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【サッカー育成の心理/物理学 Vol.5】インステップキックのコツ

これまで、フィロソフィーや準備体操/アジリティ/持久力、ボールの種類や場所について取り上げてきましたが、ようやく今回以降、技術についてです。

フィロソフィーにも記載しましたが、私の個人的な信条では、サッカーの技術は試合に勝つためにあると考えています。

もちろんゲームですので、「遊び」の要素は必要ですが、楽しんで勝つというのが理想だと思います。

今回フォーカスしたいのは、「インステップキック」についてです。

これまで年長~小学校低学年までの子どもたちを多く見てきましたが、インステップを蹴れる子どもは10%に満たないというのが感想です。

どうしても爪先で蹴ってしまうのが、傾向ですし、小1でこの状態ですと、手をつけなければ、中学年くらいになるまで蹴ることはできず、それまでの積み重ねができないというのは正直もったいないと感じます。

何度も触れていますが、サッカースクールではここまで踏み込まないですし、サッカーチームのコーチでも一人一人に教えるのは厳しいです。

であればこそ、親御さんたちのフォローが重要ですが、親御さんも経験者でないと伝えづらいかも知れません。

コツを挙げていきます。

・助走は短くワンステップ

よく、公園でサッカーをやっている少年(少女がボールを蹴るケースはレアですね)を見ると、助走が非常に長いと感じます。

極論を言えば、ステップを踏まずに軸足をそのままで、インステップに当てるのが最も良く蹴ることができます。

これにより斜めから入りすぎるキックを防ぐこともできます。正しい角度で入って、正しいポイントに当てることが重要です。

助走については勘違いが多く、何歩も助走は要りません。ゴールキーパーがゴールキックをロングキックする時には多少必要ですが、ワンステップで強いボールを蹴ることは十分可能です。まずはステップを踏まずに蹴ることを試してみてください。

先日、小1の息子のサッカーの試合を見に行きました。相手は地元で強豪と言われるチームで25~30人くらい1年生がいる状態でした。

試合を見ていると、相手のお子さん1人がセットプレーで10m~15mで助走を取って、キックをしていました。

案の定、歩幅も合わず、強いボールを蹴れず、相手(息子のチームメート)に取られ、結果、失点をしていました。

お子さんの考えでは長い助走=遠くにボールを蹴れるという発想であり、そこから何かを本人が学べれば良いですし、失敗から気付きを得られれば、OKだと思います。

一方で、指導者の方を観察していると、特に指摘はありませんでした。自主性を重んじるという方針かも知れませんが、少しアドバイスすることも重要と感じます。

・足の甲に当てる

当たるポイント(スイートスポット)は人それぞれですが、おおむね足の甲の内側となります。爪先で蹴ってしまっているとすぐに分かりますが、少し外側に当たると分かり辛いので、甲の内側に当たっているかを見てあげてください。

・最初は短い距離で

インステップの特徴は強いボールを蹴れることです。ですので、ある程度の距離からのシュートであったり、中長距離のパスで活用できます。

なのですが、まずは5(低学年)~10mくらいの短距離で真っ直ぐボールが飛ぶことを意識すると良いと思います。弾道としては野球のストレートの様に真っ直ぐ飛ぶので、5m真っ直ぐに飛べば、10m、15m、20mと距離を徐々に伸ばすことが可能です。

ですので、まずは短い距離が真っ直ぐ飛ぶという感覚を養ってください。

・逆足にも取り組む

ここからは私個人の信条をベースに書きたいと思います。右利きの子であれば、左足、左利きの子であれば、右足、つまり逆足についてです。

まず、ドリブルは右足=左足とする必要はないと思います。ボールを運ぶのはかなり利き足に頼れば十分で、抜く時には逆足を使う程度です。

この辺はドリブルの項で触れます。

一方、ボールを蹴る(インステップでもインサイドでも)レベルでは利き足と同等は厳しいですが、遜色なく左右扱えるのが理想と言えます。

特に右利きの選手は右利きが絶対数で多い分、武器を作る意味でも逆足に取組むのが理想的です。ただし、利き足のレベルをしっかりと上げるのが前提です。

子どもたちを見ていると意識させないと苦手なことに取組むのは難しいと感じます。躊躇せずに逆足を振り抜けるか、苦手意識を持たずに取り組めるかは親御さんの意識に関わってくると感じます。

最近の親御さんは優しく育てるケースが多いので、ここを辛抱強く取組む、励ましながら、褒めながらと言う匙加減の難しさはありますが、是非とも取組んでほしいところです。

一番の武器は利き足ですが、それを対策された時に苦手意識なく逆足で捌けるか、逆足の感覚を幼少期に高められたかが後々、影響が出てきます。

7(利き足):3(逆足)くらいでトレーニングができると良いと思います。利き足を基準に逆足は形成されますので、利き足のレベルを高めるのが最優先です。

チームやスクールのトレーニングで逆足の強化に割く時間は残念ながら少なく、自主練がベースになります。低学年では逆足が強く蹴れなくても、躊躇なく触れるレベル感であれば十分だと言えます(神経の発達が起きている)。

いかがでしょうか?個人的な考えとしては、ドリブルはアート(クリエイティビティ)ですが、それ以外の要素はサイエンス(再現性がある)と捉えています。

どこに、どの強さで当てて、体の向きや軸足、振りの早さ、助走の角度など、コツ(再現性)が掴めれば、自然と上達していきます。

コツを掴むための伴走として付き合って挙げられるのはコーチではなく、親御さんです。上記のポイントを参考に一緒に蹴ってみると良いコミュニケーションとなります!!

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