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「日本の報道機関は政権によって厳重に管理されている」(アルジャジーラ)

 カタールは中東に存在する首長国で、アミールという世襲の君主が存在する。アミールは日本で言うと江戸幕府の将軍に近いイメージだと思う。
 そのカタールの国営放送アルジャジーラは、比較的中立な放送をしていることで知られる。
 カタールは民主主義は進んではいないが、民主化によって必ずしも国家が安定する訳ではないことは、イラクやリビアの例でも明白だ。カタールはむしろ君主制だからこそ安定しているという例の一つである。
 アルジャジーラは衛星放送を行っておりカタールのみならずアラブ世界各国に報道網を広げている。そのため、カタール以外のアラブの政府にとってはその放送は脅威でもある。他国の政府に忖度などしないからだ。
 さて、アルジャジーラが日本の政治体制について興味深い指摘をしていた。日本の方がカタールよりも民主化は進んでいると言われるが、その我が国の民主主義の欺瞞を衝くものであると言える。

日本では、独立したグループが要求を出したり、制度の大幅な変更を促したりするための政治的空間が認められていない。政権与党は戦後、社会的対立の原因となるものをすべて飼いならすために協力し、ほぼ成功した。

これは、日本の報道機関にも言えることだ。この批評的領域は、政権によって厳重に管理されており、左派も右派も政府の方針から大きく外れることはできなかった。

たとえば、アメリカでは、CNNやMSNBCを見る人と、FOXニュースやワン・アメリカ・ニュース・ネットワークを見る人との間に情報の隔たりがあるが、日本にはない。日本では、既成政党が支配的で、メディアは慎重に、そしてときどき、軽い論争の対象となるような政治問題に触れる程度である。

実際、自民党は1955年以来、一党独裁に近い形で日本を運営しており、政権が途切れることはほぼなかった。2021年になっても、その恩顧主義的な政治スタイルは健在だ。

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 カタールの国営放送がそれを言うか、と言う感じはあるが、客観的事実自体は当たっている。
 日本のマスコミは一見政府批判をしているように見えて、実際には「軽い論争の対象となるような政治問題に触れる程度」に過ぎない。
 問題は、中東の人たちがそれを知っているのに、肝心の日本人がそのことを知らないことにある。

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