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火花 読了

Title:火花
著者:又吉直樹
出版社:文春文庫
感想を書いた日: 2024-03-01

# あらすじ
お笑い芸人の一生について徳永視点の一人称で、師匠である神谷の狂気が綴られた作品。お笑い芸人の思考回路、感情、生活感がわかりやすい文章で書かれているので擬似体験出来ます。

# 感想
かなり読み易い文章で、先日読んだ劇場の方が芥川賞作品っぽいなと言うのが最初の感想です。難しく無い表現で一般的なサラリーマンである小生が、少しばかり芸人だったらこんな感じの人生となる可能性があるんだと素直に小説の世界に入り込むことが出来た。読み易さに拍子抜けした感じです。

通勤中に読んでいた訳ですが、真樹さんの部屋に神谷と徳永が荷物を取りに行くシーンで不覚にも涙してしまった。馬鹿なことをしながら平静を装い新しい男のいる真樹さんの部屋を訪れ衣裳道具を引き取る。別れ際、無言で寄り目にして舌を出す真樹さん。泣いた。誰に感情移入したのか良くわからない。神谷なのか、徳永なのか、真樹さんなのか。兎に角、誰の視点からも泣ける。芸人さん界隈で良く聞く話を実体験したかのような引き込まれ方、文章に没頭出来るからですね。素晴らしい。最近は芸人さんのvlog動画もだいぶ増えて来て、少しずつ芸人さん世界を垣間見ることが出来るようになりましたが、こうやって小説として読むと細部まで表現されることで、よりリアルに感じることができました。

タイトルの火花は、小説冒頭の熱海の花火大会があったので、花火と混同してしまうので注意笑。
最後に収録されている芥川龍之介への手紙が熱っぽい文章で書かれている。本当に文学が、その作品を生み出す作家さんが好きなんだろうなと思いました。高校の同級生に芥川龍之介に憧れて髪型を真似ている奴もいましたね。彼も文章を書いているのでしょうか?気になります。

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