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「メタ認知」とはなにか 『メタ認知 基礎と応用』

最近ようやく一般的用語になりつつあるメタ認知。定義がなかなか難しく、「自分自身を見ているもうひとりの自分がいる」などといった説明がされたりします。

今回は、メタ認知の教科書から「メタ認知とはなにか」について考えてまいりたいと思います。

ダンスキーとメトカルフェによって著されたメタ認知の教科書。当然のことながらメタ認知の話から参りますが、その前に「メタ」ではない「認知」とは何かという話から始まります。

「認知」とはなにか

Wikipediaでは下記のように書かれています。

認知(にんち)とは、心理学などで、人間などが外界にある対象を知覚した上で、それが何であるかを判断したり解釈したりする過程のこと。

認知科学や認知心理学は、人が外界をどのように認知し、行動するか、人の心をコンピュータのアナロジーで研究してゆく学問です。記憶・推論・知覚・学習・言語・問題解決など、人が頭の中で判断したり解釈した上でどのような行動を取るか、分析をして「心の働き」を科学的に探究する学問です。

「メタ認知」とは?

メタ認知とは、自分自身の思考や認知についての思考である(Flavell, 1979)

本文中では至って簡単にまとまっている。ただ自分自信がどんな事を考えているか、なにを知ったのかについて考えること、それこそがメタ認知である。

そして、メタ認知には3つの要素がある。

1.メタ認知的知識
2.メタ認知的モニタリング
3.メタ認知的コントロール

の3つだ。簡単に言えば、自分が働かせるメタ認知にはいろいろな種類があり、それぞれに研究成果からつけられた名前があるが、それを知っているかどうか、ということと、自分の思考や認知がどのような状態なのかを知る、ということと、自分の思考や認知を操作することができるということである。

1.メタ認知的知識

例えば、すごく簡単な例で言えば「テレビは学習するときには自分の集中を乱すということを知っていること」はみなさんにとって身近かもしれない。

つまり、自分の頭の使い方について知っていることを言葉にすること、それがメタ認知的知識である。本文から引用すると、下記のようになる。

メタ認知的知識とは認知について人々が持っている宣言的知識に関係している。宣言的知識は、事実、信念、エピソードからなってて、ことばで述べることができる。(つまり、長期記憶から再生できる)。

2.メタ認知的モニタリング

例えば、すごく簡単な例で言えば、「漢字を覚えるために練習したとき、自分はだいたい80%くらい覚えることができた、ということを把握すること」はみなさんにとって身近かもしれない。

そんなとき、自分がそのときしている作業や思考がどのくらいすすんでいるのか、どんな状況なのかを知ることこそが、メタ認知的モニタリングである。本文から引用すると、下記のようになる。

メタ認知的モニタリングとは、ある特定の認知活動の継続的な進捗状況や現在の状態を査定あるいは評価することである。研究者は、メタ認知的モニタリングを調べるために、たいていの場合、実験参加者に認知の状態の判断を明らかに示すことを求める。

3.メタ認知的コントロール

例えば、すごく簡単な例で言えば、「漢字の学習完了率が80%くらいだったら、もうすこし漢字の時間を増やす行動をとったり、時間を減らしたりすること」はみなさんにとって身近かもしれない。

そんなとき、自分がそのときしている作業や思考の状態をメタ認知的にモニタリングした後、自分がつぎにどのような行動を取るか、「判断」をすることこそが、メタ認知的コントロールである。本文から引用すると、下記のようになる。

メタ認知的コントールとは、認知活動を中断したり、それを続けると判断したり、途中でそれを変更したりすると言ったように、進行中の認知活動を調整することに関係している。

「わける」ことは「わかる」ことへの第一歩

例えば、以前、「限界的練習」について書いたnoteで取り上げたトピックには下記のようなものがあった。

1.コーチや教師からのフィードバックなしに、自らの技能を高めるために、自らにフィードバックする力はどのように高められるのか(メタ認知の発達の問題)

やはり、この場合においては3つのメタ認知が必要になる。

メタ認知的知識でいえば、自分の体の動きや考え方について宣言的知識(言葉で明示された知識)がなければ、そもそもそれぞれの認知機能を認識することができない。

さらに、自分にフィードバックするということは「自分の技能のレベル」への正確な認識が必要だ。その場合にはメタ認知的モニタリングの能力が必要となる。そして、自分の技能を高めるためにはメタ認知的コントロールによって能力を高めるために自分の行動を変えることができるようになる必要があるのだ。

ただ続けることを目的に、毎日更新しております。日々の実践、研究をわかりやすくお伝えできるよう努力します。