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世界のニュースを日本人は何も知らない3 - 大変革期にやりたい放題の海外事情 -①

「世界のニュースを日本人は何も知らない」

なんて挑戦的なタイトルでしょうか。

実はこのシリーズは巷で人気らしく、こちらの本は第3弾となります。ちなみに第一弾と第二弾は既読で、noteに感想も書いております。

そして本書が第三弾なのですが、なんとすでに第四弾も刊行されており、かなりの人気シリーズのようです。(こちらはまだ読んでおりません)

さて、この人気シリーズの作者はどんな方でしょうか。

谷本 真由美(たにもと まゆみ、1975年(昭和50年) - )は、IT戦略コンサルタント、随筆家、元国連専門機関職員。シラキュース大学修士(国際関係論および情報管理学)。日本、イギリス、アメリカ、イタリアなど海外諸国での就労経験があり、ITベンチャー、経営コンサル、国連専門機関情報通信官、外資系金融機関等へ務めた。

Wikiより

上記のように、華々しい経歴をお持ちの方ですが、常に舌鋒鋭く、Twitterでは結構アグレッシブな投稿が目立つ方です。(最近はややおとなしめかも)

それではいつものように、本書で気になった個所をピックアップしていきたいと思います。

欧州の人は機械を信用しない

私はヨーロッパの中ではイギリスにしか住んだことがないので、他の国についてどうこう言うのは憚られるのですが、イギリス人(きっと他のヨーロッパ人も)は極めて保守的な国民性を持つため、日本人が好む最新式の機械を嫌がる人は非常に多く、例えばウォシュレットのトイレや瞬間湯沸かし器のようなものはあまり普及していません。

特に「ウォシュレット」が海外で普及しないのは、比較文化論的に見ても非常に興味深いと思います。

日本人は「利便性」をとことん追求する国民性を持っていますが、海外(特にヨーロッパ)では「不便」を不便と思わずに、むしろのその不便さ(彼らは不便だと思っていないのですが)を楽しんでいる節さえあります。

その証拠に、何かが壊れたとき、外注するのは大変です。日本のようにサービスが充実していないですし、人件費も高いので、修理を頼むよりも自分で修理する、または買ってしまう方が安くつくこともしばしばあります。

ちなみに、これは日本を代表する家具屋の「ニトリ」とヨーロッパを代表する家具屋「IKEA」を比べた場合、その差が顕著に見られます。

ご存知の通り、ニトリの商品は基本的にほとんどの商品が完成された状態です。(安い本棚やラックなどは除く)これは我々日本人が多忙であり、DYI(Do it Yourself)自体が文化に根付いていないことの表れでしょう。一方、IKEAの商品はほぼすべてが自分で組み立てることを前提に出来ています。IKEAの出現で、日本でも家具を自分で作る(組み立てる)人が増えたのは間違いない事実でしょう。北欧由来のハイセンスなデザインや手ごろな価格も後押しして、IKEAは日本における家具の概念を変えたと言っても過言ではないと思います。(ちなみに20年以上前にイギリスに住んでいた時にすでにIKEAはあり、現地でも大人気でした)

また、イギリス人だけではなく、欧州人の機械に対する信用の低さは各国の駅からも見ることができます。ロンドンのような大都市では、さすがPASMOのようなトップアップ式のプリペイドカードやApple Payを自動改札で使えますが、これも長い間浸透しなかったそうです。

そして、私は昨年の夏に10数年ぶりにイギリスに行って、ロンドンのTube(地下鉄)やBritish Railways(国鉄)に毎日のように乗ったのですが、駅の券売機や自動改札の故障の多いことといったら。とある駅では、自動改札のところに駅員さんが立っていて、切符を自動改札に入れてもゲートが開かないのを確認してからわざわざスタンプを押して通してくれる、ということがありました。なんのための自動改札?と日本人的には思ってしまいますが、これが彼らの流儀なのです。(気にしないのです)

逆に、日本ではなぜ券売機や自動改札、飲み物の自動販売機のようなあらゆる商業的機械が故障していないかというと、機械の性質が高いのもありますが、メンテナンスがこの上なく行き届いているからだと思います。ヨーロッパでは「機械が壊れるのは当たり前」という概念が一般的であり、我々日本人のような考え方は当たり前ではないということです。

