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キオクノート #19  羽山農園をするために10年目で羽山料理店を閉店した時の話

農業という方向が見えたのはもちろん実家に畑があるという基盤があっての話でしたが、これも元々農家である羽山家のDNAがキオクしているんでしょうか、何故か血が騒ぐ、いやちょっと違う、ワクワクするって感じか、やりたいと思ったらカラダが反応してしまうのです。でもいくらすぐ行動といっても自分自身が店に立っている以上身体はひとつ、移動時間と交通費がのしかかってきます。


姉妹店土佐堀オリーブは最初から任せるつもりでしたし、任せていても大丈夫だったので自分の店、羽山料理店をどうするかです。往復4時間強、交通費は約8千円ほど、農業を取るなら答えはひとつ、閉店しかないという結論に。


売上は低迷し、スタッフも続かずひとり営業も気合が足りず、今思えば逃げ出したい気持ちもあったのは確かです。自分の姉妹店の人気にも嫉妬し、うまくできない自店なんてなくても良いかと考えました。
農業をすれば必ず成功するという確信もないのですが、家族に話して、閉店を決めます。


決めたのが2014年の正月。


当初は家族で移住の予定でしたが、学校や費用の問題でまず僕だけが農園のある実家に住み込み(変な言い方ですが)週末に大阪に帰るというスタイルを取ることに。単身赴任みたいなカタチと自分では言ってました。


閉店は2014年5月27日、開店からちょうど10年のその日に決定。


ひとつ言えるのは「閉店は開店よりも圧倒的に面倒くさい」ってこと。いろんなものを集めてオープンって感じじゃなく。色々手放していくのはココロにも少しダメージを受けます。ただ、姉妹店があるし廃業するわけではないので役所関係はほとんど行かずに済みました。


まず店舗。本来なら契約上元の状態、つまり何もないスケルトンの状態に回復して大家さんに返さなければいけませんが、飲食店の場合、設備や漆器をそのまま使いたい次のオーナーさんに中身丸ごと買い取ってもらう、いわゆる居抜きという形があります。
ぼくの場合運良く知り合いの知り合いに数百万円で譲ることが出来ましたが、ここで教訓、こういうのはやっぱりちゃんと書類やプロの人に間に入ってもらう方が得策です。この時契約書はちゃんとかわしたのですが、この新オーナーさん、業績がふるわずぼくに払うべきお金がまだ未納。その額100万円。連絡取れず。これ見てる知り合いいたら教えて欲しいなぁ。


後はお客様や業者さんへ連絡と説明。こっちがさらに大変でしたね。SNSのお陰で広く周知出来たと思いますが9割の人からなんで?もったいない!辞めないで!の3連撃をいただきました。当然ですね、いつも急に決めるので。(周りに相談せずひとりで考えるので急に決めたように見えるぼくの悪い性格)その節は御理解ありがとうございました。


今まで支えてくれた沢山の人たちが顔見に来てくれた最終日の嬉し悲しい気持ちや、その後ちょうど10周年と言うこともあり友人たちが開いてくれたパーティも最高に楽しくハッピーで人生において一生忘れないことがまた増えたのでした。まだまだずっと考えます、この御恩をどう返そうかと。


こうしてハヤマ的終わりと始まりが訪れて、次のステップへと進みます。キオクが確かなうちに。


読んでいただいてありがとうございます。マガジンもちらっと見ていただけるとうれしいです。