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部下を成長させたいなら結果だけで判断せよ!

様々なマネージャー向けの記事や本には「結果(成果)だけでなくプロセスを見るべき」と書かれていると思います。海外の研究でも成果を重んじる上司・部下の生産性は低くなるという結果があるそうです。確かに結果だけをみてプロセス(努力)を見てもらえないと部下としては萎えますよね。会社員である限り結果が求められるのはわかるけどどんなに努力しても結果が出ない場合もある。だからこそ結果や成果だけでなくプロセスも見てほしいというのが部下の立場からすれば当然の考えです。

でもあえて言います。上司は結果だけで判断できなければいけません。

結果で判断するとは?

ここでいう結果で判断するとは、なにも結果の良し悪しで判断するという事ではありません。”結果からプロセスを判断できなければいけない”という事です。仕事における結果はその人の能力を正確に反映しているわけではありません。たまたま良い結果が出るだけのこともありますし、偶然にも悪い結果になってしまうこともあります。もしかしたら、実はかなり周りに手助けしてもらっているだけかもしれませんし、最悪何か不正なことをしているかもしれません。結果のみで物事を判断してしまうとマネジメントしては良い結果にはなりませんし、部下も上司の判断ばかりを気にして動くようになってしまい閉塞感が出てきて最悪退職になることもあり得るでしょう。
こういう話をするとマネージャーから「私はしっかり部下がどのくらい働いているか把握しています」とか「仕事量の管理はきっちりしています」という風にプロセスを仕事の量で判断している人が多いです。確かに現代のマネージャーは働き方改革もあり残業時間の管理が重要な要素になってきていると思いますが、時間の管理だけがマネージャーの仕事ではありません。
「あいつはいつも遅くまで仕事をしていて一生懸命努力している」、「あいつはいつもサボっているな」、「あいつはいつも定時で帰って努力していないな。」なんて働いている時間だけに着目している人は多いのではないでしょうか。そもそも社会人はプロです。時間給で働いているわけでないのであれば働いている時間で評価するのはそもそもおかしいと思わなければいけません。大事なのはどれだけ働いたかよりどれだけ結果を残しているかですよね。そういう意味でも結果を重視することは重要ですし、その結果からプロセスを把握できるようになれば、部下も自ずと精一杯の仕事をしようとしてくれます。

結果で判断するための能力・仕事の把握

結果で判断するためには、まず自部署の業務内容を把握しなければなりません。「自部署の仕事位把握しているよ」というマネージャーが多いかもしれません。しかし本当に業務を把握できていますか?
当社がコンサルティングで業務把握をする際に業務を大きく分けて4つに分類してもらいます。

  1. 定型業務(期日・期限があり業務完了が必須の業務でいわゆるルーティン業務)

  2. 準定型業務(定型業務に付随する業務)

  3. 非定型業務(企画業務等のその時限りの業務)

  4. 突発業務(別部署や経営層から落ちてくる業務や予期せぬ業務)

まずは自部署の業務を上の4つの分類で書き出してもらいます。
そしてこれを大項目として、中項目・小項目とその業務に必要な業務に分解をしてもらいます。大事なのは中項目は1日で終わる業務、小項目は1時間以内で終わる業務にまで分解することです。
大抵のマネージャーの方は大項目は把握しています。しかし、その大項目の業務を終わらせるためにある業務まで把握できている人は少ないので、私たちがメンバーにヒアリングをしながら分類分けをしていく事がほとんどです。こうしてできた部署の業務を今度は3つの視点でさらに分類分けをしていきます。

業務分類

ここで重要なのは、重要度と難易度はマネージャーが付けることです。特に難易度を担当者につけさせると、自分の能力に合わせて付けることになるので後で把握が難しくなります。また所要時間も実際にその業務を行っている人の時間ではなく、能力の高い社員が行った場合の最短時間を付けるようにしするのがポイントです。
業務の一覧表を分類分けをしたうえで作成し、そこに担当者を付けていくのですが、その際も
・現状している業務
・することができる業務
という風に分けて行うことで、もし現状の担当者が休んだり、抜けたりした場合に誰が代わりにできるのかがわかるようにできます。

