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手紙その17『明鏡止水』

『この人めっちゃ陰陽五行の影響受けてるやん』

「手紙その16」までを読み返した感想だ。

ペーパードライバーならぬペーパー鍼灸師の僕。
『陰陽五行説』はそのカリキュラムの中に含まれている。

陰はマイナス、陽はプラス。
陰でも陽でもないバランスの取れたゼロの状態を『中庸』という。
五行は自然界を司る五つの要素『木火土金水』。
この5つの要素は互いに関係し合っている。
治療家が陰陽五行説を用いて治療に当たる場合、この五行のバランスを整えて『中庸』を目指す。

不足は『陰虚』、過剰は『陽実』という。
『虚』に対しては『補う(足す)』方法があり、
『実』に対しては『瀉す(減らす)』方法がある。
そうやってバランスを整える。
僕は今、教科書に載っている事を偉そうに話しているだけだ。エッヘン。

そこで、僕が人生を生きてきて思うのは、
『運命』は『君を治療する』ということ。

君の身に何か良くない出来事が起こったとしても、何も恐れなくて良いと思う。
それは君の『虚』を補うため、『実』を瀉すために起こった(或いは君が起こした)出来事だからだ。
君がそれを乗り越えた時、『中庸』になるんだ。

妻と出会う前に恋した人がいた。
恋は盲目で、彼女とどうにかしたいと思った。
けれど、叶わぬ恋だった。
過剰な性欲や独占欲は『陽実』そのものだ。
補われない虚、瀉されない実は苦しみや悲しみとなって現れる。
だけど、人生を生きると、それを乗り越えるための出会いや出来事が必ず起こる。
乗り越えて、かつての恋人と再会した。
(妻に会うことは言っていた)
盲目ではない中庸の眼で彼女と出会い、彼女に抱いた感情は『尊敬』と『感謝』だった。

いいかい息子たち。
気を付けてほしいことがある。 
何が何でも『中庸』を目指す必要はない。
台風が川と大地を洗い流していくように。
池に石を投げ入れ水面が揺れても時間をかけて戻っていくように。
まずは陰陽、虚実、人生のうねりを楽しんで。
『明鏡止水』は目指すものじゃない。
気づいたらなっているものさ。

シオン
花言葉は『遠くにある君を想う』

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