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記憶について学ぶ 中編"脳は暗記機械ではなく思考機械"

前回の「記憶について学ぶ 前編"記憶はただの倉庫じゃない"」では、
・記憶はただの倉庫じゃない
・海馬のエピソード記憶
・エピソード記憶はタイムトラベル
・エピソード記憶の注意点

をお伝えしました。

カリフォルニア大学デービス校のダイナミックメモリラボのディレクターであり、人間の記憶と制御の神経基盤の研究者であるPhD.チャラン・ランガナトの著書"Why We Remember"は、脳の記憶と忘却についてのメカニズムと、その知識を活用する方法が解説されています。

脳は暗記機械ではなく思考機械

海馬の機能が"エピソード記憶"だとすると、前頭前野は"予想記憶"と考えられます。これは、"現在の状況を理解し、未来の予測をするための記憶の統合機能"を意味します。

前頭前野は、私たちの学習と行動に関与して人生の道案内をしています。それはつまり、最も重要だと認識している記憶をより最適化し、より良い選択をするのをサポートしているということです。

エピソード記憶の海馬には、過去に訪れた場所などの記憶がありますが、予想記憶の前頭前野は、記憶のパターンを認識し、失われた記憶などを探すのに役立つのです。

記憶力を向上させる方法

ランガナト氏の著書には、「重要なのは、すべてを覚えておくことではなく、最も大切にしていることを覚えておくことだ」とあります。そして、記憶力を向上させる方法はたくさんあります。

まずは心身を大切にする

食事、運動、休息などは、脳の健康状態を改善し、記憶力を向上させるでしょう。心身に疲労や辛いところがあれば、それは記憶力にも大いに影響するはずです。

記憶の性質を利用する

特定の記憶を際立たせることもできます。こちらのリンクにある論文には、人は予期せぬことや驚いた時、斬新だと思った時、その情報をより鮮明に記憶するとあります。

例えば、好きな人と一緒に、初めて行くレストランで、びっくりするほど美味しい食事をした場合、普段よく行くレストランで当たり前に食事をするよりも、強く記憶が残されるということです。

ただ、これでは特別な状況に身を置かない限り強く記憶をすることはできません。

普段から使える方法としては、受け身の姿勢で情報に驚いたりするだけでなく、自分から普段と違う情報を探し出すと良いでしょう。

感情を利用する

私たちは強い感情が込み上げるような情報を覚える傾向があります。この記憶方法は強力で、永続的な記憶を作り出すことも可能なため、技術や詳細は割愛いたします。

情報をチャンクする

情報を管理しやすいように区分けすることを"チャンクする"と言います。

例えば、Aという1桁の数字や文字を覚えることは簡単ですが、AAAAAAAAAとなった場合、AAA-AAA-AAAとAが3つのチャンクが3つと考えれば覚えやすくなります。

また、自分なりに記号や略語を作ってしまうという方法もあります。私はこの方法で、比較的簡単に学校のテストなどをクリアしていました。

あくまでもこれらの方法は、記憶をすることだけに特化しています。しかし、記憶は単に思い出せれば良いというものではなく、物事を考え、"異なる概念をつなげて新しい概念にする"などクリエイティブな側面も重要です。

つづく

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