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中国の中高生たちから教えてもらった日本の「両面」

先日、娘と「西塔(シーター)」と呼ばれる区に買い物に行きまして。朝鮮族のみなさんが多くいらっしゃるエリアで、キムチとかトッポギとか、近年の韓流ブームに則って、ちょっとした食べ歩きスポットになってるんですね。

私たちも、ちょっとでも日本に近い空気を吸いたくて、食べ歩きがてらキムチとお餅を買いに行ったんですが、そこでチーズドックが揚がるのを待っていたら、

「ジャパニーズ?」

って声をかけられたんです。

おそらく中高生くらいで、ニコニコしながら私たち親子をこっちをみている。「日本語、少しわかる」みたいな感じて、とにかく嬉しそうに私に話しかけてくれました。

日本語は、少しわかるどころじゃないくらいカタコトでした。

私は、1000%そうだろなという回答を想定しながら「日本語をどこで学んだの」と聞きましたらば、「日本のアニメで」と返ってきました。

答えが想定できた時点で、ちょうど『呪術廻戦』にハマっている私としては「五条悟、知ってる?」と畳み掛けてやるつもりだったので、予定通りそうしましたw

(↑渋谷かー!ますます行きたい)


彼は、日本語をほとんど理解しませんでした。

知っている言葉も、登場人物の名前や、「好き」とか「私」くらい。それなのに、日本人に会えて嬉しいだけのテンションで、必死に話しかけてくるんです。

中国の若者たちが持つ、「好き」に対する素直な行動力。すごいなと感じました。

学校では、歴史の中で「残虐な日本人」のことをしりつつ、一体彼らは日本にどんなイメージをもっているのだろ?

同時に、日本発の作品が持つ、ダイソンなんか目じゃない、おそろしいほどの吸引力を感じましたね。特に、若い世代、日本でいうところのZとかαとかの世代を、猛烈に惹きつけている。


アニメ版呪術廻戦(第2期)の舞台は、「ハロウィンの渋谷」。駅も周辺のビル街も非常にリアルに、描き出されています。

そんな「渋谷」で、あんなことやこんなことが起こり、衝撃的なシーズンの終盤を迎えているわけですが、

私だって、こんなおもろくて世界観のある作品を中国人として見ていたら、かなりの確率で「日本行く!渋谷で暮らす!」みたいになってたに違いありまへん。

実際の地名のまま物語を描くのって、昨今では珍しいと思うのですが、それが功を奏して見事にリアルとフィクションが合体している。ザ・トーキョー、渋谷は、中国の若者たちにとっての魅惑の都市、憧れの対象にもなってるんでは、と勝手に想像しました。

でもこれだけで話は終わらないww

日本のアニメや漫画文化は確かにすごい。圧倒的すぎ。

でも、その反対側の見方もあるなあって、別の中高生に教えてもらいました。

中国語もほとんど話せないのにいきなり現地中学校にブッ込まれ、無の呼吸で通っているメンタルお化けの娘が、先日

ようやく仲良くなったクラスメイトの女の子から、こんなことを聞かれたそうです。

「日本って、変態がいるって本当?」

笑!

彼女は、痴漢やそのほか性犯罪的なものを「変態」と捉えているようで、それをきいた娘の回答は「いるよ」だったそうです。

そして、痴漢がどのように行われるか、どのように盗撮しているのか、など、色々と知っていることを教えたらしい。

変態のいる国、日本!w

中国では、ネットはもちろんあらゆる作品から性的な表現は制限されています。だから、ふだん勉強ばっかりしてる子どもたちが、普通に暮らしててあからさまな性表現に出会うことは、ほとんどありません(逃げ道は色々あるので全く不自由というわけではないのだけど、、)。

だから余計に、日本にどうして「変態」がいるのか、いったい「変態」とはどういうものなのか、気になるんでしょうね。

で、その話を聞いてやっぱり思いました。

私自身も日本のアニメにハマって感じているのは、日本のアニメや漫画が「素晴らしさ」だけで語られてしまう、居心地の悪さ、なのですよね。

実際、中国の子供達を惹きつけているのは、日本のアニメカルチャーがかっこいいとか、映像が綺麗とかそういうことだけじゃないだろうな、と思うのです。

ドス黒い呪いの世界や血飛沫の舞う殺し合い、女性の豊満な胸に象徴されるあからさまな性表現、それらから生まれるドロドロとした人間の感情。

ここではわりと軽めに扱わられるそれらに、彼らはきっと本能的に、惹かれているのだろうと思います。私たちと同じように。

つまり、表現技術が高いとか、優れているとかいう話なのではなく、そういうアニメ文化を持っている私たちが「変態性」を持っている、という話なのであった。

そういう含めて、「日本人にしかできない表現」が語られるべきなのだろうと、そんなことを思うようになりました。

言い換えれば、その変態性のおかげで、表現の豊かさや、技術力の高さをもらっている、というかね。

こうして書くにも、どう考えるかは大変際どいところだと思いますが、若い世代の向いている方向に、ガツンと思い知らされることの多い昨今です。

いつか、私が出会った中高生らしき彼が自立して、自分の目で日本を見た時、いったいどのように感じるんだろ? 

人間のゆがんだ感情や、そこから生まれる猟奇的な行動、、、我々はそういうものも文化としてつないでるっていう、

なんか果てしもない考察を、中国の中高生たちから与えてもらっているような気がします。


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