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日本語のプロとして(なぜ、英語を教えているのに、日本語教育能力検定試験を受けたのか?)

自分は日本語ネイティブだから!

 英語の勉強を続ける中で、「自分の強みは、英語ができる日本語ネイティブであること」という結論に至りました。英語ネイティブや英語ができるノンネイティブがたくさんいる中で、私には、独学で英語を身につけたテクニックを教えられるという強みがあります。また、日本人が誤りやすいポイントや苦手なポイントがよく分かり、その対策が提案できます。
 もちろん英語は好きだし、楽しいけれど、100%の自信をもってネイティブとして勝負するとしたら日本語しかないという気持ちが、大学生頃からずっとありました。将来、海外で働くとしたら日本語教師をしてみたいという思いもありました。
 英語ができる日本人として日本語を教えられたら、多くの日本語教師とは差別化がはかれるのでは?と思いました。日本語教師になる方は、国文科や教育学部出身の方が多く、必ずしも言語を教えられるレベルの英語力を持つ人ばかりではないようです。(日本語の文法やニュアンスの違いの説明をするのは、英語上級者でないと難しいです。)日本語を学ぼうと思っている外国の方達が、微妙なニュアンスの違いなどを理解できない時に、英語でもサポートできるのが、私の強みだろうなぁと思いました。
(日本語を学ぼうとする外国の方は、日本語メインの教員から教えてもらうことになるケースがほとんどです。例えるならば、英語初心者で文法も分かっていないのに、オールイングリッシュの授業を受けるようなものです。英語ネイティブが文法や会話表現を英語で説明してくるような難易度の高い授業は、一般的にはTOEIC650点以上ないとついていけません。おそらく、中級者以上なら全て外国語の授業でもついていけるのではないかと思います。)

そうだ、日本語教育能力検定試験を受けよう!

 私は中学高校の英語の教員免許はもっていて、外国語教育を専門に学んできましたが、日本語に関しては特に特別な訓練を受けてきたわけではありません。また、当時社会人で地方在住だったため、特急に乗って都市まで出ていき、「日本語教師養成講座」を420時間受講するという選択肢も現実的ではありませんでした。残された道はただ一つ、独学で試験勉強をして資格を得ることでした。
 日本語教育能力検定試験は、日本語ネイティブにとっても、初めて聞く用語が多く、自分がいかに無意識のうちに文法を使いこなしているのかを痛感しました。日本人ならば考えなくても分かることを、明文化して説明する必要があるため、当然と言えば当然です。
 自分自身が英語を外国語として学んだ経験を日本語に置き換えて考えたり、日本とアメリカの大学で学んできた「外国語習得法」の知見を生かしたりと、元々知っていたことも多かったです。言語に興味があったため、比較的楽しく勉強ができました。
 働きながら独学で勉強したので、参考書や問題集を8冊位購入して、ひたすら読んでまとめた後、問題を解きました。あとは図書館に行き、日本語に関する本を読みました。

日本語のリスニングテスト!?

 日本語教育能力検定試験には、「聴解」という日本語のリスニングテストがあります。「え?日本人なら、皆満点取れるんじゃないの?」と思ったあなた。勉強しないで受けたら、ほぼ確実に一問も正解できません。
 一つ例を挙げてみます。リスニングテストでは、外国の方が日本語の文章を話します。その発音を聞き取って、誤った音を判断し、なぜその間違った音がでているのかを四択で選ぶ必要があります。口腔断面図が使われて、音の出し方として誤っている部分を指摘する問題もあります。

①誤った発音を判断する。
②その音の誤りの種類や原因を判断する。
(舌の高さや位置、喉を閉じるかあけるか、空気をだすかなど)
 
 これには、英語と中国語を勉強してきて様々な音を聞き分けられる力、ピアノを弾き、クラッシック音楽が好きという音楽で鍛えられた耳が役に立ちました。
 今でも英語がよくできる人達の日本語の微妙な差を聞き分けることがあります。(イメージとしては、LOVE PSYCHEDELICOさんの曲を聴いていただくと分かると思うのですが、英語ができすぎる人の中には、日本語の発音が少し英語に寄ってしまう傾向があるように感じます。言葉の「干渉」と言い、日本人が話す英語が、同じ特徴をもつ傾向があるというのも、母語の干渉です。)

日本語を外国の方に教えるのも、とても楽しい!

 その後、試験に合格し、晴れて日本語を教える資格を得ることができました。外国の方に日本語を教えたり、日本語の質問に答えたりすると、今までとは違った視点で体系立てて日本語を捉えられるようになります。日本語を学ぶ生徒さんから、新しい視点を教えていただくこともあります。日本語の説明をしてみて、分かってもらうのが難しい時には、英語にさっと切り替えて、さくっと説明することもできます。
 私自身は、英語でも日本語でも、言葉を教えることが好きなのだと思います。


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