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自社商品開発

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自社商品を作る。請負業や商社が一度は考えることです。しかし、ほとんどがうまくいかない。なぜなのか?うまくいくためには何が必要なのか。を考察します。
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記事一覧

会社に必要なのはキラーコンテンツだ

キラーウェブもうずいぶん以前になりますが、このような本を書きました。 キラーウェブ 儲かるウェブの裏側 中にはすでに他社に買収されたり名前を変えたりしているサイトもありますし、特定商品のキャンペーンページなどはもちろんもうありませんが、大半のサイトは健在で名前もそのままです。 キラーウェブとは『何らかの要素で一番を持ち、それがユーザーに支持されているWebサイトのことを指す』とあります。ていうか、私が定義したのですが(笑)、要は何らかのキラーコンテンツを持つ、競争力のあ

キラーコンテンツのつくり方①

会社にはキラーコンテンツが必要だと言っても、実際は言うほど簡単なものではありません。簡単だったら世の中キラーコンテンツだらけで、逆にキラーではなくなってしまいます。 難しいから取り組む価値がある。半年間、キラー商品を作ることに専念すれば、きっと何か特別なものができる。少なくとも、足がかりは掴めるはずです。 では、キラーコンテンツを作るにはどうすればいいか。私なりに考えたものを書いていきます。モノを売るECサイトを前提とします。 オンリーワンよりナンバーワン自社商品のこと

私の『プロ領域』について

これまで私が何をやってきたかは、下記の記事で書きましたので繰り返しませんが、今日は、今現在何をやっていて、どういう悩みや課題なら解決のお手伝いができるのかを、少し整理してみようと思います。 ①EC(ネット通販)のプロデュース/収益化支援私はこれまで、1,000以上のWebサイトをプロデュースしてきました(もはや正確に数えていません)。97年からWebに関わった仕事をしているので、まあそれくらいにはなりますよね。この本の説明には500を超えるサイトって書いてますが、2005年

『勝利の方程式』があるか

人気者は必殺技を持っているエンターテイメントには、必殺技が必要です。 例えば、戦隊ヒーローもの。必ず最後に必殺技を繰り出します。それが通用しないのは最終回と相場が決まっています。 鬼滅の刃なんかは、息子に全巻借りて勉強(?)しましたが、次々に必殺技が出てきて、私などはついていけません。 プロレスもわかりやすいですね。大体の人気選手は必殺技を持ってます。私は猪木馬場全盛時くらいしか知りませんが、猪木が延髄斬りをしたら、あとはもう卍固めを待つばかり。ハンセンのラリアット、ホ

ECはどれだけ上りエスカレーターなのか

EC市場と異業種の参入事例日本のEC市場規模は、現時点で約29兆円。すでに押しも押されもしない巨大市場ではありますが、「広義のEC」はまだまだ緒に就いたばかりです。例えば、コロナが広がって一気に市民権を得た感があるUber Eatsや出前館。車に乗る人なら、あの配達に一度は肝を冷やした人もいることでしょう。あれなんかは、飲食店のECですよね。それはわかりやすいと思います。 これは今に始まったわけではありませんが、チケット予約なんかもそうですね。今はチケット自体がQRコードだ

どんな業種にも迫られる「通販化DX」

時流を外して成長はないこれまでここに書いてきたことって、ひと言でいえば全業種の「通販化」です。モノを売っていようがいまいが、BtoCであろうがBtoBであろうが、メーカーであろうが商社であろうが、一次産業であろうが製造業であろうが、あらゆる業種が「通販化」できるし、これからの成長を望むならするべきだと思っています。 そして、その通販化で使うツールはWeb一択です。いわば「通販化DX」です。それ以外の選択肢を否定しているのではなく、まずは一点集中した方がいい。紙や電波はその後

コンセプトなくして刺さる商品無し

すべてはコンセプト作りから以前の記事「メーカー化の壁:マーケティング」の中で、商品開発時のマーケット視点の重要性を書きました。 農業でも漁業でも製造業でも、マーケット視点でモノを作る。その際、得手に帆を揚げて、それぞれの得意なところを持ち寄る。 また、前回の記事(自社商品を世に出すための「素材ストック法」)で、こんなことも書きました。 その際、前提として「誰にどういう体験をしてもらうのか」というコンセプトを明確にすることは必須です。 世の中に「格好いいけど誰が買うんだ

当たり前の「不便」にアンテナを立てる

雨の日の車例えば、雨の日に車に乗るときありますよね。傘ってどこに仕舞います? 私は30年以上車に乗っていますが、これいつも迷うんですよ。小雨程度なら気になりませんが、大雨の時、いちいち後部座席のドアを開けて傘を入れようとすると、その一瞬でずぶ濡れになる。助手席の足下に置こうとしても、だいたい運転席やギアノブの部分がビショビショになる。これって、少なくともこの30年、変わらない不便なんですね。 運転席ドアの内側に、傘をスッと挿せるものを作れないんだろうとか、運転席を開けたら

商品発想のためのインプット

土俵の真ん中でプロダクトアウトではなく、マーケティング思考(マーケットイン)で商品を作る。自社商品を作るときに忘れられがちで、且つ最も大事なものはそれだと書きました。でも、製造業や農業等のモノづくり企業にとっては、口で言うほどかんたんではありません。そんな思考とは無縁の世界にいた人が、いきなりポンポン発想できる方がおかしいでしょう。 私は製造業(加工業)の顧客が約200社ありますが、少し腰を据えて話をすると、多くの皆さんは「自社商品は作ってみたい」と言います。しかし、その次

儲けないと申し訳ない

「メーカー化」のもう一つの壁モノづくり企業の「メーカー化」に立ち塞がるもう一つの壁は、原価率です。 例えば、私が工場用の金属製ラックを自社商品として作るとしましょう。まず、複数の工場に見積もりを依頼し、他にラベルや梱包材などの仕入れ値を計算して、一個当たりの原価を算出しますよね。その時点で、モノタロウなどで売られている中国製の類似商品に比べると、10倍くらいの金額になってしまいます。それに何とかして付加価値を、と思っても、その時点で価格10倍では話になりません。他社の売値に

「メーカー化」の壁:マーケティング

新しいことをやるときは、多かれ少なかれ様々な「壁」が出現するものですが、前回書いた「メーカー化」には必ず出現する壁があります。それが、マーケティングです。それまで作ることに専念していた会社が、売ることを考えるのは想像以上にハードルが高いのです。 我々のように、日常的にモノやサービスを売っている立場からするとほんの些細なことでも、そういう経験のないモノづくり企業にとってはかなり難解に映るものです。もちろん、逆の立場でもそうですよね。モノづくりをしたことがない我々が何か作ろうと

製造業の強固なピラミッド

硬直化した構造私の顧客は多業種にまたがっていますが、中でも製造業は200社を超えるリストがあります。それは3年前に継承した事業が製造業対象だったためですが、それまであまりその業界とは接点がなかった私としては、単に商品を売ることではなく、自分の持っている知見(EC、マーケティング)をどうやって組み合わせることができるか、どんな新しいことができるか、そのためにまず顧客を知ろう。そんな思いで顧客に接してきました。 その間、じっくり見てきて感じるのは、製造業の強固なピラミッド構造で