「貧乏の神様」

他人の貧乏話が面白いのは当たり前だが、芥川賞作家・柳美里さんの場合、あまりのトラブル続き、精神を病むほどの困窮ぶりに、言葉を失ってしまったね。

この著書を読んだ上で、公共料金や電話代が払えない、食えない状況であるのに、なぜ猫を飼っているのか、返すアテもないのに、なぜ借金をするのか、同棲相手は何もしてないの、なぜ執筆しないのか…etc、と、俺も含めて外野は勝手に判断するものだけど、人それぞれ、いろいろと困窮する理由や事情があるものだ。

掲載された日記を読むと、ちょっとイタいメンヘラで、けっこうメンドクサイ人なのかなぁ、とは思うけど、そういう受容することができないような、外れた鋭い神経の持ち主だからこそ、芥川賞を受賞する程の作家になれるのだと思う。

その血筋は確実に息子さんへ受け継がれていると思った。

月刊「創」の編集長との原稿料未払いの件でのやり取り(解決済み)は、編集長を全く知らないこともないけど、契約書を交わすことのない昔からの慣習によって成り立っているのが当たり前とすることに、あゝ、やっぱり団塊だぜ、と呆れるばかり。

柳美里さんの弁。
「わたしは、書くことで自分に他人を宿し、読まれることで自分を他人に託すことによってしか生きられないので、生きているうちは書くことを手放せないと思う。現実世界では自分の人生しか生きられない自分が、書くことによって他人の人生を生きて死ぬことができる。自分の実人生や現実世界が希薄になるという弊害はあるが…」。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。