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「まち協」の主役は部会活動です

≪おごおりト−ク32≫

今年も早いものであと2ヶ月、年が明けるとアッという間に年度末ということで、ぼちぼち地域の様々な団体においても来年度の総会に向けた役員選考がスタートしています。
私の所属する「校区協働のまちづくり協議会(以下、まち協)」も例外ではありません。

「まち協」の部会長が不在に

それぞれの「まち協」には具体的な活動を行っていく「部会」(防災部会、青少年育成部会、健康福祉部会、環境部会、スポーツ部会など)が設置されており、かく言う私も、地域の「まち協」では防災部会に所属しています。

私たちの防災部会は地域の自主防災組織、消防団、防災リーダー、防災士などを部会員(部会の構成メンバー)としていますが、実は、令和5年度の部会長(部会の代表者)を選任することができませんでした。「まち協」関係者の皆さんには大変ご迷惑をおかけしております。

確かに部会長になると、防災部会の活動だけでなく「まち協」役員も兼任することになるので、役員会や総会への参加のほか「まち協」行事やイベントへの参加要請もあり、そこそこ個人の負担感は増えることになります。
結果として部会長が不在(欠員)になるという状況に至ったわけですが、この問題、皆さんはどのように考えられるでしょうか?

ボランティア活動における自己抑制

以前、個々人がボランティア活動を継続するためには無理をしないこと(自己抑制)が重要で、ボランティア活動が個々人の日常生活に当たり前に溶け込んでいることが大事だと述べました。また、個人の自由意思による活動において誰かから必要以上に指示や強制を受けることになれば、やらされ感となってやる気やモチベーションを喪失してしまうことも述べました。

個人の自由意思によるボランティア活動においては、活動への参加頻度や役員就任についても個人の自己決定に委ねられ、その負担感が自分の許容範囲を超えてしまったとき、あるいは超えると予測されるときは、無理をせず自分のできる範囲内に活動を自己抑制することが重要で、それはボランティア活動の継続のためには必要なことなのです。

しかし、ここで疑問に思うのは、個々人のボランティア活動(まちづくり)を地域で協働して行うために「まち協」という団体が組織され、その運営のためには同じくボランティアとして誰かが役員を担わなければならないという状況下において、個人の自由意思によって役員が選任できない状況を「やむを得ないこと」「しかたがないこと」として終わらせてしまっていいのかということです。
実は、私は、この問題こそが「まち協」のプラットフォーム化の課題ではないかと考えています。

そもそも「まち協」は役員となるべき人材確保が慢性的に困難な状況にあるといえます。これも以前述べましたが、現在の「まち協」は、特定の役員だけで固定化された閉鎖的な組織になっているのではないかという指摘があり、そのことが「まち協」の新たな人材発掘や担い手育成を阻害する要因になっているのではないかと考えられます。(#27.まちづくりの未来予想図Ⅱ)

では「まち協」が、この慢性的な人材不足の状態から脱却するためにはどうすればよいのか。
結論から言えば、「まち協」の活動をあて職の固定化された役員だけで担うのではなく、校区全体に幅広く有志の人材を募り、興味や関心のある人誰もがオープンに参加できる機会と場所を提供していくこと。つまり「まちづくりガイドライン」でいう「まち協」のプラットフォーム機能を高めていくことだと思うのです。(#30.プラットフォームで会いましょう)

部会活動で心がけていること

私は、この「まち協」のプラットフォーム機能を高めるために部会活動において心がけることが二つあると考えています。

一つは、「まち協」を構成している各部会が、あて職による構成ではなく、幅広く地域に部会活動への参加者を募り、自らの主体的な参加を促していくことです。

私たち防災部会では、数年前から地域の自主防災活動の担い手育成を目的として「校区版防災リーダー養成講座」を実施しています。さらに、この講座を受講した方は継続して防災部会にも参加してもらっており、以前はあて職で10名程度だった部会員が現在は20名に増えています。
これまで「まち協」や地域活動に全く関わりのなかった人たちが、「まち協」の防災リーダー養成という呼びかけに応じて自らが主体的に“まちづくり”の門戸をたたき、個々人が自由意思と自己決定によって部会活動に参加していることが重要だと思うのです。

「まち協」のプラットフォーム化においては、それぞれの部会が幅広く地域に参加者を募ることと、誰もが参加できる門戸が常に開かれていることが必要です。また、地域のまちづくりの“すそ野”を広げていくことが部会活動の役割であることを、今一度、再認識する必要があるのではないでしょうか。

もう一つは、それぞれの部会活動において、部会長だけに負担感が集中しないように部会員がそれぞれ役割を分担することによって、部会長を支える(特定の個人に集中する負担を軽減する)運営体制を構築することです。

私たち防災部会では、それぞれの部会員が自分のできる範囲の中で役割分担をしながら部会活動に参画しています。なので、部会長は不在ですが、そのことによって部会活動が停滞するようなことはなく、むしろ、活発な取り組みが行われています。
誰が部会長になっても負担が集中することなく、それぞれの部会員が役割を分担することによって部会活動を支える運営体制がとられており、そのことによって部会長のハードルが下がることにつながっています。

「まち協」の部会活動は部会長だけが一人で担うものではないことを、あらためて再確認する必要があると思います。

人づくりの極意は部会活動にあり

はてさて、これだけで直ちに「まち協」の人材不足や部会長不在が解消できるとは思いませんが、少なくとも私たち防災部会では、この部会長不在の状況を「やむを得ないこと」、「しかたがないこと」として終わらせてしまうのではなく、次世代の新たな人材育成や担い手確保につながるような部会運営を目指していきたいと考えています。

「まち協」の活動は役員だけで行っているわけではありません。それぞれの部会活動の具体的な取り組みと部会員の主体的な参加によって成り立っているのです。その意味では「まち協」の主役はそれぞれの部会であり、部会活動の場こそがまちづくりの人材育成の舞台なのです。まさに「まち協」の人づくりの極意は部会活動にあるといえます。

「まち協」として、部会長が選任できない状況をその部会だけの責任に帰結させるのではなく、部会活動を通じて新たな人材を育成していくための道筋を描き出していくことが必要だと思います。

「まち協」の部会活動に新たな人材が自らの自由意思によって参加し、部会活動の実践の中で育まれてきた人材が、やがて「まち協」を支える担い手(役員)として登用されていく、その具体的な道筋こそが「まち協」のプラットフォーム化の取り組みだと思うのです。

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