「不思議惑星キン・ザ・ザ」

「不思議惑星キン・ザ・ザ(Kin-dza-dza!)」(ゲオルギー・ダネリヤ監督)。

1986年発表のソビエト連邦(ソ連)の映画なのだが、SFコメディというか、大真面目にふざけて撮ったこれぞロシアン・アヴァンギャルドなのか、とにかく不思議で奇妙なフィルムだ。

確かに、5年後に崩壊するソ連を予見してか、近未来のデストピア風な感じもする。よく当時の国家検閲をクリアしたもんだね。

公開当時、本国でめちゃくちゃ大ヒットして世界に広まり、日本でも公開されたらしいから、カルト作品だね。

両手で頬をパチン、パチンと軽く叩いて、両手と脚をしゃがむように開いて、「クー」と言う異星人の挨拶がマジでウケて、クセになっちまうよ(笑)。

モスクワで、買い物に向かう途中の中年のおじさん、マシコフと、ヴァイオリン弾きのグルジア人の学生ゲテヴァンは偶然、異星人を名乗る裸足の浮浪者みたいな男を見かける。
2人は男を軽くあしらうが、男の持つテレポート装置によって、いきなり「キン・ザ・ザ星雲」の砂漠の惑星プリュクに飛ばされてしまう。
2人は地球へ戻るため、いろいろと苦労することに…。

何の脈絡もなくいきなり砂漠の真ん中に飛ばされた2人は、釣り鐘みたいな小さな宇宙船に乗ってやって来た異星人、チビデブとノッポのむさいオッサンの2人と地球に戻るための旅に出ることに。

ブリュクではなぜかマッチ(!)が貴重品で、いろんな高価なものに交換できる。貧富の差も激しく、貧しき者は、富める者に対して、変なマヌケなポーズで「クー」と挨拶しなければならない。

また、星の住民はチャトル人とパッツ人と2つの人種に分かれており、チャトル人が支配者で被支配者であるパッツ人は儀礼に従わなければならない。

威張ってるのは、エツィロップと呼ばれる警察官で武器を持って好き勝手し放題。一番の権力者はPJ様と呼ばれ、人々は彼を熱烈に崇拝している。

他にも、変な独特の名前の道具や武器、挨拶、ポーズなど、細かく設定されている。解説なしでは難しいかも。

当時のソ連で、どう見ても西側の資本主義陣営を揶揄するというよりも、自国の独裁体制を批判してるように見えるけど、とぼけた可笑しさで純粋にただコメディとして見られたのかもしれない。監督の力量だね。

ラストは、空間移動装置を手に入れた2人はなんとか地球に戻ることができたが、オッサン同士の涙するような友情物語でもあって、感動してしまった自分が恥ずかしくて困惑する。

基本、むさいオッサンだらけのゆったりヘンテコな共産国家SFコメディ。長過ぎて冗長な部分もあるけど、このチープさとショボさ、ユルさ、それにシュールさは特筆するに値するね。クー。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。