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原子力・ウラン投資その5:ウラン生産生産方法、鉱山経済評価、ウラン価格の補足

こんばんは、とまとです。
細切れでたくさん書いてすみません。合間の時間で書いているため、長文だと集中力が続かないため、週間少年ジャンプなみに1話を区切って書いていきます。

あまり書く内容を整理せずに、つれづれなるままに書いているため、以前に書くべきだった内容を回収していきます。今後、個別株の話(1銘柄1話でかく予定)になったときに必要な知識をここに整理していきます。

ウラン鉱山生産方法

以前少しだけ出てきましたが、ウラン鉱山の生産方法は大きくは2種類に別れます。In-situ LeachとかIn-Situ Recovery (ISR)とか言う方法とウラン鉱石から生産する方法です。

ここでは細かな鉱法の違いについて説明しませんが、In-Situの方は下記の動画をみれば、英語がわからなくても、なんとなくわかると思います。地中で酸を使って溶かして、それを抽出する方法です。

もう1つはウラン鉱山そのものを掘って、そこからイエローケーキ(U3O8)を抽出する方法です。

ポイントはコストがIn-Situの方が安いということです。

オッちゃんによると、In-Situの場合は、砂岩の空隙率が大事とのことです。ここらへんを個別で確認していきましょう。

鉱山評価方法

カテゴリーの回で説明した新興ウラン鉱山会社の大部分は生産前です。言い換えると、利益はおろか売上もありません。投資の考え方は別の回で書きますが、とても評価が難しいです。ウラン鉱山会社の価値の大きな部分は持っているウラン鉱山の価値になります。その評価方法をみていきたいと思います。

ウラン鉱山は開発が進むとPreliminary Economic Assessmentなど、開発段階ごとに経済評価をしていきます。それを素人が読み解くのは至難の業ですが、素人でもわかりやすい指標も提示します。ファイナンスの基礎をご存知の人に馴染み深いNPVとIRRです。

正確には、ファイナンスの教科書を読んでほしいですが、すごいざっくりした表現を使うとNPVは鉱山全体の価値(正確には現在価値)、IRRは毎年のリターン率(投資効率)となります。NPVは金額として、IRRはパーセントで出てくるので、我々にも理解しやすい数値になります。

注意が必要なのは、これらの数字は前提条件によって大きく代わってしまうということです。ウラン価格は上昇を続けているため、どの時点でのウラン価格を使うかで数字がかわります。コストもインフレの時代ですので、かわります。割引率などのパラメータも注意が必要です。よって、単純に各社のプロジェクトのNPV、IRRを横並びで比較しても、単純には比較できません。とはいえ、数字がないと評価もできず、数値補正なんて面倒なこともやる気がないので、この数値を参考にしていくしかありません。

あと、経済評価ではないですが、鉱山の権益の確認も必要です。1つの鉱山に対して、1社だけとはなっておらず、それぞれの鉱山に一定のパーセントの権益を持っている場合が多いです。マイノリティ投資なのか、自ら大きな権益をとって投資、開発しているかもよく読む必要があります。

また、開発ステージや生産開始時期も重要となる。鉱山開発はリスクをともなうので、高いNPVのプロジェクトでもうまくいかない可能性がある。よって、NPVに開発リスクのディスカウントを考慮すべきで、開発ステージが進むについれてそのディスカウントは下がっていく見方も必要となる。また、生産開始がいつかもポイントとなる。

ウラン価格の補足

まず、言いたいことは、同じ電力のための資源として、天然ガスとウランでは異なるということです。

原子力発電の特徴は始めるにも、やめるにもコストがかかり、再稼働も大きな決断となります。また、始めると一定の発電量をずっと出し続けるという性質があります。言い換えると、ウラン需要は稼働し始めるとずっとコンスタントに生じる性質があります。もちろん、稼働をやめたり、点検したりで変化はしますが、電力需要にあわせて、消費量を調整する天然ガスとは価格メカニズムが異なります。

リセッションがおきたら、ウラン価格も下がるという記載もありますが、果たしてそうなるでしょうか?リセッションにより、電力需要は落ち込むとは思いますが、一方で原子力発電炉を増やそうという動きもあり、どちらかというやめるモチベーションの少ない原子力発電は維持される可能性が高いと思っています。個別株は全体の株式市場の影響を受けるのでわかりませんが、ウラン価格は比較的安定に推移するのではないかと推測しています。

あと、コストですが原子力発電にしめる燃料費用は大きく有りません。古いデータ(記事は2017年)、いまでは正確ではありませんが、下記にエネルギー庁ホームページにある各発電とその中の燃料費の割合を示します。LNG火力はかなりの割合が燃料費が占めるのに対して、原子力ではざっくり1-2割となっています。ウラン価格はここから大きく上がっているので、割合は増えていると思いますが、全体からみると大きくありません。

これは何を意味するのか。ウラン価格が上がっても、コストへの寄与が大きくなく、需要が大きければ、そちらを優先されるということです。経済学ではこれを非弾力的と言います。これもウラン価格の上昇をサポートする要因です。

今後個別株をみていく上でもう1つ重要な点はウランは複数年の固定契約が多いということです。個別の契約になるので、契約の内容が公開されないことが多いですが、そのときに価格付けも気になります。ウラン価格にヘッジがきいているのか、ヘッジがなにもないかも銘柄をみていく上で重要な点となります。


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