見出し画像

腕を寝違えた。

その表現が正しいのか、おそらく間違っているのだが、私は二日連続で腕を寝違えた。

朝、目が覚めるか覚めないかのとき、かすかに左の上腕に痛みを感じた。
「あ、やってしまった…」
と、頭によぎった瞬間、それで少し頭が働きだしたのだろう。痛みが強くなってきた。

いたたたた、

ゆっくり体を動かそうとするも、痛みが邪魔してくる。
左腕を伸ばそうにも伸ばせないし、右手で補助をしようとも試みたけれど、すべてが痛い!
はぁ、完全にやってしまった。こうなれば少し痛みが引くまで、ひたすら待つしかない。

私はいつも仰向けで寝ているが、なぜか起きると横向きになっているときがある。
通常は何ともないけれど、ときどき腕が体の下敷きになってしまって、朝起きたらこうなる。しかも今回は、昨日と今日で二日連続。
さすがに勘弁してくれという気分になった。
でも、この状態は何なんだろう。「寝違え」で合ってるのか、痛みで顔を歪めながらも好奇心が湧いてきた。


そもそも「寝違え」とは

今までなんでもかんでも「寝違えた」と言ってきたが、このたび初めて「寝違え」について検索してみた。
公益社団法人 日本整形外科学会によると、寝違えとは、

眠っていて目が覚めたときに、首の後ろや首から肩にかけての痛みが出ることがあり、いわゆる「寝違え」と言います。首を動かすと痛みが出る時もありますし、痛みで首を動かせない時もあります。
何が起こって痛みが出ているかについては、いろいろな意見がありますが検査や画像でとらえられるような変化がないのが一般的なので、正確な原因であるという証拠はありません。睡眠中不自然な姿勢が続いたために一部の筋肉が阻血(血液の供給が不足)におちいり時にしこりとなっている、前日などにいつもはしないスポーツや労働をして一部の筋肉が痙攣している(こむら返り)、頸椎の後ろの関節(椎間関節)の袋(関節包)に炎症がおこる、などの原因が考えられています。

日本整形外科学会(出典URL: https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/sprained_neck.html)

この説明を見ると、「寝違え」とは主に首肩に起こるものらしい。
寝相などで姿勢が悪かったために筋肉に血が通っていなかったり、筋肉が痙攣を起こしていたり……。
いずれにせよ、腕は関係ない?
「あれ?じゃあ、この症状は何なんだろう?」
更に気になって調べてみた。


ハネムーン麻痺?

「寝違え」から発展して色々検索していたところ、「ハネムーン麻痺」という言葉がヒットした。
腕枕をしたら、翌朝その腕がしびれてしまったという経験―。
これが、ハネムーン麻痺と俗に呼ばれているものらしい。

ハネムーンの夜に、男性が女性を腕枕して寝て起きたら、、手が麻痺していた!という出来事があることからこの名前が付いたみたいです。
日本ではあまり腕枕をする習慣がないため日本人より外国の方に多いみたいですよ。
また、実際にハネムーン症候群と診断されるほとんどの人が飲酒後の寝相や
床の上で長時間、腕を体の下にひいて寝ていた、などの人が多いようです。
カップル同士で起こる訳では無く、自分で自分の腕を枕にしたりする人でもなります。

ハートメディカルグループ(出典URL: https://www.heart-medical.co.jp/blog/archives/10959)

あ、これじゃない??
私の場合は、腕枕というより、腕敷布団?という感じだけれど。


橈骨神経

この漢字、「とうこつ」神経と読むそうだ。
上述のハネムーン麻痺とは、この橈骨神経の障害とのこと。

脇の下から始まり、腕を通り手先まで繋がっているこの神経は、圧迫されると腕や手にしびれが出てくる。
もっと酷い場合は、手首や指の関節が伸ばせなくなり、だらりと垂れてしまって「下垂手」状態になってしまうとのこと。
私ぐらいのレベルはそこまで深刻な状態ではないし、神経が傷ついているわけでもないので、基本的には時間が経てば自然と良くなるそうだ。

今まで私は腕の筋肉を痛めていたのかと思っていたけれど、筋肉ではなくて、神経を圧迫していたんだという事実。
これはけっこう驚きだった。
いずれにせよ痛いのは嫌なのだけれど、メカニズムが分かると何だか安心する。


ちなみに…

橈骨の「橈」という漢字には、「たわむ」とか「曲がる」という意味がある。
確かに、真っ直ぐではなく、若干たわんだ形になっている……?
「橈骨」の由来について東北大学整形外科学教室のページを見てみると、

橈骨 radius の和名は撓(たわ)んだ形に由来する。この骨は、さかのぼると、清朝乾隆帝の勅命で編さんされた「醫宗金鑑」に、臂骨(ひこつ、尺骨)を補う骨、即ち輔骨と記されている。杉田玄白らによるかの「解体新書」では、尺骨の直臂骨に対して撓臂骨とした。これによって、明治時代に radius が撓骨となったものと思われる。
Radius のラテン語の原義は尖った棒や杖である。解剖名の radius はその形状に基づくことが分かる。ちなみに、大槻玄澤が改訂した「重訂解体新書」には、原義に従った訳語として梃骨(ていこつ、梃:棒)の名がみられる。
Radius には他に車輪の輻(ふく、spoke)の意味がある。それで、円の半径を表すのに radius が使われるようになった。また、輻が轂(こしき)から周囲に散る様子に発想して、radius は輻射、放射の radiation に発展し、さらに光線、X線や列のray、X線写真の radiograph、ラジオの radiotelegraphy となった。

東北大学整形外科学教室(出典URL: https://www.ortho.med.tohoku.ac.jp/anecdote.php#09)

なんと、思ってもみなかった言葉との繋がりがわかった!
橈骨のラテン語名 Radiusには、上にもあるように、「放射状の、光線」などの意味もあり、そこから「radioactivity(放射能)」といった言葉も生まれた。

いまだに私は橈骨がどういう形をしている骨なのか掴みきれていないが、私の「寝違え」事件からまさかここに辿りつくとは。
やっぱり探求するっておもしろい。

この記事が参加している募集

振り返りnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?