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結婚生活で大切なのは「相性」か?「努力」か?

夫婦のためのコーチング屋さんを営む、灯し屋のりんぺいです。

夫婦生活ではもともとの「相性」と結婚後の「努力」のどちらが大切だと思いますか?夫婦に関する仕事をしていると、多くの方からこのような質問をいただくことがあります。みなさんは、どう思われますか?

これは夫婦関係に関してのとても大事なテーマだと思います。これまでずっと考えてきましたが、どちらの方が絶対に大切ということはないと感じます。ですが、その中でも自分なりの整理ができたこともあり、記事にしてみようと思います。

マインドセットにまつわる研究がヒントに

この記事を書こうと思ったきっかけとなったのは、とある書籍を読んだからでした。その本は、『マインドセット「やればできる!」の研究』という書籍で、スタンフォード大学の心理学教授が書かれていらっしゃいます。

この本では、マインドセットを大きく2種類に大別しています。

ひとつは、硬直マインドセット(fixed mindset)。自分の能力は石版に刻まれたように固定的で変わらないという信念が強く、自分の生来的な能力を証明しようとする傾向があります。

もうひとつは、しなやかマインドセット(growth mindset)。人間の基本的資質は努力しだいで伸ばすことができるという信念が強く、上手くいかないときにも粘り強い頑張りを見せる傾向があります。 

人間はどちらかのマインドセットしか持っていないわけではなく、テーマや場面によってどちらかが強くなったり、弱くなったりするそうです。そして、どちらのマインドセットを選択するかが、スポーツ・ビジネス・人間関係など様々なテーマで成功するための大きなカギであると解説されていました。

相性と努力にも通じる話

この本を読んだときに、まさにこの記事のテーマに通じる考え方だなと感じました。結婚生活で相性が大事だと考えることは、ふたりの能力や特性はなかなか変化しない(しにくい)ものだという硬直マインドセットが前提にあるように思います。

司法統計による離婚の申し立て理由の中で「性格が合わない(性格の不一致)」が最も高いというのは有名な話です。ここにも性格=変わらないもの=仕方のないものという硬直したマインドセットが背景にありそうです。

これまで離婚を経験された複数の方にインタビューをした際にも、離婚理由として「相性」「組み合わせ」を挙げる方がほとんどで、「努力不足」などを挙げる方はほとんどいらっしゃいませんでした。

相性が良いように見える夫婦もたしかにいる

とはいえ、中には「相性がいいんだな」と感じさせるご夫婦もいらっしゃいます。良好な関係を築いているご夫婦の中には「最初から自然とうまくいっている」「努力は特にしていない」と言う方もいらっしゃいます。それを相性が良かったと結論づけることもできるでしょう。

ですが、もう少し深掘りをすると、夫婦の相性には①性格・価値観のズレの少なさに加えて、②努力の水準のバランスもあるように思うのです。たしかに価値観の相違が少ないほうが、いっしょに過ごしていて衝突は少なくなるかもしれません。ですが、まったく一緒の価値観の人は存在しませんし、少なからず努力は必要になると思うのです。

実際に、前述のご夫婦に深堀りをしてみると、「帰りが深夜になっても必ず話す時間をとるようにしている」や「仕事で家のことは任せきりなので土日は率先して取り組むようにしている」などの取り組みがサラッと出てきたりするのです。

ご本人にとっては自然なことかもしれませんが、客観的には努力の基礎水準が高いご夫婦に見えました。努力する水準というのも、相性やバランスがあるのかもしれません。

相性と努力、どちらが都合がいい?

きっと、相性も努力もどちらも存在するし、どちらも大切なんだと思います。そして、どちらを重視するかはご本人の捉え方で変わります。ご本人にとって都合が良い方を無意識のうちに選択しているのかもしれません。

相性を重視する場合、夫婦の問題は能力や組み合わせのせいと捉えることができます。そして、変えることができないのだから努力をする必要がなくなります。自分を変えることは不要であり、負担がかからないという点はメリットかもしれません。一方、壁にぶつかって上手くいかなくなったときには、とても脆い夫婦関係になってしまうでしょう。

努力を重視する場合、夫婦の問題は前進や成長のきっかけと捉えることができます。そして、自分たちが目指すより良い状態に近づくことができるでしょう。相性や相違を乗り越えて、強い結びつきを築ける点はメリットかもしれません。ただし、自分を変える苦しみや手間はあるので、それらを負担に感じることもあるかもしれませんね。

僕は「努力」を選び続けたい

たしかに、先天的に規定されているものはたくさんあります。昨今では、「遺伝」による影響の大きさについても語られています。それに、理想的な状態がまったく違うふたりが共に過ごすのは苦労も絶えないでしょう。ですので、相性を重視することも「ひとつの考え方」として否定することはできません。

それを踏まえて、それでも僕は相性は努力で乗り越えられると信じています。なぜなら、そう信じていないと希望がないと思うからです。欲しい結果を得られる保証はありませんが、可能性に向けて努力をしていたいのです。

それに相性を重視するということは、遠回しに国家・宗教・民族などの間にある対立・紛争を肯定することになる気がするのです。夫婦の問題は最小単位の紛争です。そこに対して相性を持ち出すことは、より大きな対立においても「相容れないんだから仕方ない」「平和的な関係は築けない」と言っているように思えてしまいます。

もちろん「努力」がすべてではありませんが、より良い未来のためには相性よりも努力を重視したいと思うのでした。

まとめ

ここまで、2種類のマインドセットを前提に、夫婦関係における「相性」と「努力」について書いてきました。繰り返しになりますが、どちらか一方が正解であるということではありません。努力が必ずしも実るわけではありませんし、相性は間違いなく関係性の難易度を高めます。

ただ、もし現状の夫婦関係に満足ができていないのであれば、意識的にしなやかマインドセットの視点で夫婦関係を捉え直してみることも有効かもしれません。

それでは!


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