Nature Briefing 2023/05/25付

LIGO is back, and better than ever
LIGOの帰還-さらに良くなりました


レーザー干渉計重力波天文台観測所 (LIGO) が数百万ドルをかけてアップグレードし、3 年間の休止期間を経て復活しました。重力波(ブラック ホールの衝突やその他の宇宙大変動による時空の波動)は、2015年に初めて LIGO で観測されました。観測器の感度の向上によりLIGO は衝突するブラック ホールの信号に対し、以前までの週1回から数日おきに取得できるようになりました。科学者たちは今後、崩壊する星が超新星爆発として現れる前の重力信号や、パルサー(※規則的な周期で電波を発する小惑星)によって生成される連続重力波を検出したいと考えています。

⇒「重力波は歌う」は面白かった

‘Digital bridge’ helps paralysed man to walk
「デジタルブリッジ」が麻痺者の歩行を補助する


脳と脊髄の間の無線接続によって、麻痺障害者が思考を使って歩くことが可能になりました。自転車事故で足が麻痺したガート・ヤン・オスカム氏は、2018年にあらかじめプログラムされた電気刺激によってロボットのような動きを生み出す脊椎インプラントを受けました。彼は現在、脳の活動を検知してバックパックコンピュータに信号を送信する頭部インプラントを装着しており、バックパックコンピュータは情報を解読して脊髄パルス発生装置を作動させます。この脳-脊椎インターフェースにより、オスカム氏は刺激を完全に制御できるようになり、歩いたり、階段を登ったりすることができます。「以前は刺激が私をコントロールしていましたが、今は自分の思考によって刺激をコントロールしています」と彼は言います。

⇒「攻殻機動隊」が現実になる日も近い。。3-4lの訳が上手くいかないが、「ロボットのような動きなら可能にする」ということだろうか。

Baby mice hearts mature with mother's milk
赤ちゃんネズミの心臓は母乳で成熟する


赤ちゃんマウスの心臓細胞の代謝スイッチは、母乳に含まれる成分によって誘発されます。マウスの胎児の心筋細胞は糖と乳酸をエネルギーとしますが、生後 24 時間以内に燃料を脂肪酸へ移行します。7年間の、マウスの乳搾りを手で行うことなどを含む実験を経て、研究者らはついに代謝を移行させる重要な化合物としてγ-リノレン酸に焦点を当て、関与する受容体と遺伝子を特定しました。人間の母乳にも γ-リノレン酸が含まれており、その前駆体は乳児用ミルクにも含まれていますが、それが人間で同じ役割を果たすかどうかはまだ不明です。

⇒γ-リノレン酸は必須脂肪酸の一つだが基本は体内生成できない。

【追記】
人間の母乳(や胎盤?)にγ-リノレン酸が含まれていて、出産や育児とともに排出される機構にあるとすれば、例えば若さの保持のために母乳成分やヒトプラセンタを摂取するというのはやはり理にかなっていると思える。
女性の中でも出産を経験していない人ほど若く見える傾向にあると思うが、これは体内にγ-リノレン酸が保たれており、尚且つニンゲンの雄に対して『この雌個体は子供を作れます』という表現を担っているということなのだろう。ニンゲンはやはり社会性を持っているだけの野生のケモノということなんだと思うと感慨深い。

China’s data privacy laws deter researchers
中国のデータプライバシー法は研究者の活動を阻害する


中国は新たなデータ制限によりプライバシー保護を強化しましたが、世界中の研究者に懸念を与えています。社会学者のジョイ・チャン氏は、「中国が科学者たちに対して、これまでのように外国人と自由に協力することを望んでいないという意思を示していることは非常に明白だ」と語っています。中国最大級の学術データベースは海外からのアクセスを部分的に停止しており、また、臨床試験データなどを海外に送信する場合、その機関はセキュリティアセスメントを受ける必要があります。欧州連合のデータ保護規制とは異なり、この法律には科学者に対する免除はありません。中国政府はまた、輸出を禁止または制限する技術のリストにCRISPR遺伝子編集、作物育種、太陽光発電技術を追加することも提案しています。

⇒ノーコメント

Japan wants to privatize its science council
日本は学術会議の民営化を目指している


日本政府は、日本学術会議(SCJ)の民営化計画を巡り、研究者らから新たな怒りを買っています。政府はすでに評議会の規約やメンバーの任命プロセスを改革する計画から撤退しており、日本学術会議は最終的には政府と新たな関係を築かざるを得なくなるだろうと予測されています。政策研究者の長野博氏は「日本学術会議は独立しつつ、政府内の機関として存続する方法を見つけなければならないと思う」と述べています。

⇒正しく機能するすべはあるのだろうか。独立することで良い方向に進むとよいが。

全体の所感

nature asiaがあるので無駄かと思ったが、briefingのほうが早いようなので公開。英語の勉強(答え合わせもできてよいだろう)。日本学術会議の問題って世界的なニュースに取り上げられるんだな。日本にいると意外に感じる。
LIGOのアップデートは興味深いので続報を待ちたい。

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