【古典邦画】「歌行燈」

成瀬巳喜男監督の、1943(昭和18)年の作品「歌行燈(ウタアンドン)」。YouTubeにて。

泉鏡花の小説が原作。戦時中であるが、日本の伝統芸能ものであるから、製作が許されたのだろう。

主演は、能の名人、喜多八を演じた花柳章太郎だが、山田五十鈴が、喜多八のために死んだ謠(ウタイ)の師・宗山の娘、お袖を演じている。

喜多八は、能の流派の師匠の甥であったが、謠の師・宗山と腕比べをして、宗山を自殺に追い込んでしまう。
そのために、能の師匠は激怒、喜多八を勘当する。
宗山には、お袖という娘がいたが、お袖は父の死によって芸者の身分となっていた。
勘当されて流浪していた喜多八は、ある宿でお袖と会う。
彼女にとっては親の仇であるが、お袖の芸者としての芸があまりにもお粗末だったため、喜多八は、二度と能をしないという禁を破って、彼女に舞と謠を伝授する。

そして、最終的には、めでたし、めでたし、のお話だ。

能なんて全くわからないので、名人が舞うといっても、どこがスゴいのかも全くわからない。喜多八の名人芸をたった一週間で伝授でできるのか、疑問であるが、伝統芸能は別にしても、ひとつの人間ドラマとしては面白かった。

親の仇であっても、芸がそういう下世話なことを超えてしまい、師匠として好意を持つ。そして、不幸を乗り越えたからこそ、芸に磨きがかかり、勘当も許されるのだ。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。