ここまで業務の内容を把握できれば、あとはそれぞれのメンバーの能力把握です。
既に一覧にしている業務、できる業務と別れているので、単純にできる業務が多いメンバーは能力値が高いと言えるでしょう。また所要時間と照らし合わせそれより早くできるのか遅いのかで能力値がわかると思います。
業務を1時間以内まで分解する理由はここにあります。実際に仕事をしていると、業務に集中できている時間はわずかです。電話・メール・チャット、等で手を取られることが往々にしてあるからです。特に役職者や経験が長い先輩社員になってくると電話や相談で一日の3分の1は費やすという事もざらにあります。そのため、できるだけ業務を短い時間に分解をして集中してできる時間(できれば30分単位)にする事で、集中して業務をした場合にかかる時間を把握でき、その人の業務能力を図ることができるようになります。
ここまでできれば業務の完了報告を聞くだけで、どのくらい時間がかかったのか、どの程度の難易度の業務が完了したのか等がわかりますし、現状のメンバーの能力値を踏まえて考えればどの程度の努力が必要だったのかもわかります。
基本的にはエクセル等で一覧表を作る方が良いです。優秀なマネージャーであればこの作成する表が頭に入っている人もいるかもしれません。
ただ、出来れば一覧表にまとめることを推奨しています。

業務の成果評価だけでなく、成長が評価できる

一覧表にするメリットは、成長を評価できることです。
部門ごとに業務の一覧があり(期中で追加されればその度に追加するメンテナンスは必須)期初に現状を、期末にその期間に新たにできるようになった業務や所要時間を短くできたか等が一目でわかる評価表になります。
重要度・難易度もあるので、どの重要度・難易度の業務をどれほど担当しているのか、若しくは難易度は低くても数多くの業務を担当している等が上司部下ともわかる状況になります。そして評価やその後のフィードバックも非常にやりやすくなってきます。
しかも、産休育休・休職者・退職者が出た時の業務の割り振りや、新人が入ってきたときのマニュアルにもなってきます。
こんなにメリットが大きいにも拘らずここまでの精度の業務一覧を作っている会社は多くはありません。
会社の規模が大きければ、初めに作るのはかなりの労力がかかりますが、一旦作成してしまえばあとは簡単です。(ちなみに表の更新自体も定型業務として業務一覧に追加しておくことをお勧めします。)

最後に

マネージャーとして結果をみればプロセスがわかるようになるのは非常に重要です。仕事のプロセスも見てほしいと思う部下は多いです。しかしながら全員のプロセスをしっかり見る時間はほとんどがプレイングマネージャーである現状では難しいでしょうし、正直一つ一つの報告でプロセスまで話されるとさらに時間が無くなってしまいます。私自身が60名ほどのマネージャーをしていたので、どれだけ報告・相談で時間を取られるかがわかります。でもこのような業務一覧さえあれば、結果を聞けばある程度プロセスも分かりますし、部下もこれを上司が把握していることを知っていれば「結果だけ話せ」と言われてもプロセスまで理解してくれていると感じます。
しかも今はリモートワークが当たり前になってきました。今までは職場で机についている時間で部下の頑張りを評価していた人も多いでしょうが、それが出来なくなるとついついマイクロマネジメントをしてしまい、いちいち報告を求めるという行為をしているマネージャーも多いのではないでしょうか。
業務の一覧がこの精度で存在していれば、業務報告さえ受ければ、「A君が今日した業務はこれとこれで、A君の能力を考えるとかなり頑張ったな」とか、「A君の能力を考えると終わった業務が少ないな、何かあったのかな?」等と考えることができ、後者の場合にはA君に「何かあった?」と聞くこともできるでしょう。これだけで部下は自分の業務に関心を持ってくれている、わかってくれていると判断してくれます。
大事なのは業務と能力の評価です。この2つがしっかりできるだけで部下は成長していきますし、マネジメントも楽になってくるので現代のプレイングマネージャーには必須のアイテムではないかと思います。

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