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ほぼ日帰りで博多から上五島へ。ハリノメンドと教会巡りの旅

長崎・外海の出津教会の旅の後、次はここと思っていた五島へやっと行ってきました。博多港を夜中に出て、五島列島の北から点々と寄港するフェリー「太古」を利用。今回は教会だけでなく「ハリノメンド」という場所も気になるので、行き先は上五島です。

往路は博多港23:45発、翌朝5:40に上五島の青方港着。
復路は同日12:10発、同じフェリーで17:50帰福。
スケジュールの都合で、上五島滞在約6時間…の予定。

青方港、到着前。朝5時半ごろフェリーから撮影

フェリーではグリーン和室を予約したのですが、まー眠れない。同室だった毎月乗船しているベテラン女性も「今夜はけっこう揺れた」と。起きて洗面所へ行くのがやっとで、顔を洗って歯を磨くのはサッサと諦めました。青方港の休憩所で、ゆっくりやればいい…。その間に、今回の旅の友が予約していたカーシェアの車を取りに行ってくれて。私、天使と一緒だったよう。

まずは上五島地区の小さな教会2カ所へ。どちらも観光客が来るようなところじゃない、集落の人たちのための場所。撮影禁止なんて貼り紙ないけど、なんとなく撮らない。

民家の裏にボート、そのボートからアザミ

けど、こういうのは撮る。

8時半に「桐教会」下で、「ハリノメンド」へ案内してくれる船「祥福丸」の方と待ち合わせ。桐教会から見下ろす湾の眺めの美しいこと。自然の中にある人の生活のバランスがちょうどいい、そんなことを感じました。そしてこの日の朝はどこに行っても鶯の声が響き渡っていました。

しばらくぼーっと

8時半ちょうどにお迎えが来て、港へ。すぐ船に乗せてもらって沖へ。

祥福丸の坂井さん、格好いいです

前日の風雨から一転、真っ青な空と凪の海。見えてきました、「ハリノメンド」。五島の言葉で「針の穴」だそうです。地元のカメラマンさんがイエスを抱いたマリア象に見える…と語ったのが話題となり、人気のスポットとなったそうです。

ハリノメンド

イエスを抱いたマリア象…最初はこじつけ感あるかな、と思ったんです。マリアさまかと見ているうちに、胸に来るものがありました。ここは海の上の教会かもしれない。

裏に回ると釣り客が何人も。家族連れでキャンプする人たちもいて、時々焼肉の匂いがするそうな。

その先に「キリシタン洞窟」がありました。弾圧から逃れた人たちが約3ヶ月暮らした洞窟で、朝の煮炊きの煙が漏れて見つかってしまい…。祥福丸さん、ここまで連れて行ってくれますが上陸は自分たちでします。

スタスタ先に行く旅の友。天使は時に厳しい

入り口に白いキリスト像。船長からマイクで「キリストの下から中に入れるから〜」と指示キタ(笑)。けっこうな岩場ですよ。私、大丈夫かとヒヤヒヤしながら、なんとか歩きました。ていうか、進まないと置いていかれる。

大きな岩がゴロゴロの洞窟の中。入って右に抜ければ船が待つ海側へ出ます。薄暗く、ひんやりしている。けど、隠れた生活にも楽しいひと時はあったかもしれない。「ここで子どもが生まれて育ったらその子には普通ですよね」と旅の友。そうよね、昔人類は洞窟に住んでいたしね。不謹慎? でも沈痛に浸らなくていいと思いました。

「またね〜」手を振る白いイエス像

透き通った海を堪能しながら港に戻ると、坂井船長の奥さん・鈴子さんがコーヒーを持ってきてくれました。うれしい。一緒に写真撮ったり、おしゃべりしていたら、なんと五島の隠れキリシタン最後の神父さんだそうで。どういうこと? もう少し聞きたい。お宅の玄関先まで伺いました。

キリシタン禁制の高札撤去後、新しく立った教会へ行く人たちもいましたが、坂井さんたちは代々受け継いだ信仰を今も守り続けているそうです。古文書からカタカナで書き写したさまざまなオラショ(祈り)、古いロザリオ、門外不出のマリア観音の代わりに祈りを捧げる御神体を見せてくださいました。神父としての活動は全て無償で、頼まれれば祈りを捧げに行き、集まりごとがあれば自分たちで食事も用意する。船の仕事は生活のため。
いいお話を聞かせてもらいました。また会いに行きたいし、そうなる気がします。

祥福丸

長居しました。気づけば10時、帰りの船は12:10発です。
もう少し教会巡りをしたい、と鈴子さんにおすすめを聞くと「中ノ浦教会」とのこと。とても可愛らしい教会でした。

中ノ浦教会のマリア像

中は椿があしらわれていました。女性的。

お腹もすいてきた、五島うどんを食べないと。

うどん民宿 寿太郎(ひさたろう)さんにて

青方港近く『うどん民宿 寿太郎』さんへ。お出汁が効いてます、旨い。

時間が迫る中、ギリギリもう一カ所行けるかもしれないと「大曽教会」へ。
ここがまた! 素敵な教会でした。

大曽教会

五島出身の教会建築家、鉄川与助さんの建てた教会です。鉄川建築の教会は五島だけでなく、平戸、天草、さらに福岡にもある。知らなかった。。ちなみに高札撤去後、教会へ参加した方を復活キリシタンというそうです。

さぁ、もう本当にギリギリ! 青方のカーシェア・ステーションに車を返し、バスで港へ。と思ったら「お土産やさん、1、2分寄れます!」と言われて駆け込みました。

丸いかんころ餅。かじってみるとあんこ入り

長崎名物、かんころ餅3個とよもぎ饅頭を1個つかんで買い物終了! バス停へ小走ったら、ちょうど青方港行きが出るところ! 見事に間に合い、バスに乗ったらなんか笑っちゃいました。

今回の旅、まるでパズルのピースが次々とはまっていくようでした。1分1秒、私の船酔いも含めて。焦るとほんの数分も長く感じ、残り時間わずかでも行ける時はバッチリ行ける。そして待ち人は、ジャストタイミングでやって来る(笑)。

丸いかんころ餅を早速フェリーで食べると、やわらかくてあんこ入りで、とても美味。「パンランドかんちゃん」というお店のものでした。お取り寄せできるかな?

上五島へは、また別の方と企画して訪ねることになりそうです。次は重要文化財指定なのに今回寄らなかった(笑)、頭ヶ島天主堂や青砂ヶ浦天主堂へ行きたい。ハリノメンドも再訪して坂井さん夫婦にまた会いたい。そして泳ぎたいです。あの青く澄んだ海で。


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