こんなにうまいコーヒーがあるなんて

魅惑のスペシャルティコーヒー

スペシャリティーコーヒーとの出会い

「なんだこの薄い味は」
3年前の夏、初めてスペシャルティコーヒーを飲んだとき、あまり美味しいとは思えませんでした。初めてビールを飲んだときのような感覚。舌が味に慣れていないせいか、美味しいとも不味いともいえない不思議な感覚。それから3年がすぎ、じわりじわりと虜に。気づいたら病みつきになっています。そんな魅惑のスペシャルティコーヒーの魅力とは。

スペシャリティコーヒーはなぜ美味しいのか

参考:THE COFFEESHOP

スペシャリティコーヒーはコーヒーの全流通の5%。コーヒーピラミッドの頂点に君臨します。その下には、私たちにも馴染みがあるブルーマウンテンやキリマンジャロなどのプレミアムコーヒーが続きます。では、なにがどう違うのか。日本スペシャルティコーヒー協会によるとスペシャリティコーヒーは下記の尺度を満たすものとされています。

1. カップ・クォリティのきれいさ
これはコーヒーの品質の基本的スタートポイントとなるもの。カップのきれいさとは「汚れ」又は「風味の欠点・瑕疵」が全く無い事。コーヒーの栽培地特性「Terroir」がはっきりと表現されるために必須な透明性があること。風味の「汚れ」「欠点」があると、Terroir による風味のプロフィールが隠され、飲む人が感知できにくくなる。
2. 甘さ
コーヒーのチェリーが収穫された時点で、熟度が良く、且つ熟度がどれほど均一であったかに直接関係する甘さの感覚。甘さとは、焙煎されたコーヒーに含まれる糖分の量が絶対的なものではなく、甘さの印象度を創造する他の成分・要素との結合にも依存する。又、糖分が高くても、甘さを感じることを阻害する要因―辛さのある苦味、刺激的な酸味、強い汚れ、渋み等が有ると甘さを感じにくくなる。
3. 酸味の特徴評価
コーヒーが如何に明るさを持つか。明るい爽やかな、あるいは繊細な酸味がどれ程であるかが評価対象。良質の酸味は、コーヒーに生き生きとした印象度を与え、繊細さ、しっかりとしたバックボーンを与えるもの。酸度の強さではなく、酸の質について評価をする。反対に、刺激的な酸味、不快な印象度を与える酸味、爽やかさ・キレの無い酸味、劣化した嫌な酸味は、スペシャルティコーヒーには有ってはならない。
4. 口に含んだ質感
コーヒーにより伝えられる触覚。口に含んだ質感には、粘り気、密度、濃さ、重さ、舌触りの滑らかさ、収斂性感触などの感覚・触覚が含まれる。口に含んだ時の量感は、質感とは同じではない。量感に気をとられ過ぎると不快なザラツキによる触覚をコクと誤って判断する結果となる。質感の品質を評価せねばならない。
5. 風味特性・風味のプロフィール
スペシャルティコーヒーと一般のコーヒーを区別する最も重要な項目。味覚と嗅覚の組み合わせ。栽培―収穫―回収―選別―生産処理―保管―焙煎―抽出が理想的に行われれば、栽培地域の特性―Terroir ―が正しく表現されるもの。コーヒーが一般的なプロフィールしか持っていないのか、あるいは栽培地の地域特性―Terroir が純正に表現できているかを明確に評価する。
6. 後味の印象度
コーヒーを飲み込んだ後で持続する風味は、コーヒーの他の属性により醸し出される心地よさを強める場合、弱める場合、あるいは一切駄目にしてしまう場合とがある。コーヒーを飲み込んだ後の「口に残るコーヒー感」が、甘さの感覚で消えて行くのか、あるいは、刺激的な嫌な感覚がにじみ出てくるのかを判定する。
7. バランス
コーヒーは風味の調和が取れているのか? 何か突出するものは無いか? 何か欠けているものは無いか?

ネコのウンチから採れるコーヒーに世界が熱狂?

世界一高価なコーヒーとして名を馳せる「コピ・ルアク」という豆があります。インドネシアにはジャコウネコという珍しいネコがいて、コーヒー豆を食べるのです。そして、消化されずに排泄された豆を手作業で皮をむいたりしてできあがるのがコピ・ルアクです。1匹のジャコウネコから1日に取れる豆の量は、たったの3グラム。コーヒー1杯分にもならないそうです。

世界はレアなもの、簡単には手に入らないものに熱狂します。ポケモンなら、ポッポよりもミュウ。サッカーならグランパスの2軍選手よりもFCバルセロナのメッシ。肉ならカルビよりもシャトーブリアンに惹かれるでしょう。よく言われることですが、レアさというのは要素の掛け合わせで決まります。

コピ・ルアクは「コーヒー豆」×「珍しい野生のジャコウネコ」×「手作業」この3つの掛け合わせで他にはない、希少価値の高いコーヒーになっています。日常生活をしていて、トップ5%に触れる機会はなかなか少ないのではないでしょうか。スペシャルティコーヒーなら、1000円以下で日常に非日常を取り入れることができます。コピ・ルアクに限らず、それぞれの豆には色んなストーリーが詰まっているので、それを知るのも楽しみのひとつです。

スペシャルティコーヒーを楽しめる場所

喫茶店文化が根強い名古屋において、異色の存在感を示すお店、TRUNK COFFEE。ここで、スペシャルティコーヒーが楽しむことができます。

使い込まれた手触りの良いソファ、ちょうど良い暗さの照明、軽やかな音楽が静かに鳴り、挽きたての豆のいい香りが漂います。

「よく分からないんですけど、、、オススメありますか?」
「どんな感じが好きです?」
「酸味が強くないのが好きかも」
「じゃあ、これオススメです。フルーティーで、、、」

スペシャルティコーヒーがはじめての人でも大丈夫。こんな会話をしながら、ぴったりのコーヒーをオススメしてくれます。

ここに集まる人もなんだか面白そうな人ばかり。会話に耳をそばだてると面白い話が聴こえてきます。コーヒーに熱い情熱をもった店員さんに面白い人達が惹きつけられ、それに応えるように店員さんが腕を磨く。だからこそこんなに心地よく、刺激的な空気が流れているのかもしれません。

そういえば、スペシャルティコーヒーをオフィスで飲めたらいいな、とオフィスコーヒーの構想を進めています。このあたりはまた別の記事で。