丘へ続く小道


遠い海鳴り、忘れられない記憶。

海岸から丘へ這う蛇のような小道があった。
目を閉じたまま、僕はその小道を歩いていた。

そんなふうに歩くのが好きだったのだ。

小道は丘の上の白い家まで続いていた。
大きな別荘で、誰も住んでいなかった。

こんな秘密の家が欲しいな、と思っていた。

もうすぐ夏。
海風が気持ちよかった。

女の子の笑い声がしたので目を開いた。
「だめよ。見ちゃダメよ」

白い家の窓から小さな顔がのぞいていた。
「そっちへ行くから、目をつむってなさい」

玄関の扉が開き、あわてて目を閉じた。

いかにも軽そうな足音が近づいてきた。
「昨日も、同じことしてたよね」

恥ずかしかった。
どんな女の子だろう。

「見ちゃダメよ。今、裸なんだから」
思わず目を開いてしまった。

ウソだった。
彼女は水着姿で笑い転げた。

「あのね。いいもの見せてあげる」
彼女に手を引かれ、白い家の中に入った。

それだけ。
あとは記憶がない。


Path to the Hill


Distant sea breeze, unforgettable memory.

There was a path like a snake crawling from the coast to the hill.
I kept my eyes closed and I was walking along the path.

I liked to walk like that.

The path continued to the white house on the hill.
A big cottage, no one lived there.

I thought that I wanted a secret house like this.

Summer soon.
The sea breeze was pleasant.

A girl laughed, so I opened my eyes.
"Do not. Do not look."

A small face was peeping from the window of the white house.
"I'll go over there, so turn your eyes."

The door of the entrance opened, in haste I close my eyes.

The footsteps which seemed to be quite weird approached.
"You did the same thing yesterday, weren't you?"

I was embarrassed.
What kind of girl would that be?

"Do not look. Now I’m naked."
In spite of this, I opened my eyes.

It was a lie.
She laughed in swimming suit.

"Hey, I'll show you something good."
She pulled my hand and entered the white house.

That's all.
There is no memory after that.

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Tome館長

箱夢の話集 第二集

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コメント2件

小さい頃 いいもの は もちろん 人それぞれで たいしたものでは ないだろうと思っても やっぱり 気になりましたよねw
yayaさんへ★ 子どもの頃のいいものは 大人になってのいいものならず 遠い空
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