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1枚の写真と見知らぬ男の子との出会いが、私を救うこともある【アメリカ・ロサンゼルス】

街を歩いていると少し不安で、ふわふわした心はまだ落ち着かない。沈殿を待つといっても私はこれから動き続けるから、きっと日本に帰るまで沈殿は始まらない。としたらこの浮き立つ心と多少の不安を、私は抱えながら落ち着くのを待つしかない。

旅をはじめたばかりの時は、やっぱり「心はいつも、カラダに遅れて旅先にやってくる」と感じる。6月1日の夜に成田空港を出たら、ロサンゼルスには6月1日の昼間に着いた。

あとから聞いたらこの日からちょうど「さぁ、夏になるよ」と言わんばかりの風が吹き、しばらく曇っていた空が「雲ひとつない夏の快晴」に変わったのだと。「ようこそロサンゼルスへ」と言われた気がして、私は久しぶりに湿度のない夏のはじまりを見る。

とはいえ、心はまだ日本にあった。時差も超えたばかりだから、タイムゾーンも日本にある。調整期間、はいつもときめきと共にある。と言いたいけどやっぱり「何をしたらいいかよく分からない手持ち無沙汰感」も隠しきれない不安もあるから、私はそれを文章に書き残しておいても、いいのではないかと思ってこれを書く。

到着して、宿に着くまではまず最新の注意を払ったほうがいい。どうしても長旅の最初は、「観光客感」がきっと拭えない。私は「スタイリッシュに旅がしたい」から、結局最後まで「あいつ観光客やんな」感は消えないんだけど(笑)。この日は定刻13時過ぎにロサンゼルスに到着して、結局なんやかんや移動や下調べをして、16時とか、17時にコリアンタウンの宿に到着した気がする。

正直、女性の一人旅の最初の街にロサンゼルスを薦めるか?と聞かれたら、即答で「YES」とは言えないかも。だから私も「今」来たのだ。理由は複数。ここは本当に素晴らしい街だけど、交通網は一定のエリアに限られていて、Uberがなければ快適な移動は難しいし、夜のメトロはやっぱり乗らないほうがよさそうだ。私、しばらく「家ない」って言い張ってたけど、「本当に家のない人たち」はこの街にたくさんいるし、なんか銃持ってるって言うしな。

……っていう私の初日の心持ちは、もちろん「到着したばかりで身を護るのに精一杯」だからだ。時折「伊佐さんって海外慣れてるんでしょ、だから怖くないんでしょ」と言っていただくのだが、初めての街は全然怖い。

あんまり弱音は吐きたくないんだけれど、いつも前向きなことばに、日本語を変換してしまうのだけれど。「旅はたやすい」それは本当。けれど「女性の一人旅は安全」まったくそうではないと思っているから、ありのままも伝えたほうが、いいような気もしてね。

※この数年で、旅がしやすくなったのは本当です。私がカナダ・バンクーバーにちょっぴり語学留学していた10年前は、たとえばまだ「写ルンです」を半分くらいの人が持っていた。普通にね。スマホなんか、誰も持っていなかったんだよ。

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けど結局は、好奇心が勝つ。街を歩いて色を塗りつぶさないと落ち着かない。「歩いた場所は、行ったことのある場所」として、モノクロだった世界が色を持つのだ。あの瞬間を、愛してる。

そして私は、またカメラに助けられる。「もう帰ろうかな」と思った矢先、目が合った男の子の笑顔に救われることはある。旅先の、偶然の出会いはこれだからやめられない。

最初の夜を超える前は、みんなこんなもんだと思う。っていう、今日はなんでもない記録です。


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