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Nature Briefing 23/05/30付

Brain zapping probably does boost focus
ブレインザッピングは集中力を高める可能性がある

長年の議論の末、電流を非侵襲的に脳にザッピングすることで人の精神機能を改善できるかどうかについては、これまでの研究の膨大な解析により「おそらく」と結論付けられたようです。経頭蓋電気刺激法 (TES) は、頭皮上の電極を介して、痛みのない微弱な電流を脳に送ります。あるタイプの TES を調査した 100 以上の研究のメタアナリシスでは、この技術が注意力、記憶力、問題解決能力に適度な改善をもたらすことがわかりました。しかし、誰もが納得しているわけではありません。「この論文に対する私の懸念は、事実上異なる介入である研究をひとまとめにしてしまっていることです」と神経内科医のアルバロ・パスカル=レオーネは述べます。

US moves to protect condors from avian flu
アメリカ、コンドルを鳥インフルエンザから守るために動く

米国当局は、世界中で数億羽の鳥を殺した一種の鳥インフルエンザに対する、絶滅危惧種のカリフォルニアコンドル( Gymnogyps californianus )へのワクチン接種を認可しました。同国が鳥へのウイルスワクチン接種を承認したのは初めてです。ただし効果があるという保証はありません。このワクチンは鶏用に開発されたものであり、コンドルでの試験を未だ必要としています。1980年代から90年代にかけてコンドルを絶滅から救おうとした懸命な努力の末にもかかわらず、現在残っているコンドルは約540羽のみです。米国魚類野生生物局のカリフォルニアコンドルコーディネーター、アシュリー・ブラックフォード氏は、「今回の認可により、この脅威に対処するための新たな選択肢が追加され可能性が広がりました」と語ります。

New plan not enough to save Colorado River
新しい計画はコロラド川を救うには不十分

米国の7つの州は今週、米国とメキシコの4000万人以上に水を供給している重要な水源であるコロラド川の水の使用を削減する計画についに合意しました。過剰利用、干ばつ、気候変動により荒廃した川は干上がりつつあります。科学者たちはこの計画を歓迎していますが、この合意は今後のより困難な問題に対する一時的な解決策にすぎないとしています。
⇒これについては国内の新聞にも記事があったため参照
西日本新聞(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1097705/ )
東京新聞(https://www.tokyo-np.co.jp/article/257882?rct=world )
中日新聞(https://www.chunichi.co.jp/article/713801 )
 

Anonymizing peer review works against bias
査読の匿名化は偏見を防ぐ効果がある

著者の名前と所属を査読者から隠すことは、研究者にとって出版の競争条件を平等にするのに役立つでしょう。Functional Ecology誌の試験では、3,500 件を超える論文が無作為に二重盲検審査(論文著者、査読者がお互いに身元を知らない状態)に割り当てられました。その結果、低所得国または非英語圏の著者は身元が隠されているかどうかに関係なく、同様の査読結果を経験しました。しかし高所得国の出身者の場合、査読者が著者の身元知っていると査読スコアが上昇し、原稿の再提出を求められる可能性が高くなりました。

元画像:UnsplashMatthew Sichkarukが撮影した写真

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