見出し画像

「現状維持は停滞だ」。◯か✕か?

「現状維持は停滞だ」。ずっとそう思っていた。

人生は放物線。勢い付いてはじめたものも、自然の摂理で落ちていく。

「現状維持は停滞だ」。変わり続けなければ、私はあとは落ちていくだけ。「就職したらあとは死ぬだけ」笑いごとのように、学生時代に友だちが唱えていた冗談を反芻する。

だから落ちていかないように、せめて私の中でだけは登れるように、変わって、変わり続けて、上を目指して、下に落ちないように必死でゲームを続けていた。

バレーボールはボールが落ちたら負ける。負けないためには、ボールを陣地に落とさなければいいだけだ。

それを一生続けるのって、結構つらいんじゃないかと、最近思った。というか、現状維持は停滞じゃない。現状維持って、じつはかなりすごいらしい。

***

小学校、中学校、高校、大学、そして就職。毎年まいとし、私たちは肩書が変わる時代を生きてきた。社会に出て、◯◯企業の◯◯部の私、になると、異動というパルプンテが起こらない限り、自分の肩書は変わらない。

なんだ、なるほど。肩書って、毎年変わっていくものじゃないんだ、と頭の悪い私は初めて思う。「これからは、変えなければ変わらないんだ」と、同時に焦る。なぜなら私の中で、「現状維持は停滞だから」。

変化、進化、向上、前進。行け、未来へ。何かいいことがあるだろう。


でもそうじゃないんだね。
現状維持って、じつは結構すごいバランスで成り立っていたらしい。


この間、久しぶりに祖母に会いに実家に帰った。家族は、変わらない。この場所だけは、変わらない。29歳という年齢の溝にハマった私は、気軽な気分で会いに行く。

でも、もう彼女の中に私はいなかった。「いらっしゃい、よくいらしてくださいました」ともてなされる。

そうか、私はずうっとあなたの孫のつもりでいたけれど、時間は経っているんだね。話すうちに思い出してくれたけど、私はかなりはっとした。涙がでるかと思った。

***

現状維持は停滞じゃない。私の言う現状維持は、今持っている「アタリマエ」がずっとあると前提にしてしまっている、結構甘えた考えなのだと、そのとき思った。

「現状維持は停滞だ」。◯か✕かで問うなら今はきっと✕だろう。でも時と場合によるのかもしれない。現状を維持する必要があるほど何かを築けているのか疑問な時に、「現状を維持するのだ!」と叫んでも仕方ない。


では次の問題は、「守るものができるとフットワークが重くなる」。◯か✕か?

世の中には分からないことがたくさんある。

いつも遊びにきてくださって、ありがとうございます。サポート、とても励まされます。