お袋さん

「久しぶりのメールありがとう。母さんは元気だから心配しないで。貴方の方こそ身体を壊したりしてない? 今度貴方の好きなあの料理を送るから楽しみにしていて。くれぐれも健康には気を付けて。母より」

男「これでよし!」

女「何なの?」

男「この家の婆さんの息子から時々メールが来るんだよ。だから俺達がこの家に押し入ってる事がバレないように返信してるのさ」

女「あの料理って何?」

男「男はたいがいお袋の作る料理が好きなものさ」

女「そうだ、婆さんに何か食べさせなきゃ」

男「死なれちゃ困るから精のつくもん食わせてやんな」

女「世話が大変なんだから。あんたもちょっとは手伝いなさいよ」

男「俺は銀行の金庫室までトンネルを掘るのが忙しいから婆さんはお前に任せる。最初からそう言ってるじゃないか」

女「そう言うなら休憩ばかりしてないで早くトンネル堀んなさいよ」

男「わかったよ。おっと、またメールだ」

女「今度は何なの?」

男「また息子からだ。あの料理、名前はなんだっけだと。困ったな」

女「あんたがいらん事書くからよ」

男「うーん。着いてからのお楽しみとでも書いとくか」

女「馬鹿じゃないの」

男「さて、トンネルトンネルと」

こうしてお袋さんの周りでのどかな日常が過ぎてゆく

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