三人展『つないで、はなれて、そのあとさきへ』 合作の裏側その2
当初は1記事でまとめようと思ったのですが案外長くなってしまったので分けることにしました。最初から読んでいただいたほうが流れがわかりやすいかと思います。
1回目の合作から約1ヶ月後
2021年8月 合作2作目の制作
キャンバスプリントは大阪・中津にあるカラークリエイトさんにお願いしました。
(カラークリエイトさんに引き取りに行ったのですが、めちゃくちゃおしゃれな印刷会社さんでした。1階にはKNOT MARKET PLACEという素敵なカフェが。帰る前に一服させていただきました。詳しくはこちら)
画材もスタンバったところで…
謎の儀式タイム
トラブルあるところにアイデアあり
そして「はなれて」を作るべく、容赦なく手を加えていく3人…
は ま や、halyu、きし「「「めっちゃ水弾くやんこのキャンバス」」」
一瞬うろたえたものの、ここはアーティストとして立ち向かう
水の量を調整するなどして、なかなかいい感じになってきました。
―とここでおもむろにキャンバスに穴を開け始める
この穴の犯人は私です。
めくれあがったところはホッチキスと糸で固定しました。
展覧会に来てくださった方にはお話もさせていただきましたが、今回の作品には、ダミーのなにがしが点在しています。
「糸」もそのうちのひとつ。
どういうことかと言うと…
実は、「本物の糸」と「ダミーの糸(ペンで描画)」がありました。
糸の他にも、3人のサインのダミーがあったりと、何かと楽しめる仕掛けがあったりしました。3人ならではのアイデアだったと思います。
まっさらなキャンバスに描くのと違って、もともとあるものの上から描いていたため、色合いや、塗りつぶし具合が難しかったように感じます。
1作目より時間がかかった気がする。
どんどんすすんでいく
「はなれて」の方は、「つないで」に比べて、立体の要素もありました。
このミサンガモドキは、もともと真っ白だったタコ糸に着色を施して編みました。「変わってしまったもの」を表すために、着色は一部のみにしました。
制作も佳境に
1作目の時同様、総出で乾かし作戦
ちょっとした息抜きに、側面への落書きをしてみたり。
そしていよいよ
合作2作目「はなれて」完成!
先に描いた「つないで」と並べて撮影。
この日は間の休憩を長くとったので、完成した頃には外は真っ暗。部屋の中で撮りました。
大きく、そして想いのこもった作品ができました。
完成後、案内状の打ち合わせの続きをするのも忘れてしばらくは絵を見ながら感想を言い合ったりしていました。とても良い時間を過ごせたと思います。
さて、ここからは絵から話がそれてしまうのですが、なんだか面白そうだなと思う方はぜひ読みすすめてみてください。
「神憑り」みたいな瞬間、素の私とは
この写真をInstagramにアップしたところ、フォロワーさんからこんなコメントをいただきました。
棟方志功といえば大御所も大御所すぎて恐れ多いのですが、いちアーティストとしてはとても嬉しいコメントでした。
と同時に、第三者に撮ってもらった写真を見て、私はふと思いました。
普段自分を見る場面は、鏡(メイク、身だしなみチェック)やスマホの自撮りのときだと思うのですが、それらを見ることで私たちは「客観的に自分を見ている”気になっている”」のではないかと思いました。
しかし、鏡やスマホの自撮りに映る自分は「他の人にこう見えてほしいと思う私」であり、「素の私」ではないのではないでしょうか?
では素の私はどこにいるのか?どうやって見ることができるのか?
私が思うに、それは「ふとした瞬間、自分の気づかないところで」見えるものだと思います。
たとえばショーウインドウや銀行のガラス張りの窓。そこに自分が映る時、姿勢を正したり、髪の毛を整えたりする。それって「自分が思っている自分=他人にこう見られたい自分」に軌道修正している瞬間だと思うのです。でもその直前、「こんなの自分じゃない」と思っている姿こそが、悔しいけど、自分の見えない「素の自分」ではないでしょうか?
さて話を戻します。
制作中の私の様子といえば、今回こんな写真も残っています。
搬入の日、会場のきのねさんの窓に展示の案内を描いている時の私。
この時の眼も、最初の写真と同じ眼をしているように見えます。
撮ってもらった2枚の写真を見たときの私の感想は
「なんか怖い」「自分じゃないみたい」
でした。
自分で言うのもなんですが、私は自分のことを「わりと穏やかで、笑顔が多い人間」だと思って過ごしています。
だからこんなにも一点を凝視している自分は、怖くて、自分じゃないみたいだと思ってしまうのでしょう。
何かに集中し、その結果神が何かを成したようななにかが起こる。そういった因果関係のもとで、人の集中している姿は「神憑り」のようだと言われてきたのかもしれません。
自分の知っている「私」とはまた違った「私」に出会えたということも、今回の展示で得られた良い経験だったと思います。
次の記事では、きしともみの出展作品についての解説や、今回の展示で日の目を見ることがなかった作品たちについて書きたいと思います。
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