴っていても、自分の価値観に基づき、行動・判断を可能にする心理的開放性の状態と定義できます。

OCDは症状の進行に伴い、より厳格に固執する傾向がありますので、心理的柔軟性を養うことは聡明な判断と言えるでしょう。

なるべく回避を減らす
人は不安な状況を繰り返すと、その状況を遠ざけたくなるものです。しかし、これではその場しのぎなだけで症状の長期化を助長することになるでしょう。

情報の整理をする
特定の思考に多くの時間やエネルギーを使用している場合は瞑想が有効です。この場合の瞑想は、色々な考え方や情報、他者の視点などを整理することをメインにすると良いでしょう。(ストレスレベルによっては上手くいかないこともあります)

社会的相互作用
タイトルは少し難しいですが、これは"社会生活をおこなう"ということです。研究では、社会的相互作用によって、ストレスの軽減、メンタルヘルスなどが改善することがわかっています。また、上記にある"心理的柔軟性を養う"活動としても意味あるものになるはずです。

OCDを持つ人をサポートする

パートナーや大切な人のメンタルヘルスの問題をサポートする行為は、とても良いことだと思います。しかし、症状を悪化させてしまう可能性もあります。

そのあたりの危険性を考慮した上で、できることを挙げてみましょう。

・OCD関連についてできることを学ぶ
・症状が現れている時、優しく伝える
・相手の誠実さとチャレンジを応援する
・感情面のサポートを提案する
・OCDについて話し合い、安心させる
・強迫観念の根拠や不合理について話し合う

ここでのポイントは、相手は、あなたの愛とサポート、理解してくれる存在としてあなたに近づくということと、怒ったり攻撃的になっても問題は解決しないということです。

パートナーの治療を諦めない姿勢は大切ですが、"他の選択肢もたくさんある"ということも認識しておきましょう。

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