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食欲の秋。ご飯がモリモリ進むお漬物の話。

新米の時期がやってきました。
新米、さんま、栗、さつまいも、梨、ぶどう、柿…美味しいものが満載の秋。
旬の食材が豊富で、日々のメニュー選びも、お料理も少しだけ楽しくなりますよね。
特にこの時期、お米本来の旨味を楽しめる新米が何よりも楽しみ。
炊きたてのお米は、口の中にやさしい甘みが広がり、そのままでも十分なおいしく、またおにぎりやお弁当にしても冷めてもまた旨し。
そんな新米のおいしさを一層引き立てる、おすすめの「ご飯のおとも」のお話です。

色んなおかずがありますが、ご飯が進むのはやはりお漬物

まずは、やはり梅干し


漬物屋として、何をおいてもおすすめはやはり梅干し。
昔ながらの天日干しで手間を惜しまず、じっくり熟成させた梅干しです。
手の込んだ仕込みによって、ふわりとした歯ざわりを実現した紀州南高梅に、しそ風味を加えて、食べてみると、梅干しらしい酸っぱさに、サッパリしたしその後味が心地よく残ります。
小さい頃から梅干しの囲まれてきた私にとっては、しょっぱい梅干しが定番。
しかしながら最近は、はちみつ梅のような甘くまろやかな梅干しが主流となっています。食べやすいですもんね。
そんな中ですが、ご飯にはやっぱりこちらをおすすめします。

ぽてっとした実がたまりません

色鮮やかな梅の赤みときらめく白米のコンビネーションがたまりません。

梅干しの話をするだけでゴクリとなるのが、日本人の素敵なところですね。
しっかりDNAが刻まれています。素晴らしい文化ですよね。

ちなみに梅干しが少し余ったりすることないですか?
そんな時は薄くイチョウ切りしたカブ(なければ大根)やキュウリを梅干しといっしょに醤油・ごま油・お砂糖・かつおぶしで合えるだけで完成。
時間がない時の一品として作ってすぐに食べることができますし、少し時間を置いて漬け込むことで、カブに味が染み込みより美味しく食べることができます。我が家の常備菜です。

赤と白と緑のコントラストが美しい一品です

梅干しについての詳細は、こちらもご覧くださいね。


そして、たくあん。


続きまして、これまた王道のたくあん。
王道ですがたくあんにもさまざまな種類があります。

たくあんと言っても色んなタイプが。地域によっても全く違います。


そんな数ある種類の中でも、九州産のだいこんを新鮮なまま塩押した、瑞々しい、パリパリッとした歯応えが心地よいたくあんがご飯にはぴったり。
パリパリ、ボリボリ、これだけでご飯が進みます。
たくあんの種類については、こちらをご参考に。

歴史も味わいも深いしば漬け


そして、我が家の冷蔵庫からの出番ナンバーワンは、こちら。
しば漬けです。
ご存知、きゅうりのシャキシャキした食感と、スッキリした酸味が特徴です。
梅酢の風味が後を引き、もう一口、また一口と、食べているうちにいつの間にかごはんをペロリ。無限にぽりぽりしたくしたくなるしば漬け。

そのまま食べてもおにぎりや、おかかやチーズとの相性も抜群の懐の深いしば漬け

「しば漬け」「千枚漬け」「すぐき」は、京都でもたくさんのお漬物屋さんが販売されているお土産としても定番の品。そのままご飯のお供に、またいつもとは少し違うおむすびの具材に、お肉に添えたり、美味しくいただけます。

しば漬けの歴史は、なんと平安時代まで遡ります。
平清盛の娘、建礼門院徳子は、源平合戦の最終決戦「壇ノ浦」で、幼い安徳天皇を抱きかかえて母と共に入水しました。しかし、幸か不幸か彼女だけが助けられたという話は聞いたことがあるのでは。
壇ノ浦で滅亡した平家の中で、1人生き延びたあと、大原で隠棲していた彼女に、地元大原の人達は、少しでもかつての高貴な日々を思い出してもらおうと献上したのが、紫のシソの葉の漬け物なのです。

夏野菜と赤紫蘇の漬物の美味しさに感動し、「紫葉(むらさきは」漬」と名付けたことが発祥とされています。それ以降、紫葉(しば)漬けの名が定着したようです。

大原で作られる赤しそは、香り、発色とも全国的に非常に高く評価されています

今でも大原はシソの産地ですし、しば漬けのメーカーさんは自家農園でシソを栽培されているところが多いのです。
ちなみに現在流通している多くのしば漬けは、実は昔ながらのものとは違うとご存知ですか?

本来の「しば漬け」はナスとシソを塩のみで乳酸発酵させたもので、酢は使用していなかったそうです。この酢を使わずに作られたしば漬けのことを、「生しば漬」と呼んでいます。
現在スーパーなどで販売されているしば漬けは、キュウリやミョウガなどを酢に漬けたものです。これは、味や品質を一定に保ちやすいためなのです。乳酸発酵で作ると、熟成まで1年程かかるのでとても手間がかかるんです。もし「生しば漬け」を見つけられた際は、味の違いを食べ比べてみてくださいね。

実は長い歴史を持つしば漬けです

いつも食卓には、あたたかいお味噌汁や、野菜たっぷりの煮物、そしてごはんの脇には、手作りの「お漬物」や「佃煮」を。
ほんのひと手間で、いつもの食卓をちょっとだけ特別なものに変えてくれるおつけもの。
なくてもいいけど、あるとそれだけで嬉しいですよね。
食卓を囲む時間を、より美味しく豊かなものにしてくれます。

とまりのつけものでは、そんなお漬物をお好みで組み合わせて選んでいただけます。全国のおつけものの味をぜひ、お試しくださいね。



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