日本でDXが進まない理由

さて、上述の通り、日本は欧米(特にヨーロッパ)に比べて非常に利便性を追求する国民性を持っていますが、DX(デジタル・トランスフォーメーション)に関しては、なぜか欧米に大きく後れを取っています。日本に来た外国人からよく「日本はテクノロジーに関しては世界最先端だと思っていたよ!」と皮肉を言われるのですが、確かにいまだに世に広く存在する「ハンコ文化」や学校における黒板&チョークなど、日本は最先端のテクノロジーを持つ一方で、デジタル的な意味でいろいろなところが後れている、少し不思議な国です。

保守的に見えるヨーロッパですが、ビジネスでも普段の生活でも日本より様々な点でデジタル化が進行していますが、特に顕著なのは行政サービスです。納税や情報配布などのデジタル化の徹底具合いは日本と比べ物になりません。(政府が今必死で「マイナンバー制度」の導入を試みているのが、欧米との顕著な差とも言えます)

では、なぜ日本よりもアナログな国が多いヨーロッパでデジタル化が進んでいるのかというと、最大の要因は人件費の高さと労働習慣です。ヨーロッパは雇用制度が日本よりもはるかに厳しいため、労働工数の管理に厳密な国が多く、有給も全部消化し、労働時間もしっかり守るので、日本のようにだらだらと仕事をすることができません。費用分しか仕事をしないので、収益性を高めたい場合は日本のように精神論などに頼らずに、デジタル化して効率化する他ないのです。

筆者曰く、日本でDXが進みにくい理由は、ヨーロッパのような環境がないために効率化や付加価値の増加という動機が薄いから、ということです。

確かに、スーパーマーケットに行くと毎回思うのですが、セルフのレジと友人のレジだと今でも圧倒的に有人のレジの方が混んでいるので、DX(=人件費の削減)が思うように進んでいないように思います。また、駐車場の誘導をしているおじさんは本当に必要なのでしょうか。

もちろん、レジ打ちのパートさんも駐車場の誘導員の方も大事なお仕事だと思います。DXと言って、彼らのような単純労働者から一気に仕事を奪ったら国中に失業者があふれ、今まで以上に悲惨な経済状況になるでしょう。しかし、今は彼らの賃金が安いから、企業側としてもまかなえるレベルにいると思うのですが、もしインフレが続き、我々の給与が欧米並みに上がったとしたら(最低賃金が時給2000円とか)、それでも企業はこのような仕事にお金を払うのでしょうか。

先進国の「生きがい」ブーム

みなさんは「生きがい」という日本語が欧米で「IKIGAI」という言葉として使われていることをご存知でしょうか。

欧米では、ここ20年くらい精神的なゆとりや豊かさを求めるキーワードや活動が流行るようになりました。

第一次ブームは先ほども出てきたIKEAに代表される北欧的ライフスタイル。デンマークの「HYGEE」(ヒュッゲ)はその代表と言えるでしょう。

「ヒュッゲ」的なワンシーン

そして、ここ数年の間にはやり始めたのが「IKIGAI」や「Zen」ブームです。

上記の本が定義する「IKIGAI」とは、「あなたが好きなこと」「世界が必要としていること」「報酬を受けられること」「あなたが得意なこと」が重なり合った中心に存在するもの、らしいです。

https://www.kokuchpro.com/event/5017f46beb8c06b60ae5da2c282f9951/

我々は「生きがい」というのは、とても抽象的な概念のため、具体的に「生きがい」の定義を求められると困ってしまいますが、英語圏では「生きがい」にあたる言葉がないため、このような『いいとこ取り』の概念になってしまったのではないかと思います。

いずれにせよ、「Mottainai(もったいない)」「Konmari(こんまり)」、そして「IKIGAI(生きがい)」のような日本語が英語(外国語)として世界の人々に使われるようになってきていることを我々日本人はあまりよく理解していないですし、日本では当たり前の価値観が世界では当たり前でないことを理解したほうが良いと思いました。

次回に続きます!最後までお読みいただきありがとうございました。


*最近、コンマリが「コンマリ」を止めたって、話題になってましたが・・・。


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